2話
感想や意見などを募集中です。
で、目を覚ますと今度は辺り一面真っ黒で御座います。
コレってあれだよな。
白い世界の反対って完全にあれだよな。
邪神から守るんじゃなかったのかよ!こけしぃぃぃぃ!!!
「うむ。何処にいるのか。何故此処にいるのかわかっておるようじゃな。」
あー、なんだろう。
神様系統って幼女しかいないの?
邪神の容姿は地面につきそうな程長いツインテールに褐色肌。
背にはマントで服装は...。
いや、あれは服じゃねぇな。
所謂V字水着だ。
殆ど紐の水着のあれである。
マジで大事な所がギリギリしか隠せてねぇ...。
そして、足にはニーソである。
マニアックだ。マニアック過ぎる。
これヤバイだろ児ポ法に絶対引っかかちゃうよ。
おまわりさん。俺ではないですよ。
俺は着せてないです!
邪神が自分で来てるんだから俺にはなんの罪もない。
多分、きっと、メイビー。
「クフフ。何じゃ我の身体に欲情しておるのか?このロリコンめ!」
「ふっ」
「は、鼻で笑いおったな!?
我の魅惑のBODYを鼻で!!?」
「魅惑のBODY(笑)」
「むきぃぃぃっ!」
いやいや、どんだけやらしい服来ても幼女に性的興奮したら人生終わりだろうが。
最初に見た時は動揺したがな。
だってそんな格好だと思わねぇだろ誰も。
「ふ、ふん!どんなに強がっておってもお主は既に我の物だ!
我が直々にお主のその気に食わん態度を改めさせてくれようぞ。」
あー、そうだった。
ついつい煽ってしまったが、どうするよこれ。
異世界に身を守る為に行くはずが邪神に捕まってしまうとか。
え?BADEND?
選択肢も何にもないうちに?
プロローグの時点で回避不可とかどんな糞ゲーだよ。
「と、言いたいんじゃが。
我はお主の転生に少しの間だけ割り込んだだけじゃ。
あのまま転生しておったら、お主は死んでおっただろうからな。」
何それどういうこと?
「武器もなく、異世界の通貨もなく転生してどうするつもりじゃ。
加護の力で魔法は使えるが、慣れんうちは役に立たん。
町などに入るには身分証か金が必要じゃし、いくら町に近くても魔物に出会ったらどうするんじゃ?」
あー、成る程そういうことか。
つか、こけしよ。お前より邪神が役に立つってどういうことだよ。
にしても、邪神が俺に此処までよくしてくれる理由がわからん。
コイツは俺を殺して魂を手に入れたいはずなのに。
「クフフ。気になるか?」
「まぁ、そりゃぁ気になるわ。
教えてくれんのか?」
「クフフ。ならば教えてやろう!
我はお主のことを全然諦めておらぬからじゃ!!」
な、なんだってーー!?
「お主が異世界で今死んでしまうと輪廻転生で魂の質が別物に変わってしまうからな!
我は今のお主が好きなのじゃ!!」
あらやだ、幼女に告白されてしまった。
...そんないいものでもないけどな。
「つまり、お前は俺が異世界で生きてるうちに手出し出来ない異世界から、俺の魂をそのまま手に入れる方法が見つかるまでの時間稼ぎしたいと。」
「うむ。その通りじゃ!」
でもそれって方法見つからんと意味ないし、それまでに俺が死んだらアウトじゃね?
いや死ぬつもりは一切ないけど。
そこまでして、俺の魂手に入れて何したいんだよ。
「何したいって...。それはお主、ナニするに決まっておろう。」
うん。ナニ言ってるか俺には一切わからん。わからんと言ったらわからん!!
「それはもうナニと言ったらセックーー」
「言わせねぇーよ!?」
マジで勘弁して下さいお願いします。
死んだらおまわりさんも関係ないとしても、流石にマズイって。
現代日本人で育った俺には無理です!
「クフフ。まぁ、今は良い。
その気にさせる方法は幾らでもあるのでな。
その時のお楽しみじゃ。クフフフフ。」
邪神さんマジヤバイ。
ヤバイし面倒臭い。
これ程疲れるの久しぶりなんだが。
具体的にいえば、浮気がバレた時に泣きついてきた親父と部長以来だ。
もう関わりたくないでござる。
「では、まず異世界の通貨を渡すぞ。ほれ、持っていけ。」
邪神から投げて渡されたのは指輪である。
異世界の通貨って指輪なの?
