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魔法少女が小学生なのは王道でしょう…?

リリ(使い魔のお仕事について…、もう少し詳しく説明致しますね…。


駿(あ、ああ。


リリ(使い魔には、魔法少女と一緒に戦う以外のお仕事もあります…。


駿(それって…?



静かに息を飲みながらリリに質問を返す。



リリ(担当する魔法少女にお仕事を与えるお仕事です…。


駿(……え?


リリ(詳しく説明しますと…、私達魔法少女育成機関はその名の通りすべての魔法少女の育成及び管理をしています…。昔から魔法少女は人々に希望や夢を与え、世界に平和と均衡をもたらしてきました…。

その活躍と功績を讃え、魔法少女に安定した環境と先立つ物を提供しようという理念のもと、この育成機関が設立されました…。



駿(先立つ物って…、お金?


リリ(はい…。機関にはひと通り生活するための部屋も用意しています…。


駿(随分と優遇なんだな…。


リリ(魔法少女の皆さんには仮にも命を懸けてお仕事をして頂いている次第です…。報酬としては、足りないくらいです…。



リリは少し俯いて、一瞬だが暗い表情になった。

寂しそうで悲しそうな…。

それが気のせいだとは思えなかった…。

けれどリリはまたすぐに無表情に戻って話し始めた。



リリ(すみません…。話を戻します…。現在、魔法少女の皆さんには私達の管理の下、世界に発生する歪みを修正・浄化をして頂いています…。


駿(歪み…?歪みって…?


リリ(世界で起きる災害や事故、世界に何らかの影響を及ぼすもの自体が歪み…。その歪みを私達はハイドラと読んでいます…。


駿(ハイ…、ドラ…?


リリ(そのハイドラを修正・浄化する任務をクエストと置き、魔法少女に与えるのが…、、、


駿(使い魔の仕事…、か?


リリ(理解が早くて助かります…。詳しい内容についてはこれから追々伝えていくということでよろしいでしょうか…?仕事をしながらという風になるとは思いますが…。


駿(あ、ああ…。


リリ(ありがとうございます…。それで…、あの…。

これから何かご予定は…?


駿(え?いや…、特にはないけど…?親は共働きでほとんど家にいないし…。


一応説明しておくと俺の両親は母さんが看護師で親父が医者…。母さんは夕飯を作りにたまに帰って来たりはするが、親父の方は3ヶ月に1度家で顔を見るくらいだ…。だから言った通りほとんど家には帰って来ない。帰って来たとしてもすぐ病院にとんぼ返りするのがいつものパターンだ。

…まあ、だから都合が良いってこともあるけど…。



リリ(なら…、これから機関の方に行ってみませんか?


駿(ん?…え!?



正直予想外の提案に俺は驚いた。



駿(い、今からか!?


リリ(はい…。もし時間がおありでしたら、駿さんが担当する魔法少女さん達をご紹介させて頂こうかと…。


駿(ん…!?ちょ、ちょっと待て!今お前、魔法少女さん“達”って言ったか…!?



あまりにスラスラと話を進めていたリリの聞き捨てならない一言に俺は突っ込んで質問した。



リリ(?…はい。言いましたけど…?


駿(ひ、ひとりじゃないのか!?


リリ(はい…。駿さんが担当する魔法少女の皆さんは合わせて3人ですよ…?


駿(さ、3人も!?



正直驚いた…。イメージ的にマンツーマンな感じかと勝手に思っていた俺にも非があるけれども…。



リリ(心配は要りませんよ…?3人共とても良い娘達ですから…。元気で素直な小学6年生の女の子3人です…。


駿(いやそういう問題じゃなくてだな…。って!小学生!!?



さっきからサプライズな発言のオンパレードなんだが…?

リリのひとことひとことに驚いていて、話が全然進んでいかない…。



リリ(何を驚いているんですか…?魔法少女が小学生なのは王道でしょう…?ちっとも可笑しいことじゃありませんよ…?むしろ土星に輪があるぐらいの必然です…。


駿(その謎の土星推しホント何だよ!?あとお前の個人的感想を一般化するな!


