気持ち悪い女
ウチの大学の近くに、○×通りっていう、寂れた場所があるだろう? あそこには、行かないほうがいいぞ。深夜の一時を過ぎると、『気持ち悪い女』が出るって話だ。
なんだ? その気持ち悪い女って。
知らないよ。心霊現象や都市伝説的なものだと思うが、とにかく遭遇した奴は、何も喋りたがらないらしい。
ふーん。
いいか、ぜったいに行くんじゃないぞ。
その夜、
男は早速その通りへ出向いた。行くなと言われると行きたくなるのが、人間というものだ。
なるほど、ここが○×通りか……。照明も少ないし、確かに不気味だな……。
腕時計を確認すると、時刻は深夜の一時を回っている。
すると、向かいのほうから、人の影らしきものが見えてきた。
ざんばらの髪で顔はよく分からないが、身体つきからして女と見える。
――もしかして、あれが噂の……? なんだかフラついていて、様子がおかしいな。
女は頭をがっくりと垂らし、左右に身体を揺らしながら、よろよろとこちらに歩いてくる。
男は恐怖心を抱きながらも、正体を暴いてやろうと、歩を進め、女との距離を詰める。
そして、視線だけを向けながら、足早にその横を通り過ぎようとしたとき、突然、よろけるようにして女が掴みかかってきた。
その直後だ。恐怖の声をあげるより早く、女の口から出た吐しゃ物が、男の服にこれでもかと撒き散らされた。
酒臭い匂いを漂わせながら、女は耳元でボソリと呟いた。
気持ち悪い……。
終。




