第2話 魔法とは
やっとベッドから出ることが出来たが、また、身体中包帯だらけだ。
この世界に「魔法」があることは、母であるマーガレットが、水の「魔法」で熱をもった私の身体を冷やすのを間近で見ていたので認識したが、やはり驚いた。
父は、風の「魔法」が使えるそうだが、聞いたところでは、誰もが「魔法」を使える訳ではないそうだ。
そして、「魔法」が使える人間を「魔法師」と呼ぶのだが、その身体のどこかに「魔法石」が浮き出ているのだが、その「魔法石」によって「火」「水」「風」「土」「光」の5つの系統「魔法」が使えるらしい。
母は、左の手の甲に青い「魔法石」があって、水の「魔法」、父は、右足の膝に緑の「魔法石」があるのだそうだ。
「僕は、「魔法」使えないの?」
と、両親を前に聞いてみたのだが、その反応はというと、なんとも曖昧なもので、
「やっぱり、僕は、「魔法」使えないの?」
すると、母が僕の手に巻かれた包帯を解きはじめた。
そうして、父が、
「アルバート、お前は、雷に打たれる前は、身体に「魔法石」が無く、「魔法」が使えなかったが・・・。」
解かれた右手の甲には、赤い「魔法石」があった。
そして、左手の甲には、青い「魔法石」、右足の膝には、緑の「魔法石」、左足の膝には、黄色の「魔法石」があった。
「「魔法石」が4つあるってことは、4つの「魔法」が使えるってことだよね?」
「いや、5つだ。」
僕の額には、白い「魔法石」は光っていた。
この時、僕はこんなことを考えていた。
「この魔法を上手く使えるようになれば、前の世界では出来ない戦隊モノや変身ライダーモノの様に「変身」出来るのではないか」と。
それから1年。
僕は、父から風の「魔法」の使い方、母から水の「魔法」の使い方を習っていたが、その他にも屋敷の魔法書を読むため、かなり勉強も行っていた。
その姿には、両親や兄弟達が、驚きの目で見ていた。
「以前のお前は、腕白で、勉強時間は、なにかにつけて逃げ出していたのにな。今は、大人しいものだ。」
などとすぐ上の兄のギルバートに言われていたりした。
この1年間、両親や屋敷の「魔法」に関する書籍から、「魔法」発動の仕組みが分かってきた。
この世界には、それこそ空気と同じように「魔素」が存在し、「魔法師」は、身体の「魔法石」からその「魔素」を取り込んでいる。
その「魔素」を身体の中から「魔法石」へ送り込み、詠唱によって展開する「魔法陣」によって、「魔法」による事象が発生するのだった。
さらに、そのあとの1年は、「魔法」の勉強と共に、兄達と剣や槍の修練も重ねていた。
「魔法石」を持たない兄達は、身を守るために剣や槍が必要だった。
何から身を守るかといえば、この世界には、「魔素」によって動物が変質した「魔獣」が存在し、人が襲われることが多かった。
実際、マーシャルハイム男爵領も辺境にあり、『魔獣」が多く生息する森が領地と接していた。
「お前は、「魔法」が使えるのだから、剣や槍の修練はいらないだろう?」
長兄のアーダルベルトに言われたものだが、いやいや戦隊モノや変身ライダーも今や剣などの武器使うしって考えから、武術にも力を入れていた。
当然、体力もついてくるが、それに合わせて身体に取り込める「魔素」の量も増えていったので、尚更身体を鍛えていった。
そんな中で、ある日父からあることを伝えられた。
「アルバート、お前の「魔法」の能力を伸ばすために、お前を王都のリーンセウス魔法学院に行かせる。」