リリ(魔法(わたしたち)の世界では常識です…。



魔法(おまえら)の世界どうなってんだ…。



リリ(それで…、どうでしょう…?


駿(ん?んー。うん。分かった…。こうなったらとことん付き合う。正直少し気になってたしな。


リリ(ありがとうございます…。では…。



そういうとリリは俺の方に手を差し出してきた。


駿(ん?何だよ…?この手…?


リリ(あ…、空間転移を行いますので私に掴まって頂きたく…。


駿(空間転移!!?


リリ(はい…。機関は別次元にありますので…。


ホント夢なんじゃないかと少し頬をつねってみたが確かに現実だと改めて認識させられただけだった。

そんな俺の行動にリリは少し首を傾げて、再び俺の方に強く手を差し出してきた。



駿(ん。



俺はひょいとリリに手をつきだし返し、リリの手を取った。すると何故かリリは、こめかみにシワを寄せてむっとした表情になった。すると俺にこう言ってきた。


リリ(あの…。少し(かが)んで頂けると助かるのですが?


駿(え?あっ…。


俺はようやく理解した。リリの身長は推定130cmくらいで…、それに対して俺は現在173cm…。

リリからしてみれば俺が普通に出した手の位置はいささか高かったようで…


リリ(すみませんね…。何分こんな容姿なもので気遣って頂かないと腕が痛くなってしまいまして…。


分かりやすくこめかみをピクピクと動かしながら静かに怒るリリを俺は苦笑しながらなだめ、言われるまま屈んでリリの手を取り直した。リリはこほんと小さく咳払いした後、何事もなかったかのように完全に落ち着き払って…。


リリ(さて…、では転移を開始します…。心の準備はよろしいですね…?


駿(…ああ!


内心ものすごくドキドキしていたが、あえて顔に出さずに俺はリリに力強く返事を返した。さっき言い放った決意が嘘ではない証明として…。


リリ(転移開始…。


[キィィィ…ン!]


駿(!?うわっ!?


突然フワッと体が宙に浮いて思わずバランスを崩してしまった。


リリ(そのまま…、気持ちを落ち着けて目を閉じ、楽にしてください…。


言われるまま俺は目を閉じて握った手の感覚にだけ意識を集中した。その瞬間さっきよりも体が軽くなり、閉じていた目の隙間から光が入り込んできた。

微かに目を開けてみると俺とリリは光の粒子に包まれていた。さっきよりも地面から足が離れていて心臓の動悸は更に激しくなった。


リリ(転移(テレポート)…。



[キ……ッン!キュン…!!!]



リリが小さく呟いた瞬間、体が激しくグラッと揺れ、まるでジェットコースターで急降下するみたいな感覚を味わった。

路地に閃光が走ると共に転移し、さっきまでいた路地から俺たちの姿は一瞬にして消えてしまった。

路地にはいつも通りの静寂が戻る。



……………………………………………



[キィィィ……ッン!シュパァ…ッン!!!]



駿(ぐっ!?うあっ!!?



[ドサっ!!]



不思議な感覚に呑まれていた俺を重力的な力が復帰させた。着地は見事に失敗したがどうやら着いたらしい…?



駿(って…、なんだ…?ここ…?



俺が勢いよく不時着をした場所は、屋外ではなかった。

というのも、まず上を見れば天井があるし、目の前にはドアがいくつも並んでいたからだ。

見渡せば何やら複雑そうな機械が並んでいてそれぞれが自動的に稼働していた。

完全にどぎまぎしていた俺に対し、リリはすました顔でふーっと息を整えてから話しかける。



リリ(到着です…。ここが私達の機関…の次元転移装置室です…。すでにここは機関の内部ですよ…?


駿(こ、ここが…?



あまりに魔法とは縁遠そうなこの部屋の内装に疑問を抱きつつ、俺は不時着した体勢のまま周りをただただ観察していた…。



リリ(さ、それではそろそろ立ち上がって下さい…。

機関の内部を案内致します…。


駿(あ、ああ!


