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これからもがんばります♪

<管理局・教導課職員個室>



クロ(はあぁ~~~~。疲れる…。レポートいくつ書けばいいのよぉ…。



2Bの鉛筆を右手に持ったまま、机にペターーと引っ付いて項垂れるクロちゃん。

リリ先生が出した反省レポートの数は、クロちゃん、エリーゼ共に3枚。

生き生きと隣で書いているエリーゼに対し、クロちゃんは力尽きたように弱音を吐いちゃっている。



ノエル(が、頑張ろ?クロちゃん…(汗)

ほら、あと1枚だよ…!


クロ(ノエルは初めから1枚だけじゃないのよ~!なんで私達だけ3枚も…(泣)


ノエル(う…!ご、ごめん…。



そうだよね…(泣)

私がフォローしても逆効果だよね…(泣)



クロ(いや…、ごめん…。ノエル悪くないのに…。わかってる…(泣)

私が悪いの…(泣)忘れて……、ノエル(泣)



ノエル(あ!ううん!気にしてないよ!クロちゃん…!



クロちゃんは優しい…♪

たまに暴走したり、難しい言葉言ったり、素直じゃない時もあるけど、、、

ほんとはすごく素直でとっても良い子…♪



エリーゼ(ふんふんふ~ん♪おっけー!

完成だ・だ・だ!完成だ~~♪


クロ(はあ…?アンタもう書けたの!?

見せてみなさいよ!?


エリーゼ(いいよ~♪は~い♪



3枚全てをセロテープでくっつけた物に、大きく絵を描いて完成。

下の余白(?)部分には大きな文字で…、、、



クロ(今日もいっぱいハイドラをやっつけました…。楽しかったです…。終わり…。



と書かれていました。でもこれは…(汗)



エリーゼ(よく描けてるでしょお~♪これがノエルんで、これがクロちゃんで、これがエリーゼ~♪


クロ(アンタねぇ…、、、絵日記じゃないのよ…?


エリーゼ(え~~?だめ~~?


ノエル(アハハ…(汗)


クロ(ノエルの見なさい。

びっしり書いてあるでしょ?


ノエル(ふえ…?


エリーゼ(お~~?ほんとだぁ~♪



いつのまにかエリーゼは、私のレポートを持って爛々と目を輝かせていました。



ノエル(あーー!見ないでぇー!恥ずかしいよー!!


エリーゼ(えっと~、なになに~?今回の戦績について…、L級ハイドラの討伐は、優れた作戦と指示によるものだと思います…?


ノエル(あう…(泣)


エリーゼ(確かに!お兄ちゃんの作戦があったから勝てたんだよね~~♪



はいどうぞ~♪とエリーゼは私のレポートを返却。

もぉ~と膨れながら渋々と受け取りました。



クロ(ん…。そうね。単なる思い付きの作戦…とは、考えづらいのよね…。

思い付いた…というより、瞬時に練った…というのが適切かしら…?

それくらいあの作戦と指示は計算されていて完璧だった…。


エリーゼ(お~~?作戦マニアのクロちゃんがそこまで言うなんて珍しい~♪


クロ(え!?あ、いやいやいや!!今のナシ!!あんなの別にすごくないし!?

生まれたてのナイトゴーントでも思い付くし…!?



はっ!と我に返って、声が裏返るように取り繕い直すクロちゃん。

お顔はすっごく真っ赤になってました。



エリーゼ(素直じゃないにゃあ~♪にゃはは♪



うん…。きっとあの人は…、、、

駿さんはすごい人なんだと思う…。

でも、だからこそ思ってしまうことがある…。



ノエル(ん…。私達で…、良いのかな…?


クロ(え…?


エリーゼ(ん?



書き終えたレポートを少しくしゃっと歪ませて、うつむきながらふたりに話していく。



ノエル(私達のこと、すっごく褒めてくれて……、信じてくれて…、すごい作戦まで建てられて…、優しくて…、、、


クロ(う……、ん。


ノエル(だから……、後悔しちゃわないのかな…って。私達の使い魔に、なっちゃったこと…。

私達じゃなくても、もっと沢山クラスが上の子達はいるのに、特に私達なんか一番…下だし…、、、



言わなくてもいいことまで口からこぼれてしまう…。

話す順序も、言葉もバラバラで、ネガティブなことばっかり先に立ってしまってて…、、、



ノエル(私達には…、もったいないんじゃ…、ないかって…、、、


クロ(ん…、考えすぎよ。ノエル。

まだアイツが…、ん…、、、

後悔するかどうかは、アイツが決めること、でしょ…?



