S級魔法少女チーム!
ノエル(や、めて……!
FH1(ガガァ…?
[キィィィ…ン…!!]
ノエル(放、して……!
FH1(ガァァァ…!!
[ギチ…!シュルルル…!!]
ノエル(キッ…!も、う…!!!
[キィィィ…ン!!!!!]
ノエル(やめてぇぇぇぇぇ…!!!!!!
[ギ…ッン!!!シュパァァァ…!!!!]
駿(なっ!?ノ、ノエル…!!?
ノエルの叫びと共に金色に輝く魔方陣が展開し魔力が上空に集束していく。
その魔力は大きな光の塊から巨大な剣として創製・変化していった。
駿(こ、これは…!?つ、剣…!!?
ノエル(剣・創製…!!!!
FH1(ガ、ァァァ!?
ノエル(Zubat:Sword…!!!!!!
[ブゥア…!!!ザシュウゥゥゥ…!!!]
振り上げられた大剣はいとも簡単に魔獣の触手を切り裂いた。
魔獣は悲鳴とも似た雄叫びを上げ、それと同時に拘束から解放されたノエルは地面へと舞い戻る。
ノエル(ん!!
駿(ノ、ノエル…。
気弱そうに見えた女の子が取ったあまりに豪快な反撃に俺は完全に意識を持っていかれ、ただその少女の名前をポソリと呟くことしかできなかった。
だが、驚くのはまだ早かったようで…、
これを機に、他二人の魔法少女の反撃が連鎖していくのだった…。
FH2(ギガァァァ…!!!
[シュルルゥゥ!!!ギチギチ…!!!]
クロ(ぐっ!!もう…我慢の限界よ…!!アンタらまとめて闇に堕としてやるんだから!!
[ブッ……ン!!!]
クロ(我は命じる…!汝はただ答えよ…!全てを焼き尽くす紅蓮の悪魔よ…!今ここに現れよ…!!H-HAURES!!!
[キィィィ…ン!!!ゴゴゴゴゴ…!!!]
我慢の限界を迎えていたクロが怒りを露にし、早々と長い詠唱を唱えていく。
次は黒い魔方陣が地面を土台に展開し、そこから巨大な火柱を発生させる。
その火柱からうっすらと人影が浮かび上がり、火柱が一瞬にして振り払われるとそこには炎を身に纏った少女が立っていた。
H(ん………。ふあぁ~あ、お呼びっすかぁ…?お嬢…?
クロ(焼き払いなさい…、ハウレス…!!
H(ん…、りょりょ…♪
[ボッ!!ボォア…!!!]
H(お嬢の命により、お前らを…焼き払うっす…♪
[ブゥアァァァ…!!!]
ハウレスと呼ばれたその少女は纏っていた炎を拳に集中させ…、
H(ブレェイズ・ナァックル…!!!!
FH2(ガッ!?グギガァァァ…!!?
拳から炎の魔力弾を魔獣目掛けて一気に解き放つ…!!!
[ボォア!!ズドォーン…!!!!]
H(ヘッ♪よっと…!
[バッ…!!!]
クロを拘束していた触手に火が燃え移る前に、攻撃によって緩んだところをハウレスと呼ばれた少女は助け出した。
クロ(ふ…♪一緒に燃やされるかと思ったわよ…♪
H(まっさか~♪アタシがそんなヘマするわけないじゃないっすか~♪
ケラケラと笑いながらお姫様抱っこの状態で
抱えていたクロを地面にそっと下ろす。
悪態(?)をついていたクロもどこか自慢気に地に着いて魔獣と再び向かいあう。
H(こいつはまた一段と凶暴そうっすねー♪あ…、エリーゼお嬢も助けるっすか?
クロ(あ~、あの子なら全然問題ないわよ。ほら…。
H(お?
エリーゼの方に目を向けるようにクロは指差した。
エリーゼの拘束はまだ解けていない。
だがそれも時間の問題だとここまでの流れで察することができた。
FH3(グゥゥゥ!!!
エリーゼ(は~…。エリーゼ、もう捕まるの飽きちゃったぁ~。ンニヒ…♪
FH3(ガ?
エリーゼ(…いただき…ます…♪あーーーん♪
[がっぷぅ!!!]
FH3(???……………ガッ!!!!?
エリーゼ(あぐあぐっ!!はぐはぐっ!!