座り込んでいた俺を促し、ドアの方へとリリは足を進めた。扉は自動で下から上へと開き、俺が扉の(さかい)を通過すると直ぐ様扉は閉じた。

扉を抜けると廊下が続いていて、その様もまた魔法的(?)とは到底思えなかった。

完全に俺のイメージの問題でもあるが…。



駿(な、なあ…。ここ本当に魔法の…その、育成機関とかいう所なのか…?なんかイメージ的に大分違うというか…。


リリ(ん?あー、そうですね…。駿さんが思う魔法的なイメージとは確かにここは逸脱した所に見えるかもしれませんね…。見ての通り魔法とは真逆の科学的景観であると思われます…。


駿(う、うん…。そうだな…。研究所みたいというか…。



俺のイメージとして、魔法と科学は真逆の存在であると勝手に考えていた。

科学の進歩があったからこその結論にはなるが、魔法も含めてそういった非現実的なものの存在は否定されるのが俺の世界では一般的というか常識だ。

故に、魔法の世界が存在するとして、その世界では科学的なものが逆に否定される、というか存在しないものとして扱われているのがこちらの常識だと思っていたというのが俺のイメージ。

けれど、ここはどちらかと言うと、科学的要素が強い。

だからこそ感じる違和感だった…。

その違和感を払拭する為の説明をリリが続けて話してくれた。



リリ(大まかに説明しますと、ここは言わば私達の世界と駿さん達の世界、その両方の仲介的な役割を果たしている場所なんです…。

現在、私達の育成機関では約50人の魔法少女の皆さんを管理しています…。


駿(ご、50人…!?


リリ(ええ…。中には勿論、駿さん達の世界から魔法少女となった方も魔法(こちら)の世界から魔法少女になった方もいらっしゃいます…。双方の両立を行いつつ形作られたのがこの機関なんです…。確かに魔法とは表裏一体の科学的景観かとは思われますがそこは気になさらない方向で…。


駿(あ、ああ。


リリ(…まあ…。


駿(ん?


リリ(ぶっちゃけた話、そんなのは建前で、全部うちの局長の趣味なんですけどね…。はぁ~…。


駿(え?何だよそれ…?ていうか局長って…?



今までにないような呆れ顔をしながら深く深くリリは溜め息をついた。そして俺の質問に答えを返す。



リリ(ん。ここの正式名称は、魔法少女育成機関第3支部管理局…。だからここの一番偉い人は局長と呼ばれています…。というか呼ばされてます…。ここの局長は元々、駿さん達の世界の生まれなんです…。だからという決定的な根拠ではありませんが、科学的景観が強いのは局長のせいもありますね…。はぁ~…。



不遇なのか凄く嫌な顔をしながら話すリリ。俺はそれとなく話を反らしてあげることにした。まあ、元々話のきっかけを作ったのは俺だけど…。



駿(え…っと…、俺が担当する魔法少女についていろいろ知りたいんだけど…。


リリ(ならまずここへ入ってから詳しく話しましょう…。今ちょうど訓練中でしょうから…。


駿(訓練?


リリ(ええ…。



リリはひとつの扉の前に立ち、扉の横の操作ボタンを軽快に押し扉のロックを解除した。


駿(!?


リリ(当然…、魔法の…、です…。



扉が開くと同時に、俺が目にした光景は数人の女の子達が1対1で戦っている姿だった。

1組は杖のようなもので近接的に何度もぶつかり合っていて、またある1組は砲弾のようなものを杖から打ち出してそれをぶつけ合っていた…。

そのあまりに鮮烈な光景に俺は驚きを隠せなかった。完全に目を奪われていたと言ってもいいほど俺はその光景に魅せられていた。



A(ハァァァ…!!!


[ガギィン!ズガッ!ギィン!]


B(くっ!たぁ!!


[バギィ!!ガギィン!!!]


C(ん…!はああっ!!!


[キィィィ…ン!ズシュゥゥゥ…ン!!!]


D(はっ…!!!


[キィィィ…ン!バヂィィ…ン!!!]



駿(ま、マジかよ…。


リリ(ここでは魔法の基礎的訓練を行っています…。

魔導具での近接戦闘、魔力形成による放撃、それに対応する防御魔法…、その他諸々をここで全て教授しています…。


駿(こ、これで…、基礎…?