まだアイツが…、の先を言いかけて()めたクロちゃん。

その先の言葉を考える余裕は私には無くて…、あとから言い直した言葉だけを胸にしまって小さく頷く。



エリーゼ(そうだよ!ノエルん♪

考えすぎちゃだめだめ~♪うりうり~♪


ノエル(ふあうっ!?やめふぇよ!えりーふぇー!?(泣)



私の両のほっぺたを優しくムニッとつまんで、そのまま上下左右に 緩急をつけながらムニョムニョ~と引っ張っていく。

エリーゼなりに励まそうとしてくれているんだと察して、()めるに()められなくて……、、、



[ヴィィィ…ン…!!!]



エリーゼ(あれ?


ノエル(ふえ!!?


駿(み、みんな…!



急に部屋の扉が開き、息を切らした駿さんがそこに立っていました。

どうして?と疑問が浮かぶと同時に、エリーゼが私のほっぺたから手を離す。



ノエル(ひゅ、ひゅんひゃん…。どうひて…?



まだ余韻が残っていたせいで、呂律が上手く回らなくて気の抜けたような声を出してしまう。

それも恥ずかしくて、両のほっぺたを手で覆いながら、(さす)るように頬を手で撫でる。



クロ(ア、アンタ…、帰ったんじゃ…!?



クロちゃんが言葉を続ける前に、駿さんが勢いよく頭を下げて、うつむいたまま話し出す。



駿(ごめん…!!!



ノエル・クロ・エリーゼ(え???



突然のことに私達3人とも驚いて声が出なくなってしまって…、、、

ただ駿さんの言葉を聞いているしか出来ませんでした…。



駿(みんなのこと…、みんなの両親のこと…、

リリから聞いた…。



ノエル(あ…、、、



駿(俺、さっき皆に無神経なこと…!

ほんとにごめん…!!!



きゅっと、胸に手を当てて、言葉を噛み締める。

謝ってくれてる…。

駿さんは、私達のことまだ何も知らなかったんだから、謝る必要なんてないのに、、、

でも、それでも、そのことに責任を感じて、

こうやって謝りに来てくれている。

じんわりと心と目頭が熱くなって、次の言葉を聞こうとまた心を落ち着ける…、けど、、



駿(ん……!



駿さんは黙ったまま、頭を下げたまま次の言葉が続けて口から出ることはありませんでした。

その沈黙に耐えかねて、クロちゃんが言葉を切り出してくれた。



クロ(え……?まさかアンタ…、それだけ言いに戻って…、来たわけ…!?


駿(え…?あ、う、うん…?



腰は折ったまま、頭だけ私達の方へ向けて、きょとんとした顔でクロちゃんの言葉に答える。

私も、駿さんに言葉を掛けたくて…、、、



ノエル(あ、あの…!駿さん…!えっと…、!



言うべき言葉を決めていなかった為に名前を呼んだものの、言葉につまってしまう。



リリ(はい…。そこまで…、、、



駿(わっ!!?


ノエル(ふあ!!?



いきなりシュバッ!とリリ先生が、私達と駿さんの間に割って入り、両者のこれ以上の会話を制止させる。



ノエル(リ、リリ…、先生…?



リリ(駿さんが…、みなさんに一言謝りたい…、との事でしたので…、、、


ノエル(あ…、、、



駿さんは、驚いた拍子に姿勢を元に戻していて、私は顔をちらっと見ては、また視線を外してうつむいて…、、、



リリ(ノエルさん…。


ノエル(ふぇ!?は、はい…!?



うつむいた顔を、またすぐにリリ先生の呼び掛けで上げる。



リリ(伝えたいこともあるかもしれませんが、彼はもう定時ですので、これで失礼させたいと思います…。


駿(へっ!?ちょ…!?



