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雑草魂
「やれやれ、またか……」
その大地で暮らす男たちは、無数に生えてくる黒い雑草のようなそれに、ほとほと困り果てていた。
最初は手で一本一本抜いていたが、根が非常に強く、何度も生えてくる上に、数も多いので、全くキリがなかった。悩んだ男たちは、専用の器具を開発し、それを使うことで、より正確に抜くことが出来るようになった。
しかしこれには問題もあり、その黒い雑草然としたモノは、強い力で抜くと、周囲が酷く荒れてしまうのだ。
そこで男たちはさらに考え、今度は便利な刃物を開発した。抜くのではなく、刈り取るという方法に変えたわけだ。
これにより、効率は格段に良くなった。ただその一方、刃物ということで、使用者が怪我をしてしまうケースも増えてしまった。
男たちは、より効率良く、より安全な器具を作ろうと、何年も何年も開発を続けた……。
そして。
長年の苦労が実り、ついに完成したのが……、
この『電動シェーバー』である。
男たちの深刻な肌荒れ問題は、これにて無事、解決したのだった。
終。