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雰囲気作りは大切ですよ…?

扉開閉音[ヴィィィ…ン!!!]


何枚かの扉をくぐり、廊下をどんどん進んでいく。最初にノエル達の部屋に行ったルートとは違うルートでリリは歩を進めて行った。

5分程歩いていくとひとつの扉の前でリリは歩を止め…。



リリ(さあ、ここです…。



ノエル達の部屋と違い、部屋に入る際の暗証番号的なものはなく扉は自動で開き、同時にそのまま部屋に入っていく。

その部屋は一番最初にこの管理局に転移してきた場所(へや)だった。



リリ(次元転移装置室…。駿さんは最初にここに来ましたね?


駿(あ、ああ。


リリ(この部屋がクエストを攻略する際の拠点となります…。ここからハイドラを観測した次元まで転移することができ、また帰還する際もこの部屋に戻ってきます…。

大まかに言いますと、機関の外に行く際はこの装置を使っての転移が必須ということです…。


駿(つまり、俺が元の世界に変えるときもこの装置を使って帰るってことか?


リリ(ええ…。そうです…。


駿(じゃあ、その逆は?俺がこの管理局に来たいときはどうすれば?


リリ(駿さんの手の甲にある刻印…。


駿(え?これ…?



俺は右手を挙げ、リリに見えるように刻印を示した。


リリ(はい…。それです…。その刻印は使い魔としての認証紋であり、同時にこの機関へのパスとしての役目を担っています…。

機関(こちら)に来たいときはそのパスを通じて転移を行って下さい…。


駿(…?。えっと、具体的にはどうすれば…?


リリ(念じて下さい…。機関(こっち)に来たいよ~…と。


駿(え?それだけ?


リリ(はい…。それだけです…。


駿(なんか呪文みたいなのがいるのかと…。


リリ(唱えて下さっても構いませんよ…?


駿(必要がないんだったらやらないけどさ…。


リリ(まあ、必要はありませんが…、雰囲気作りは大切ですよ…?


駿(いや、雰囲気別に要らないし…。


リリ(そぉですか…。


何故か残念そうな顔になるリリ。けど、すぐ気を取り直して俺に説明を続けてくれた。


リリ(転移の際は多少の魔力を使うことになります。まあ、使うといっても階段を二、三段登り降りするくらいの労力を…ですが。


駿(階段を二、三段って…。空間転移って案外簡単なんだな。


リリ(駿さんの世界とここは次元的に近いですからね…。近いからこそパスを繋げられてさらに空間転移の魔力を軽減できています…。

しかし今回のような全くの別次元の場合は転移の際、膨大な魔力を消耗してしまいます。

それを補うためにこの転移装置があるわけなのです…。


駿(な、なるほどな。


リリ(ちなみに元の世界に帰る際もこの部屋にての帰還をおすすめいたします…。パスを通してでの帰還も出来なくはありませんが、その場合あらかじめ転移を行った場所にしか戻れませんので…。


駿(この装置を利用すれば戻る際の融通がきくってことだな?


リリ(その通りです…。



リリはこくりと頷き、そのまま装置のひとつのパネルを操作しだした。どうやらクエストの内容を入力及び再確認しているみたいだ。

パネルを見ながらまたポソポソと内容を漏らしていた。



リリ(S級クエスト…。魔獣討伐任務…。植物型ハイドラを全て撃退せよ…。転移先、次元空間Type-C シグルド草原…。気候、湿度共に正常値…。安全確認オールクリア…。


[ピッ!ピッ!ピッ!]


[ブ……ッン…!!!キィィィ…ン!!!]


装置音声[第1番転移装置起動、転移先の入力を確認いたしました。転移装置台にお乗りください。]



装置の電子音声が流れ、リリが俺達4人に振り向き直る。



リリ(さあ、転移の用意はこれで完了です…。今回のクエストに限り、私も特別に同伴させていただきます…。もちろん駿さんの護衛を兼ねてのことですが…。


駿(あ、ああ。よろしく頼むよ。


リリ(はい…。しっかりと護衛させていただきます…。皆さんも特別に緊張などしないよういつも通り頑張ってくださいね…?


ノエル(は、はい…!が、頑張ります…!


クロ(下僕に主人がお手本を見せるのは当然だものね♪いつも通りやらせてもらうわ♪


エリーゼ(いつも通りサーっと終わらせてパーっと帰ってグワーっとお菓子食~べよ♪


クロ(アンタは緊張感無さすぎでしょ…。仮にも任務なんだからシャキッとしなさいよね?


エリーゼ(ふぁ~~~い…。


クロ(言ってるそばからアクビ混じりで返事するんじゃないわよ!?闇に堕とすわよ!!!


エリーゼ(ふぁい、ふぁい。りょーふぁい。


クロ(アンタねぇ…(怒)


リリ(ケンカしてないで行きますよ…?漆黒さん…。エリーゼさん…。


[ギロリ……]


クロ・エリーゼ(ひっ!?ご、ごめんなさい!



クロとエリーゼのケンカを一言で(たしな)めるとリリは転移装置の台の上に乗った。

それに続くようにクロ、エリーゼ、ノエルの順に台の上へと乗っていく。



ノエル(しゅ、駿さん…!



[スッ…]



駿(え?あっ…。



俺が台の上に乗りやすいようにだろう。

小さい手を伸ばしてノエルが俺を優しく導いてくれた。その好意に甘え、俺は差し伸べてくれた手を取って台の上にゆっくりと乗る。



駿(ありがとう♪ノエル♪


ノエル(い、いえ…♪ん…。


駿(?……あ。



わずかだったが、取ったノエルの手は震えていた。緊張のせいかどうかは分からなかったが、確かに小さく震えていた。まるで水面に波紋が広がるかのようにその震えは俺に伝わってきていた。それを悟られるのを拒むようにノエルはそっと静かに、けれど素早く握っていた手を離した。

ノエルの手が離れた時、俺は気付いた…。

俺自身も、ノエルと同じくらいに無意識に手が震えていたことを…。



[キィィィ…ン!!!フワァッ…!!!]


駿(ん…っ!



電子音声[転移まで10秒…、9、8、7…、]



電子音声のカウントが始まる…。

今日2度目の不思議な浮遊感…。

1度目と同じく心臓の動悸が激しくなって手の震えをさっきよりも強く感じる…。

最初の転移でリリが言っていたことを思い出し、俺は深く深呼吸をして心を落ち着かせた。

なるべく体が揺れないようにバランスを取り、光の粒子が体を覆っていくのを見つめていた。

そして転移の瞬間がきた…。



電子音声[2、1、0…!転移(テレポート)…!]


[キ……ッン…!シュパァ…ッ!!!]







………転移成功…、、、エラー情報なし…。




[ガガ…ッ!ピーッ!ピッ!ピッ!ピッ!]





[ブ………ッン…!!!]




…………………登録データ改変………………





………エラー情報……、、、、、???




………データ照合不一致…。




………データ不具合箇所 1項目…。




………データ不具合内容:クエストレベル




………登録クエストレベル:S級Sレベル




………登録改変後レベル:L級Sレベル




[ブ………ッン…!!!]





……………………改変完了……………………





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