リリ先生は駿さんの服の後ろ襟を掴んで、駿さんをそのままズルズルと引きずっていきました。



リリ(ほら、行きますよ…?駿さん…。


駿(あっ!?ちょ…!?待っ…!?

分かった…!分かったから…!?

み、みんな!また…!!



[ヴィィィ…ン…!!!!]



静けさを残して、扉が無造作に閉鎖する。

リリ先生と駿さんの姿を遮断して、また部屋は私達だけの空間になる。

すごく短い間の出来事で、だけれどとても濃く心に刻まれていて…、、、

まだドクンドクンと、胸に振動が響いていた。



エリーゼ(い、いっちゃった…。


クロ(な、何よ…。あれ…?



3人とも、閉まった鉄の扉に残像を見ているかのごとく、一点を見つめていた。

すると、突然、クロちゃんが咳をきったように笑い始める。



クロ(プ…!クッ…!アハハハハ…!!

へ、変なの…!私達に謝る為だけに戻ってくるなんて…♪アハハハハ…!!!


エリーゼ(そ、そう…だね…♪えへへ…♪



エリーゼも釣られたように笑う。

クロちゃんと同じように、少し嬉しそうに、照れ臭そうに…、、、


私も、いつのまにか頬がゆるんで、くしゃっとした笑顔になっているのが鏡を見なくても分かった。


ノエル(ん…♪でも、優しい…ね♪

全然、駿さんは悪くないのに…。

それでも謝ってくれた…。

私、すごく胸がドキドキいってて、嬉しくて…♪


クロ(ん…!ま、まぁ…ね。

優しい…わよね…。


エリーゼ(フフ~♪



私の言葉を否定せずに、クロちゃんも頬をゆるくしながら同意してくれる。

エリーゼは、満面の笑みでクロちゃんの照れて赤くなった顔を見つめていた。



ノエル(私…、間違ってた…。


クロ(え?


ノエル(駿さんが…、私達の使い魔で良かったのかな?って言ったこと…。



そう…。

私がすべきなのは後悔なんかじゃない。



ノエル(私…、駿さんが良い…♪

私達の使い魔は…、駿さんが良い…の間違い…♪


クロ(あ……、、、



心の思うままに喜ぶこと…。

それが、一番最初に私がやらなくちゃならなかったことなんだ。

私達のチームに、使い魔さんが来てくれたことを…。

駿さんが、私達の使い魔になってくれたことを…。



クロ(ん…。そお…ね…♪


エリーゼ(ニヒヒ♪



同じ気持ちなんだよって、クロちゃんもエリーゼも笑顔で教えてくれてる。



エリーゼ(あ。ノエルん♪ちょっとレポート貸して♪



私の回答を待たないままに、エリーゼが私の手からレポートをすばやく持ち去る。



ノエル(えぇ!?エリーゼまた!?


エリーゼ(クロちゃんのも貸してね~♪


クロ(は!?何でよ!?



クロちゃんのレポートも奪取し、ふたつをセロテープでくっつけた後、何かを高速で書き始めるエリーゼ。



エリーゼ(かきかき~♪よしっ♪かんせ~い♪


ノエル(あ……、、、


クロ(これ……、、、



2枚を重ねた裏紙には、これもまた大きな絵が描かれていました。

にっこりとした笑顔のお兄さんの絵…。

それが誰かなのかはすぐに分かって…、

重ねた2枚の下の余白(?)部分には…、、、



「わたしたちのところにやさしいお兄ちゃんが来ました♪これからもがんばります♪」

…と大きな字で書かれていました。



ノエル(ん♪素敵、だね…♪エリーゼ…♪


エリーゼ(えへへへ~♪


クロ(もう…。だーかーらぁ、絵日記じゃないっての…♪フフ…♪



机には、エリーゼが描いた私達の絵が散らばっていて、皆で笑い合っているひとつの絵のように見えました。

もともとニコニコ笑顔だった私達の絵が、何だかさらに幸せそうに笑っているように見えて…、それを見て私達も思わず笑顔になってしまいました。



エリーゼが書いてくれた通り、

これからも頑張っていこう…。

私達は、きゅっと胸にそう誓いました。




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