駿(いっ!!?な、何やって…!!?
触手をぶった斬ったノエル、触手を焼き払ったクロ、それを凌駕する驚きの方法でエリーゼは拘束から脱してみせた。
拘束していた触手を……、食ったのである。
FH3(ガガァァァ!!!?
エリーゼ(むぐむぐ…、ゴクン!にゃはは♪あんまり美味しくないね~♪よっと♪
[バッ…!クルルン…!ズザッ…!!]
2本の触手を虫食い状態にした後、一回転して地面へと華麗に着地するエリーゼ。
これまた自慢気にお腹をぽんぽんと鳴らして魔獣に向かい合う。
FH3(ギギギ…!!!
エリーゼ(にゃははは~♪
駿(あ、あ、あ……。
俺は驚きのあまり口をパクパクとさせるしかなかった。絶望的かと思われていた状態からの思いがけない脱出、それだけで俺は充分絶句ものだったのだが、3人の実力を見せつけられてさらに絶句ものだった。
FH1・2・3(ギギギ…!!!
ノエル(ヒッ!?怒ってるよぉ…!(泣)
クロ(そりゃあそうでしょ。ま、そんなのお互い様&自業自得だけどね…?
H(手ぇ出してきた方が悪いってやつっすねー♪さっすがお嬢♪
エリーゼ(だったらお返ししなきゃだね~♪にゃははは~♪
先程までの緊迫していた状況が嘘のように最初の軽いテンションに戻っていた。
そして教導官であるリリがクエスト対象への反撃を促す。
リリ(ふっ…♪では皆さん…、反撃…、開始です…♪
ノエル(は、はい!
クロ(ええ…♪まとめて片してあげるわ♪
H(そおと決まればー?
エリーゼ(変・身だぁ~~~!!!
駿(へ!?変身…!?
リリ(ええ…♪魔法少女ですから…♪
リリが分かりやすいほどのドヤ顔で俺に言い放つ。
FH1・2・3(ガァァァァ…!!!!!!
クロ(敵もお待ちかねみたいね?最初はノエル、頼んだわよ♪
ノエル(えぇー!?私からなのぉ!?
エリーゼ(ノエルん頑張れ~♪
H(ファイトっす~♪
ノエル(うぅ…。へ、変身…、い、行きます!
FH1・2・3(ガァァァ…!!!
[キ……ッン!パァァァーー!!!!]
金色の魔方陣がノエルを中心に展開し、ノエルを魔方陣の光が包み込んでいく。
ノエル(セイクリッドトランス…、オン…!
[パシュウ…!!!パシュウ…!!!]
ノエル(幸福の願いを天に、天からの祈りを体に…、こころに…!!!
身に付けていた服がパージして魔力の光が代わりにノエルの体に重なっていく。
魔力の光がノエルの魔法少女服<セイクリッドドロワーズ>を形作っていく。
ノエル(希望と夢…、祈りと願い…、今ここに集まって…!そして魔を払う力を貸して…!
スタークス・ロッド…!!!
[キ…ッン!パシュウ…!!ガシッ…!!]
目の前に現れた魔法の杖:<スタークス・ロッド>をノエルは装備する。
ロッドの先をぽんっと軽く頭に触れさせると魔力が集束し、あっという間に三角帽を形作ってみせた。
その瞬間、目を覆っていた前髪もシュッと整理され、翠色のキラキラとした瞳が露出した。
ノエル(セイクリッド・ドロワーズ装着…!魔力完全解放…!魔法少女ノエル、ただいま準備…、完・了です…!!!
[…………………………………………]
ノエル(………うぅ…!は、恥ずかしい…(泣)
しばしの沈黙の後、ノエルが顔を真っ赤にしてうずくまったのは言うまでもない。
一見ノリノリに見えたがやはり恥ずかしかったようである。
そしてそれを払拭、いや、消し去るかの如くクロが猛り狂い始める…。
クロ(フッ…♪風よ震えよ…!大地よ轟け…!今この刻、闇より出でし禁断の力を我が身に刻め…!!!
[ブゥア…ッン…!!!ギ…ッン!!!]
クロの左右、そして上空に黒い魔法陣が展開する。
3つの魔法陣からは禍々しいエネルギーがギラギラと輝いてクロの周りを渦巻いていた。
クロ(クク…ッ♪呪いを腕に…!!!
[キ…ッン!キ…ッン!ガシャン…!!!]
