4話
「なんでこんなことに...。
幾らなんでもファンタジーすぎんだろ...。」
頭を抱える。
嫌ならゴスロリ服だけでも脱げばいいと思うだろ?
俺も既に試したさ。
脱げねぇんだよこれ。
脱ぎ方がわからないんじゃなくて、どうやっても脱げない。
バールの言霊をやろうにも刺さらない。
破けもしないし、解れさえできない。
なんなんだよ、このファンタジーゴスロリ服は...。
ブーツすら脱げんぞ。
『クフフ。どうじゃ我のとっておきの防具と新たな身体は。』
この声...頭の中に直接聞こえてくる!?
『クフフ。念話じゃよ。お主に与えた加護で、こんなこともできるのじゃ!』
「こんの糞邪神がぁぁ!!
さっさと元に戻しやがれぇ!!」
『悪いが元に戻すことも、別の姿に変えることも出来んぞ。』
なんだと...。
俺はずっとこのままなのか...。
「てめぇ...。なんの恨みでこんな嫌がらせしやがる!?」
『い、嫌がらせじゃと!?
失敬な!それは我の好みじゃぞ!
嫌がらせなんてとんでもないのじゃ!』
「俺からしたら、嫌がらせにしかならんわぁぁぁぁ!!!?」
ゴスロリで美少女っぽい男の娘とか、業が深すぎだろ!
『ゴスロリもただのゴスロリではないぞ!
耐刃耐衝撃に全属性魔法耐性付き!
着用者には常に回復魔法がかかり、怪我や疲労を回復!
パワードスーツ機能で筋力に大幅な増加!
ブーツは敏捷性に大幅な増加し、
扱いに慣れれば、空中を走ることも出来るのじゃ!!
凄いじゃろー流石じゃろー。』
もう何も言えんわ...。
凄いというより、呆れる。
何で機能は良いのに普通の服じゃないんだよ...。
『一応条件付きなら脱げるぞ。
お風呂に入ったりする時は困るじゃろうからな!
まぁ、その後、自動で身体に装備されるがな。』
もう、それ呪いの装備と変わらんだろ...。
もういいわ。
段々面倒になってきた。
「...んで、何か用か?
わざわざ自慢する為に念話してきたのか?」
こいつの相手をすると頭が痛くなる。
なのでさっさと終わらせよう。
『おぉ、そうじゃった。
お主に伝えておくことがあったのでな。
因みに、自慢することが用事ではないぞ?』
あーそうかい。
ならサッサと喋って終わらせてくれ...。
『うむ。
用事というのがじゃな。
我が転成に割り込んだせいで、転移するポイントがズレたようじゃ。
ごめんなちゃい(てへぺろ)』
「あ゛?今なんて言った?」
『だからな。転移ポイントがズレて、お主が今居るのは、大陸の中で誰も足を踏み入れない。
超危険な場所なのじゃ。』
超危険な場合ってなに?
そんなヤバイ場所に居るの俺?
「なぁ、超危険ってどん位危険なの?」
『魔物にもよるが、一番の雑魚でも上位の冒険者パーティーが複数必須じゃ。
上位の魔物になれば、一国が滅ぶ位じゃな。』
「巫山戯んなぁぁぁぁ!!!?」
死ぬじゃん!
どうやって生き残れって言うんだよ!?
『お、落ち着け!?
そんな危険な魔物も既に倒しておるだろ!?』
あ、そういえばそうだな...。
あの熊そんなにヤバイ奴だったのか...。
『我が与えた武器や防具も役に立っておるじゃろ?フフーン!』
顔見えなくてもドヤ顔してるってわかるわ。
うぜぇ...。
『レベル1だったお主が200越えのブラッドホーンベアーを倒せたのは、複数の加護や我が作った身体や武防具のおかげじゃぞ!』
「そもそも、割り込まなければこんなことにはならなかったんじゃねぇか!調子にのんな!!」
『うぐ!?
だ、だってしょうがないじゃろ!
我はお主に少しでも早く会いたかったのじゃ!
死んでほしくなかったのじゃ!!』
なっ!?
い、いや落ち着け...。
クールになって考えてみろ。
邪神が言ってるのは、魂が手に入らない段階で死んでほしくないからだ。
うん。そうだ。
純粋な好意ではなく、下心満載なんだ。
そのせいで、ゴスロリ男の娘にされたんだし。
「あー、もういい。
お前の言うブラッドホーンベアー...だっけ?
そいつも何とか倒せるみたいだし、問題ないな。」
一撃食らったらヤバイかもしれんが、言霊使えば熊公狩れるしな。
面倒だが安全な街に着くまで我慢だ。
『いや、お主何を言っておる。
ブラッドホーンベアーは下から数えた方が早い魔物じゃぞ。』
..................はぁ?
「悪い。......なんだって?」
『うむ。レベル200なんぞ、そこではまだまだ雑魚じゃ。
あ、あと勘違いしないで欲しいのじゃが、我が先程言った倒したというのは、ブラッドホーンベアー位の雑魚なら狩れるという意味じゃ。』
「........あのー、邪神様?
お聴きしたいんですが、此処の魔物でヤバイのは何レベですか?」
『レベル3000越えじゃ。』
「Would you mind telling me about that one more time?」
『何故英語になったのじゃ...。
もう1度言うぞ。
1番ヤバイ魔物はレベル3000越えじゃ。』
あぁ、俺はもう駄目かもしれん。