表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/27

不死身の朝1――リプレイ――

 ――またか……これで四度目だ。

 私はなぜか、同じ一日を繰り返すようになっていた。

 それは例え話などではなく、本当に同じ日なのだ。

 朝六時にセットしたはずの目覚ましが鳴らず、三十分も遅れて起きると、慌ててベッドから飛び出す。その日予定されている重要な会議のために新調していたスーツをクローゼットから取り出すと、急いで身支度を済ませ、階段を雪崩のごとく駆け降りる。「なぜ起こしてくれなかったんだ」と愚痴りながらダイニングキッチンの指定席に座れば、「ごめんなさい」という無愛想な返事と共に、十三歳年下の妻が朝食を運んでくる。ランチョンマットの上に、白ご飯、味噌汁、納豆と並び、そして好物であるハムエッグ……。このとき私は、仕事と家庭の様々なフラストレーションをこのハムエッグにぶつけた。やれ、焼き加減に満足がいかないとか、やれ、コショウが足りないじゃないかなどと、文句を言いながら食べ終え、椅子から立ち上がろうとしたところ――。

 ガツン、と、頭に強い衝撃を受けた。耳もとでシンバルでも鳴らされたかのように、脳が揺さぶられた。それはあまりにも唐突で予想だにしない痛みであり、声一つあげることすら出来なかった。

 切断された大木のごとく、前のめりで倒れ込んだ私の目の端に映るのは……フライパンを手にした妻の無機質な表情だった。

 視界がブレて上手く定まらない。意識が薄れ、二重三重にも霞んで見える視野が、血で真っ暗に染まる。

 そして。

 私は再び、「はっ!」とベッドから目を覚ます。この繰り返しなのだ。

 逃げようとしても、身体は言うことをきかない。ダメだダメだと思っても、寝室を出て階段を降り、食卓のテーブルを前に、どかりと座ってしまう。そして好物のハムエッグが出てきて……。

 ああ、ダメだ。文句を言ってはいけない……。ああ、そんなことを言ったら……!


 ガツン!


 私は、後何度、この死を体験するのだろうか…………。

 ……うう、なんだか辺りが眩しくなってきた……。


         終。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