クロ(禁忌を瞳に…!!!
[キュアン…!!キラッ…!!!]
クロ(そして混沌よ…!!我が闇と交わりて、悪しき力を我が身に宿せ…!!!!!
[ギ…ッン!!ギュアァァァ…!!!]
左右の魔法陣がクロを包むように交差し、魔装の籠手を装着させる。
上空の魔法陣がクロに向かって降りていき、体を通り抜けると共に身に付けていた衣服がパージし、両瞳がまるで炎のように紅色に変色する。
さらに交差した魔法陣から黒い魔力粒子が噴出しクロの体を覆っていく。
魔力粒子が固まり、クロの魔法少女服:<ケイオス・ヘレスティア>を形作っていく。
クロ(さあ、這い上がって来なさい…♪我が最凶の一振り、ナハト・ゼーヴェ…!!!!!
[キ…ッン!ズアァァァ…!!ガシッ!!]
地面に展開していた魔方陣から鎌型の魔法の杖:<ナハト・ゼーヴェ>が召喚され、それをクロが装備する。
クロ(ふふん…!
[フワッ…!クルン…ッ!!]
クロはその場で一回転してみせ、スカートをひらりと翻す。
そしてナハト・ゼーヴェを前に突き出し最後の口上を並べ立てる。
クロ(恐怖しなさい…!!冥府をも貫く絶対的な闇の力に…!!!魔法少女シッコク…!!!!!ここに降臨…!!!!!
[パァァァ…!!!!!]
クロ(………ふっ♪決まったわ…♪
H(わー、お嬢チョーかっこいいっすねー…。
ノエルと違い、自信満々で終始ノリノリのクロの変身は見てて逆にこっちが恥ずかしくなってきてしまう系のやつだった。
クロの付き人(?)なハズのハウレスでさえこの口上とノリノリ加減には少し引いているようで、目が明らかに座っていて、言葉も棒読みだった。
それに続くかの如くノリノリで変身をし始めたのは言うまでもない、エリーゼだ。
エリーゼ(クロちゃんさっすが~♪エリーゼも負けないもんね~♪んぅ…♪ほっ…♪
[ぴょん…!すとっ!ぴかぁぁぁ…!!!]
1度飛び上がり、着地すると同時に、地面にピンク色の魔方陣が展開する。
エリーゼ(ぽわぽわるんるん♪るんたんた~ん♪変身だ、だ、だ…♪変身だぁ~♪
[ぴょん♪ぴょん♪ぴょん♪ぴょん♪]
[ぴかっ!ぴかっ!ぴかっ!ぴかっ!]
詠唱(?)とも取れる謎の口上を口にしながら数回スキップしてケラケラと無邪気に笑うエリーゼ。
スキップをしたひとつひとつの着地点から小さい魔方陣が展開していく。
エリーゼ(どれすあーっぷ!いりゅーじょん!
[キィィィ…ン!!ポワァァァー!!]
小さい魔方陣ひとつひとつが地面から浮かび上がり、エリーゼの体に重なっていく。
衣服が魔方陣の光でパージされ、ピンク色の魔力粒子が代わりにエリーゼの体を覆う。
エリーゼ(右にディナイフ…♪左にズィフォーク…♪
[キィィィ…ン!!パシュ!パシュ!]
[ガシッ!!ガシッ!!ガチィン…!!!]
[キィィィ…ン!!!パァァァ…!!!!]
集束した魔力粒子がエリーゼの双剣型魔法の杖:ズィフォーク、ディナイフを形成する。
それを両腕でガシッ!と掴み、ふたつを胸の前で撃ち合わせ、音を響かせると共にエリーゼは自身の魔法少女服:ヴィダーロ・エイプロンを纏う。
エリーゼ(ケーキにタルトに何でもござれ♪全部美味しく頂きます!!魔法少女エリーゼ♪キラキラキランと変身完了~~♪
[キラキラキラーン♪]
バッチリと決めポーズを決めるとキラキラとした魔力光がエリーゼの全身から溢れだし、周りに一斉に散布された。
エリーゼはクロにも負けず劣らずのドヤ顔で決めポーズを維持している。
3人全ての変身が完了するとノエル、クロ、エリーゼの順でチームとしての名乗りが開始される。
ノエル(世界の平和を乱す災厄達よ!!
クロ(罪と罰の混沌に呑まれ…!!!
