第6話 土竜
土竜との遭遇で、キャラバンは、大混乱となった。
馬車の馬は、怯えて走り出しているし、商人も逃げまどっている。
護衛の傭兵達は、というと、
リーダーの指揮の元、商人達から遠ざけるため、土竜に挑んでいた。
「へ~、何かあると真っ先に逃げ出す傭兵がいるって聞いていたけど、
なかなか勇気あるなぁ。。でも。。」
一人の傭兵が、吹き飛ばされ倒れこんだところに、土竜の前足が襲い掛かる。
「うあ~~~」
「ウォーターランス!」
水の槍が、土竜の前足を貫き、弾みで、土竜は、地しびきをあげて横倒しになった。
何が起こったか分からない傭兵は、目の前に立っている少年を見上げる。
「あんた。。」
「早く下がって」
土竜は、前足の痛みに咆哮をあげながらおきあがり、怒りのまなざしを僕に向けてきた。
「さて。。どうやってするかなぁ。。」
実家近くの森で、これまでも大型の魔物は、狩ってきた。
熊に似た「レッドアイズベアクロー」は、最初の頃は、手こずったが、最近では、
瞬殺出来るようになっていた。
が、竜は、初めてだ。
ただ、まぁ、さっきの「ウォーターランス」が効いてるし、何とかなるだろう。
少し離れたところから、傭兵のリーダーは、様子を伺っていた。
出来れば、早くここから離れたいところだが、少年一人残して逃げ出しては、
悪い評判がたって、今後の仕事に関わるし、何より自分自身の矜持に反する。
とはいえ、何か出来る訳でもなかった。
「しかし、あの少年は、なんなのだ。」
王都の魔法学院に入学する「魔法師」だとは聞いていた。
しかし、あの少年、土竜を前にひるんだ様子もないし、先ほどは、土竜に一撃を加えていた。
聞いた話では、竜一匹に対するに、「魔法師」100人で掛かって倒せるかどうかだそうだ。
「さて、いろいろ試してみるかな。。」
この後、伝説となる土竜との闘いが始まる。