リリ(はい…。クエストを受けられるようになるにはまず魔法の基礎をしっかりと身につけなければなりません…。クエストは最下級のものでも決して甘いものではない…。故に魔法少女の皆さんにはそれ相応の訓練をして頂かなくてはなりません…。


駿(な、なるほど。それにしても激しすぎないか…?


リリ(まだまだこれは序の口です…。ここにいる魔法少女の皆さんはそれぞれまだ最下級の階級ですからね…。


駿(階級?魔法少女に階級があるのか?


リリ(はい…。A~Zまで幅広く…。


駿(そんなに…!?てかなんでアルファベット順…?


リリ(さあ?詳しいことは知りませんけど…。


駿(あ、そこはリリも知らないんだな…。ちなみに俺が担当する魔法少女の階級って…?


リリ(S級です…。


駿(……ん!!? え、S級!?


リリ(本来S級は特別扱いで、使い魔を用さない階級なのですが、私が上と掛け合って特別に使い魔を従えるように計らったんです…。そこに抜擢、運良く選ばれたのが…。


駿(俺…ってわけ…?ていうかリリって意外とすごいやつだったり…?


リリ(まあ、教導官 兼 ドセラーですから…!


駿(ドセラー関係ないだろ!?


リリ(はいはい…。では早速彼女達のもとに行きましょうか…。



扉開閉音[ヴィィィ…ン]



完全に流しやがった…。どや顔のまま扉を抜けてスタスタと廊下を進んでいくリリに苛立ちを感じながら俺は質問した。



駿(ていうか…、そもそもそんな階級(クラス)を俺なんかが受け持っていいのかよ…?完全ド新人な訳なんだが…?



するとリリはどや顔から転じてきょとんとした顔つきになり…、



リリ(?別に大丈夫じゃないですか…?妥当だと思いますけど…?


駿(そ、そうなのか…?



あまりにきょとんとされたので変に引っ込みがついてしまった。

大分俺を評価してるのかリリは全く問題視してないみたいだけど、俺としてはかなり不安で、いきなりS級なんて大物と分かり合えるのか予測さえできはしない…。

しかもリリの話が本当なら俺が担当するのは小学生…。

考えてみるとこれが一番の問題点じゃなかろうか…。

今まさに俺はその現実へと一歩一歩足を踏み入れて…、、、



リリ(あの…。着きましたよ…?


駿(え…?え…!?



考え事をしているうちに目的の場所に着いてしまったみたいだ…。

一気に心臓の動悸が激しくなる。

テレポートした時とはまた違った変な感覚に少し冷や汗が(にじ)んだ。



駿(ここに…、俺の担当する魔法少女が…?


リリ(ええ…。あまり緊張せず気楽に接して下さいね…。今日駿さんが来ることは勿論3人共知りませんのでサプラーイズな感じでお願いします…。


駿(あ、ああ…。



サプラーイズな感じでお願いというの無視して俺はただ緊張しないように深呼吸した。


そしてリリは扉の開閉ボタンに指を向ける…。













3話投稿です♪

今回は駿の決意から転じて、駿が担当することになる魔法少女3人に会いにいくというものでした♪

リリは「機関」と読んでますが、作者の私としては「管理局」という言葉についつい謎の高揚感に囚われてしまうわけで…(笑)

管理局ってかっこいいでよね♪

機関っていうよりもなんていうか響きが♪

なのでリリはこれからも「機関」と呼んでいくのですが駿や他の人達は「管理局」で統一させたいと思います…(笑)

完全に私の趣向です。すみません。

機関派の皆さんがいたら申し訳ないです( ̄▽ ̄;)

これから駿はいよいよ魔法少女との関連を深めていくわけですが、はてさてどうなることやら…。

まあ駿さんはいじられキャラなのでこれからも振り回されるのは決定ですが…。

これは駿をキャラとして愛するが故の作者の愛の鞭であることをご理解して頂きとうございます♪

これから登場する魔法少女の子達にも目一杯愛情を注いで書いていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願い致します♪

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