エリーゼ(痛いの痛いの刻んどけ~~♪
ノエル(私達…!
[ババッ!!]
クロ(S級魔法少女チーム!
[ババッ!!]
エリーゼ(3人揃って~♪
[ババッ!!]
3人(ロリポップΩギャラクシー!!!!!!
[ドオォォォーン!!!!!!]
まるで戦隊ヒーローばりの爆破演出が3人の後ろで巻き起こる。
ちなみにこの爆破演出はクロが呼び出した悪魔ハウレスの協力ありきのものらしい。
俺はこの演出、というか脱出劇から今の今まで驚き詰めで、口をあんぐりと開けたまま立ち尽くしていた。
リリ(やっぱりいつ見ても決まってますね…♪3人共流石ですよ…♪
パチパチと拍手しながらリリが3人に賞賛を送る。
リリも満足気な様子で微笑んでいた。
駿(お前の入れ知恵かよ!?アレ!?
にやけ顔のリリに俺は鋭くツッコむ。
俺の鋭いツッコミに全く怯むことなく、リリはさらに鋭い口調で俺にもの申してきた。
リリ(アレは彼女達の練習の賜物なのです…!魔法少女にとって名乗りは必要不可欠…、アレをやるかやらないかで気合いの入り様が違うんです…!!
[キラン……!]
鋭い眼光をキランと輝かせ、リリは謎の持論を言い放つ。
その鋭い視線に俺は思わずたじろいでしまった。
リリ(ちなみに名乗りのテストでは3人共Aランクでした…。教導官として鼻が高いです…♪
駿(優秀さの判断基準どうなってんだ…。
もう何度目かになるだろうため息を吐き、呆れ顔を見せる俺。
それを嘲笑うかのようにリリはニヨニヨとした顔で俺の呆れ顔を迎える。
そんなやり取りを緊急停止させるかの如く、魔獣の怒号が再び俺たちに轟く。
FH1(ガォアアァァァ!!!!!
[ヒュオ…!!ブゥアッ…!!!]
駿(え…!?うわっ…!!?
魔獣は怒号と共に、ムチのような触手を鋭くしならせてそれを俺に打ち付けてきた。
避けることも、ましてや防ぐ方法もない俺にはただ手で無意味にも視界を塞ぎながら守りの姿勢を取るしかなかった。
そのまま攻撃を受けていたら確実にガードの上から叩き潰されていた。
それを防いでくれたのは…、、、
ノエル(!!? ダメッ…!!!!!
[キ……ン!!!シュパァァァ…!!!!]
[バギィィッン……!!!!!!]
FH1(ガッ…!!?
小さな体から解き放たれる眩しいほどの魔力の光。
その光は俺の前で集束し、巨大な盾を形作り魔獣の攻撃を跳ね返した。
誰でもない…、俺を助けてくれたのは小さな女の子、いや魔法少女だった。
ノエル(しゅ、駿さん!ご無事ですか!!?
駿(あ、ああ!大丈夫!ありがとう、ノエル!
ノエル(ふぇ!?あ、あの…!その…!ど、どういたしまして…!
あまりお礼を言われ慣れていないのかひどく動揺しながらノエルは感謝の返答をしてきた。
[シュルル…!!]
FH2(ガァァァ!!!
駿(あっ!?ノエル!!後ろだ!!
ノエル(えっ!?きゃっ!!?
ノエルの背後、触手の死角からの攻撃が
迫る。咄嗟に警告を促したがハイドラの攻撃は速く、鋭かった。
[ザシュウ…!!!]
駿(あっ…!!!?
クロ(…ふん。そう何度も同じ手は食わないわよ…?
速く鋭かった触手の一撃を、それすら凌駕する速さと鋭さでクロが対応する。
手にしたナハト・ゼーヴェにより触手は一刀両断され、ドズン!と地面へと落とされる。
ノエル(ご、ごめん…!クロちゃん。ありがとう…♪
クロ(全く…、油断しちゃ駄目よ…!ノエル!
ノエル(うっ…(泣)ご、ごめんなさい…(泣)
エリーゼ(ノエルん♪どんとまいんど♪
FH1・2・3(グギィィィ…!!!