それともコレを換金しろってことか?
「その指輪は魔法でアイテムボックスになっておる。
念じれば、色々な物を出し入れしたりできるぞ。
既に異世界の金は入っておる。」
成る程。これはかなり便利だわ。
異世界転生で定番のアイテムボックスGETだぜ!
「そして武器はこれじゃ!」
邪神が勢い良く取り出した(何処から出したのかは知らん)のは、先端が鋭く平らに尖っており、まるで先ほど血を吸ったかのように真っ赤に染まっていた。
赤から下は、黒く光っており、何者も寄せ付けないような禍々しさを放っている。
先端部分はくの字に曲がっており、どんな硬いものでもこじ開けられそうだ。
「なぁ、それーー」
「クフフ。これはな。我の粋を結集して作った物だ!
コレさえあればドラゴンだろうが魔王だろうが鎧袖一触だぞ!!」
「いや、どっからどう見てもバールじゃねぇか!!」
バールが武器?
アホか。俺は直視したらSAN値が下がる邪神じゃねぇよ。
バール使って敵を真っ二つになんか出来んわ。
「出来るぞ。」
「出来んの!?」
「このバールはな、言霊で真価を発揮するのじゃ。
先端を対象に突き刺して破砕とか切断とか唱えれば大抵のことはできるぞ!!」
それもうバールでもなんでもねぇよ。
バールのようななにかだよ。
あっちのバールより性能よすぎだわ。
「性能はいいんだが...。別の武器ないのか?
それ持って歩きたくないんだが。」
「これだけじゃ。」
OH...。マジかよ。
「我の粋を結集したのがコレじゃ。
それ意外なんぞゴミみたいなもんじゃ!
ほれ、腰に下げる為のベルト付きじゃぞ。」
邪神の粋を結集して出来たのがバールってアホか...。
「そろそろ時間もないのでな。
我の加護を与えて終わりじゃ。」
いや、邪神の加護なんていらないんだが。
マジでいらんぞ!
両手をいかがわしく動かしながらにじり寄ってくんな!
いやぁ、やめて!頭上から白くてネチョっとした光を降らさないで!?
マジでやめて下さいお願いします!!
SAN値が!SAN値が削られてく!!?
「クフフ。これで完了じゃ。
また合間見えることを楽しみにしておるぞ。
その時は...クフフフフ。」
意識が朦朧としている。
フラフラして足元も覚束ない。
糞邪神め。最後の最後でやってくれやがった。
二度と会いたくないわ!!
アイテムボックスは使わせて貰っても、バールだけはどっかで売っぱらって普通の武器買ってやる。
そう心に誓って、俺は意識を失った。
目を覚ますと鬱蒼とした緑が広がっていた。
うん。やっと異世界ですね。
此処までくるのに物凄い時間がかかった気がする。
なんもかんも邪神が悪い。
にしても、辺りを見回しても目に映るのは樹、草、花、樹...。
何処よ此処...。
こけしよ。街は何処だ。
何処見ても道も無いし、緑一色だぞ。
街の近くって言ったよね?
もし近くても方角もわかんねぇよ。
街のまの字すら見えんわ。
マジでどうするよこれ。
異世界で初っ端からコレってハードモードどころじゃねぇよ!
面倒クセぇ...。
一番近い街って何処?
歩いてどんだけかかるんだよ。
風に靡いてざわざわと木々が音を立てる。
マジでざわざわだよ。
こんだけ絶望的なら目の前ぐにゃ〜ってなるわ!!
そしてさらに絶望する。
メキメキと樹々を押し倒す音が後ろから聞こえてくる。
どれだけ俺を絶望させるつもりだ。
俺は魔女なんかにはならんぞ。
いや、巫山戯ている場合ではないが、こうでもしないとやってられん。
後ろを振り向くと、血で真っ赤に染まったような毛皮を身に纏う一本角のデカイ熊がズシンと重々しい足音を立てながら現れた。
よし、逃げよう。
そして冒頭に戻る。