1章、修学旅行・初日
お久です!
次の日簒奪たちはアジトに来ていた。4人とも揃っていたので桜の紹介をした。
「みんなちょっと来てくれ。今日から仲間になるやつを紹介したいんだ。ついでに何かいいあだ名があればそれをつけようと思うのだが何かあるか?」
集合をかけてすぐに4人とも集まった。簒奪が新入りを連れてくることはほとんどなく、だからこそ簒奪が連れてきたやつは信用できると、そのまま詮索せずに考え始める。
「文字は持ってるんすか?」
「後で与える予定だ。まだ文字なしだ」
「?与える?何を言っているのだ?」
桜は簒奪が言っていることの意味がわからなかった。それもそうだろう。普通は文字を与えるといっても何言ってるんだこいつは?というような反応をされる。
「響歌姉さんと一緒で俺もかなり希少な文字を持ってるんだ。それを使って与えるつもりだ」
未だに桜は頭の上にはてなを浮かべているが簒奪はいくら説明するより実際に見せればいいと結論を出して話を戻した。
「うーん、そうだなぁ。・・・〝嬢〟とかしか思い浮かんでこない」
「俺もそんな感じかな、実戦はでられるのか?」
「いや、彼女は戦うことはない。俺逹のサポートが主な仕事になる。簡単に言えばマネージャーのポジションだな」
簡単な説明をすると4人とも顔を綻ばせた。
「やったー!!つまり事務の方に回ってもらうんですよね?これで疲れた後に事務処理せずにすむー!」
どうやら4人とも訓練などでヘトヘトになってからの作業に不満があったようだ。だから桜が来て役職を言われてすごい嬉しそうなのだ。それを見ていた桜は笑いながら簒奪を見た。
「どうやら歓迎されているとみていいのかな?」
「ああ。歓迎するぜ!」
もともと笑っていた桜は、満開に咲いた花のように笑った。美人の笑顔をみて簒奪を含めた5人は棒立ちになってしまった。簒奪はやっとの事で言葉を発した。
「・・・〝花〟。〝花〟なんてのはどうだ?」
「・・・いい、いいな!〝花〟!」
「〝花〟か。うん、気に入った。これから私は〝花〟と名乗ろうか!」
みんな賛同してくれたので桜のあだ名は〝花〟になった。
5分後
「よし。そろそろ始めるか。〝花〟そこに座ってくれ」
簒奪は桜を座らせると目を閉じて集中し始めた。
「何をしているんだ?」
「初めて見るんならちゃんと見といた方がいいぜ。絶対に驚くからな」
簒奪が目を閉じてから2、3分経った頃簒奪が席を立つと急に冷気が周囲を囲んだ。桜は肌をさすりながら簒奪を見た。正確には光っている〝右掌〟だ。
「あ〜、心配するな。とりあえずは危険ではないから。とりあえず【照】を持っててもらおうかな」
簒奪の右掌には【与】が浮き出ていた。そのまま右手で桜の右手を握った。
「ちょっと手を出してくれ。いくぞ・・・ふん!」
「くっ!・・・終わったのか?」
右手にまだ痛みが残っているため少し顔をしかめて聞いた。
「あ、ああ。どうだ、さっきまでと何か違う感じはしないか?」
「・・・確かに何か熱い感じがする。こうか?」
そう言って文字を意識しながら右手を壁の方に向けると眩い光が発せられた。
「まさか本当に文字を与えられるとはな。どういう理屈だ?」
「いま使った文字は【与】。文字どうり自分が持っているものを相手に与える乗る力さ」
しかし桜は前簒奪が炎を出していたのを思い出し尋ねてみた。
「俺は”マルチホルダー”。複数の文字を持つ者だ」
「マルチホルダーだと!?あの都市伝説の中でも最上級に伝説のか!?」
桜が鼻息荒く食い気味にきたため若干引きながらも頷く。実は桜は都市伝説が好きなのだ。もちろん都市伝説には、簒奪を含む制裁の剣もあり密かに興奮していたのだ。
「そういうことだからこのことはくれぐれも内密に。んじゃ今日の報告を始めるか」
2週間後、東京駅
「待ちに待った修学旅行だね!」
元気に話す愛歌を自分たちの輪に入れながら簒奪は響歌たちと話す。
「ちょっと聞いてくれ。もしかしたら向こうでめんどくさいことになるかも」
「あ、でたわね。簒奪のよく分からないけどよく当たる情報」
簒奪は自分の情報網を駆使して姉妹たちに危険がある場合のみ忠告していたらいつの間にかこんなことを言われるようになった。
「今回は少し危ないかもしれないから何か起き次第皆んなで逃げるようにしてくれ」
「わかったわ。なんだかわからないけど皆んなきをつけましょう」
「ついた〜!」
「あれが京都タワーですか。はじめて見ました!!」
「すごい楽しみだったんだ〜!」
紅葉と月夜がはしゃいでいる。そのすぐ後ろには簒奪たちの班と桜がいる。もう一人は〔剣持 一閃〕といい、紅葉と月夜の3人でよく遊ぶらしい。
「1日目は行くところが決まっている団体行動だから皆んな勝手な行動はするなよ〜」
先生の声で皆んなは最初の目的地である清水寺に向かった。金閣寺、銀閣寺などをめぐりホテルに帰った簒奪たちは各自の部屋に行き、そして頃合いを見て簒奪は桜を連れて同じホテルのスイートルームにいるメンバーたちのところに向かった。
「どんな感じだった?」
「特に怪しい奴はいなかったです」
「ああ、俺も見かけなかったっすね。・・・あ、カツアゲされそうになったんで潰したぐらいっすね」
「こっちも見なかった」
「自分もなんで今日は異常なしじゃないっすか?」
4人とも特に異常は無かったみたいだ。
「っていやいや。ちょっと待てや、〝見〟。カツアゲって何やってんだよ」
「え?いやぁ、なんか15人ぐらいで絡んできたんで全員にゲンコツお見舞いしたぐらいっすね。まずかったっすか?」
「いや、まずくはねえけど、ちゃんと手加減したんだろうな?」
「そうっすね〜・・・半殺しぐらいっすね。」
簒奪は呆れたがそれ以上は追及しなかった。結局自分から潰したわけではないので特に言うこともないのだ。
「・・・ちょっといいか?」
桜が手を挙げた。
「どうした?」
「いや、怪しい奴とかではないのだがな、少しきになることがあってな。何だか筋骨隆々な人たちが多いい気がしてな。昔来た時はそんなこと感じなかったから発言してみた」
「ん〜、それはきになるな。よし、明日お前らはそれらをメインに調べてくれ。じゃあ俺らは部屋に戻るわ」