クロ(さーて、改めてこの愚鈍な下等生物に審判を下さないとね…。
魔獣に向かってクロが不敵に笑う。
H(おー、お嬢おっかねぇっす…♪
クロ(ふふ♪さ…、宿りなさい…♪ハウレス♪
H(お?へへ♪りょりょっす♪
[キ……ッン!!!シュパァァァ!!!]
クロを中心に黒い魔法陣が展開する。
クロ(紅蓮の悪魔ハウレスよ…。今我が身とひとつとなりて全てを燃やす力となれ…!!!
H(ん…!!!
[グオォアアア…!!!!!]
ハウレスが一際大きい炎の塊になって魔法陣へと吸い込まれる。
魔法陣は黒から赤へと変色し、赤い魔法陣はそのまま術者のクロと融合していく。
赤い魔法陣を取り込んだクロの服装と姿に変化が生じた。
基本の黒いドレスに炎の紋様が混じり、クロの瞳も金色から赤い瞳へと変色した。
クロ(セット…、Katastroph:Form…!!!!
クロは炎の悪魔ハウレスと融合したことにより炎の力を纏った姿へとさらなる変身を遂げた。
クロ(行くわよ…、ナハト・ゼーヴェ…。
H〈炎力開放っす…!!!〉
[ボォア…!!!!]
ナハト・ゼーヴェに炎の力が集束し、クロの言葉に応えるように鎌の刃がキラリと光る。
クロ(滅べ…、Brennen:Sterblich∴死すべき運命の炎…!!!!!
[ヴォアァァァ…!!!!!!!]
FH3(ガッ…!?アァァァァ…!!!!?
[ズガァァァ…ッン!!!!!!]
凄まじい熱量の斬撃波がナハト・ゼーヴェから放たれる。
その斬撃波は敵一体を見事一刀両断し、丸ごと燃やし尽くした。
駿(な、あ…!?す、スゴすぎる…!
クロ(ふん♪どんなもんよ♪
H〈いやー、今日も派手っすねー♪〉
クロ(これくらい当然よ♪闇の覇者たる私にとってはね♪
エリーゼ(お~~~。
[ズズ…ッ!!ズガァ…!!ズガァ…!!]
[ズガァ!!!ズガァ!!!]
クロ(ん!?なっ!?
FH4・5・6・7(ガァァァァ…!!!!
地面からさらに4体も新しくハイドラが現れる。
クロが一体を仕留めたことにより敵も本気モードに移行したというところだろう。
ノエル(ま、まだいるの…!!?
クロ(くっ!ぞろぞろと出て来て!いいわ!纏めて焼き付くしてやるんだから!!
エリーゼ(うん!!よ~し!エリーゼも負けないぞ~!!
[ギュンッ…!!!]
エリーゼが目にも止まらぬ速さで一気にハイドラとの距離を詰める。
FH5・6(ガッ…!!?
エリーゼ(ンニヒ♪ひっさ~つ!!ズィフォーク☆アラモード…!!!ディナイフ☆プディンガー…!!!
[ザシャァ!!!ジャキキキキィン!!!]
敵の一体をズィフォークで突き穿ち、もう一体をディナイフで一刀両断。
突きは敵の胴体部分を貫き、胴体に3つの風穴を開けた。どうやら高速で3連突きを放ったようだ。
3連突きもそうだがディナイフによる斬撃もまるで目で追えなかった。
敵2体はあっという間にエリーゼの剣技の餌食となったのだった。
FH5・6(ガッ…アァ…!!アァァァ!!!
[ドガアァァン!!!ドガアァァン!!!]
エリーゼ(ンニヒ♪2体撃破~♪
ノエル(エ、エリーゼすごい…!
クロ(くっ…!相変わらず普段と戦いとの差がアンバランスな娘ね…!やるじゃない!
エリーゼ(えっへっへっ~♪今回の勝負も私の勝ちで決まりかな~?つまりまたまたクロちゃんの負け~♪
クロ(なっ!?そんなの許すわけないでしょ!?見てなさい…!!
[ギュン…ッ!!!]
エリーゼに負けまいとクロも敵に物凄いスピードで接近し、撃墜を図る。
クロ(受けよ…!Abgrund:Einfuhren∴奈落への誘い火…!!!!!
[ズガァァァ…!!!!!]
FH4(ギガ…ッ…!!?
[ズガァ!!ズガァ!!ズガァァァ!!]
敵一体の真正面の地面にナハト・ゼーヴェを勢いよく喰い込ませて地響きを引き起こしてみせるクロ。
その地響きのすぐ後、魔獣の周りを覆うように火柱が展開し、魔獣の動きを封じた。
クロ(ハッ!!!!!
[ボォアァァァ…!!!!!!!]
FH4(ギギャアァァァ…!!!!!!!
魔獣の周りに展開した火柱が一気に魔獣を包み込む。
火だるまと化した魔獣は苦しみの叫び声を上げ、触手をブンブンと振り回す。
[ズガァァァ…ッン!!!!!!!]
FH4(!!!?ガァァァァ…!!!!
さらに追い討ちをかけるように、魔獣の足元の地面が崩れ去る。
先程まで響いていた叫び声を道連れに魔獣はまっ逆さまに地中深くへと落ちていった。
その奈落へと落ちていく様をクロは見向きもせず、鋭く光る赤い瞳はすぐに新しい標的を定めていた。
クロ(後はまとめて片付けてやるわ…!
FH1・2・7(ガッ…!!?
クロ(フッ♪縛れ…!Ecateric:Bannen∴女帝の鎖…!!!!!
[ギッン…!!!ジャララララァ!!!!]
残り3体のハイドラの周りにいくつもの魔法陣が展開し、そこから魔力で精製した鎖が飛び出す。
ハイドラ達は逃げ出す暇もなく、飛び出した鎖に拘束される。
FH1・2・7(ギ…!?ガァ…!!?
クロ(ふん♪これはさっき拘束されたお返しよ!!
H〈執念深いっすねー♪お嬢♪じゃ、まとめてトドメ行っちゃうっすかー?♪〉
クロ(ええ♪
エリーゼ(ええええーーー!!!!!
クロ(うわっ!!?
エリーゼのとびきり大きい絶叫がクロの鼓膜を揺さぶる。
クロ(な、何よ!?いきなりおっきな声出したらびっくりするじゃないのよ!?
エリーゼ(だってだってぇ~!クロちゃんさっきいっ~ぱい倒したじゃ~ん!次はエリーゼの番~!!
エリーゼは、敵を倒した数の配分についてクロに猛抗議を図る。
クロ(はあっ!!?アンタだってさっきいっぱい倒したでしょうが!?こんなの早いもん勝ちよ!悪いけど“えむぶいぴー”は私の物なんだからね!
クロも負けずにエリーゼの抗議に立ち向かう。クロもクロで撃墜数については譲れないようだ。
エリーゼ(ならエリーゼがやるー!!エリーゼだって、え、えむ、“えむけいふぁいぶ”になりたいもん!!
エリーゼ…、“MK5”(それ)はマジでキレる5秒前って意味で全く違うぞ…。
とにもかくにも拘束しているとはいえ敵の目前でケンカが勃発してしまっている。
これは非常にマズイのではなかろうか…。
ノエル(あわわわわわ…!
リリ(はあ…、あの2人は全く…。
だが、リリの雰囲気からしてこの言い争いが日常的な物であることを何となく察した。やれやれといった風にため息混じりでリリの眉がハの字型になる。
[ギッ…!ギギ…ッ!ギヂィ…!!]
2人が言い争いをしている最中、敵は拘束から逃れようと体を揺らして着実に拘束を破壊しようとしていた。
ノエル(あっ…!?
[ギギ…ッ!ミシッ…!グググ…ッ!!]
FH1・2・7(ガ…!ァァァ……ッ!
[ギヂィ…!!!ピキィ…ッ!!!]
ノエル(危ない…!!
魔獣の拘束が解けるや否や、ノエルがその危険性に瞬時に対応する。
[キィィィ…ッン!!!!]
ノエル(鎚・創製…!!!
溢れんばかりの魔力光を手元に集中させ、超巨大なハンマーを顕現させる。
それを軽々と振り上げて…!!
FH1・2・7(ガァァァァ…!!!!
[バギィィ…ッン!!!!!]
クロ(あっ!?私の拘束が!?
エリーゼ(わわわー!?
拘束から一気に解き放たれた3体の魔獣。
しかしそれすらをも凌駕する一撃がこのあと炸裂することになる。
ノエル(クロちゃん!エリーゼ!避けて…!
[ブォアァァァ…!!!!!]
クロ(へっ?
エリーゼ(ほへ?
H〈あ…、、、?〉
恐らく2人の瞳には鬼神の如き少女が映っていたであろう。
ただ「避けて…!」と言っただけで、全く躊躇のない超打撃を超至近距離に振り下ろそうとしている。
それを鬼神と言わずして何と言うべきか。
クロ(ギャアァァァ…!!?
エリーゼ(うにょわぁぁぁ…!!?
H〈ヒエェェェー!!?〉
まあ、深く難しい描写や言葉を並べずとも、この2人の絶叫で何となく察して頂けるとありがたい。
2人は最大限の瞬発力でその一撃からの回避を試みる。
簡単に言うとメチャメチャ早くその場から離れようとダッシュしたってところだ。
FH1・2・7(ガッ!!?アァ…!!?
ノエル(Dokkant:Hammer……!!!!!!
[ドッガァァァ…ッン!!!!!!!]
ノエルはたったの一撃で3体の魔獣を纏めて撃退した。
魔獣達は最期の断末魔さえも出せぬままに見事に叩き潰され、ぺしゃんこに。
文字通り押し花と化したのだった。
駿(す、すっごいな…。でたらめってこういう時に使う言葉なんだろうな…。
ノエルの超打撃の凄まじさにただ唖然とするしかない俺。
リリ(ええ…。ノエルさんはまた魔力量と攻撃性能に磨きがかかったように思えます…。
ですがやはり力の制御が出来ないのはよろしくありませんね…。
俺とは違い、冷静な分析でノエルに諭すリリ。
ノエル(うっ…。す、すみません…(泣)
ノエルは巨大なハンマーを再び魔力に転換した後、しゅんとした泣き顔をちらつかせながらうつむく。
ノエルには悪い気もするけど、この顔にも大分耐性がついてきてしまった…。
[プルプルプル…ッ!]
クロ(ノ・エ・ル~~~(怒)
ノエル(あ、クロちゃん…(泣)
超打撃の勢いによって軽く十数メートルは飛ばされたであろうクロとエリーゼ。
クロは眉間にシワをピクピクと寄せながら、目をギラギラさせてノエルへと地団駄を踏むように近づいてきた。
クロ(あ、クロちゃん…(泣)じゃあないわよ!!私達まで危うくぺしゃんこになるところだったじゃないの!!!
ノエル(ヒィ…ッ!(泣)
H〈じゅ、寿命縮んだっす…(汗)〉
エリーゼ(にゃはははは~♪超~危なかった~♪セ~フ♪よっと~♪
[スタッ!]
逆立ちのような状態だったエリーゼがヒラリと宙を舞うように再び地面に足を着ける。
クロ(今日2回目よ!?さっきも言ったばっかりだったでしょーが!!(怒)
ノエル(うぅ…(泣)ごめんなさい…(泣)
クロ(まったく…!(怒)
リリ(自分の行いを棚に置くのはあまり感心できませんよ…?漆黒さん…。
クロ(うっ!?
リリ(エリーゼさんも…。
エリーゼ(にゃ、にゃはは…(汗)
リリ(クエスト中に、しかも戦闘中にケンカしてはいけないとあれほど厳しく言ったはずですが…?
リリの教官としての恐ろしいほど冷たい視線がクロとエリーゼに向けられる。
クロ(うぅ!けど今回のはエリーゼが!!
エリーゼ(えぇ!?ずる~い!!エリーゼのせいにする気なの~!?クロちゃん!
リリ(問答無用…。ケンカ両成敗…。お二人のお給料からさらに10%カット…。
クロ&エリーゼ(なぁ!!?
H〈あ~あ…。〉
駿(あ、あはは…♪
クロ(くっ!そこぉ!笑ってんじゃないわよ!!(怒)
駿(い!?うわあ!ごめん!ごめん!
つい油断して笑みがこぼれてしまった。
蚊帳の外みたいな気分でいたらいつ手痛い反撃を喰うかわからない。
これからは用心しよう…。
リリ(ともあれ…、今のノエルさんの一撃で最後の討伐対象も撃破…、クエストはこれにてクリアーというところでしょうか…。
見渡す限りもう魔獣の姿は見当たらない。
ひとつツッコむしたら、ここに来た当初より遥かに見晴らしが最悪になってしまったということぐらいだな…。
なんか逆に荒らしてしまったみたいになっちゃってるが、まあ一応魔獣のせいということにしておこう。
静閑な草原からボロボロの荒れ地に変わってしまったシグルド草原に弱々しい風が吹く。
砂ぼこりが風に流され宙に舞う。
静けさだけは来た当初と変わらず、リリの電子パネルの操作音がよく響いていた。
しかし瞬間、ピタリと電子パネルの操作音が鳴り止む。
リリ(……おかしい…、ですね…。
リリは表情こそ変えなかったが、言葉の歯切れの悪さが状況の不自然さを醸し出していた。
俺はこの雰囲気にデジャブを感じながらリリに問いを投げ掛ける。
駿(おかしいって…、何が…?
リリは電子パネルを睨みながら、少しずつ俺の問いに解答していく。
リリ(クエストの達成認定が下りていません…。
見る限り対象はもういないはずなのですが…、、、
確かにそれは確認済みだ。
もう一度全員で辺りを見回すが、敵の姿も気配も感じはしない。
リリ(……もしかすると、先程のようにまだ地中に潜んでいるハイドラがいるのかもしれませんね…。
ノエル(あ…。
可能性としては十分あり得る話だ。
実際問題、地中に敵がいたとしてそれを感知するのは容易なことではないだろう。
エリーゼ(お~♪まだいるの~?じゃあ、クロちゃんに勝てる可能性がまだあるってことだよね~♪
ノエル(エ、エリーゼェ……(汗)
先程リリにプレッシャーをかけられたのをもう忘れてエリーゼは再びえむぶいぴーに向けて爛々と目を輝かせる。
クロ(全くアンタは…。懲りないやつねぇ…。
1度ケンカに発展してしまえば自分も乗ってしまう質のクロが他人事みたいに言うのはどうかと思うな…、本人には絶対言えないけど…。
エリーゼ(そおと決まれば~!ノエル~ん♪スコップ錬成って~♪
ノエル(掘るのっ…!!?
エリーゼ(掘る~♪
H〈何時間かかるか分かんないっすよ…(汗)〉
クロ(ええ…(汗)
エリーゼ(にゃはは♪だよねぇ~♪
リリ(何か別の方法を模索する必要がありますね…。
駿(と言ってもどうすれば…、、?
[グゴゴ…ッ!ゴゴゴゴ…ッ!!]
駿(!?なんだ!?地震…っ!?
俺の言葉を断ち切るように地鳴りと地響きが体を揺さぶる。
並大抵の揺れではない!
[ゴゴ…ッ!!ゴゴゴガ…ッ!!!!]
ノエル(ひゃっ!?
エリーゼ(おっとと!?
クロ(んっ…!これって…っ!?
H〈お嬢っ!!今すぐここから離れた方が良いっす…!!!アタシらの真下…!!デカイ魔力の塊が上がって来るっすよ…!!!〉
リリ(!?駿さん!こちらへ…!!
駿(あ、ああ…!
リリ(皆さんも各自で散開を…!!
ハウレスの忠告を受け、リリは全員に回避行動を促す。
[シュバッ!!シュバッ!!シュバッ!!]
全員即座に震源地である所からの回避を完了させる。
先程まで足を着いていた地面に亀裂が入っていき、その周りから何本もの蔓状の触手が突き破り飛び出してくる。
クロ(ふん!何体出て来ようと私のナハト・ゼーヴェで切り刻んでやるわ!
H〈いや…、違うっすよ…!お嬢っ!〉
クロ(え?
H〈アレは…、1体…!1体だけの魔力反応っす…!!〉
クロ(はぁ!?1体だけ!?1体だけで、この魔力反応って…、まさか…!?
9話はここまで!
ご愛読ありがとうございます!
宮永 悠也です!初めてあとがきで名前名乗った(笑)
次はついに節目の10話目です!
10話目からはもっと(個人的に)熱い展開が待っていますのでおたのしみに!
戦闘の描写は難しいですが、完全に自分の書き方で書いてるので自分はとっても読みやすいです(笑)
そして楽しい!
技の名前とか特性とか考えるのとても楽しい!
中ニ病治らないんだなー、これが。
まあ、それで書ける気力が出るならよしとしましょう!
度々編集も入れてるので結構文面変わってるかも知れません。
文章付け加えていったり、キャラの言葉遣い直したり、ふりがな振ったりとかなので、消したりはしてません。
基本書いたの消したりするの嫌なのでなるべく残して文章繋げたりとかしてます。
これからも頑張って書いていくので宜しくお願いします!
それでは!