1章、強盗阻止
急いで行くと銀行の周りに凄い数の警察と文字警察がいた。当然天音と響恋の姿もある。
「犯人に告ぐ。周囲は完全に包囲されている。おとなしく出てくる方が身のためだぞ!」
そんな言葉で出てくるなら最初からして無いって。
銀行内、
「さっさと金庫を開けろ‼︎」
「は、はい‼︎」
簒奪が屋上から侵入して空気管を通って小さい穴を開けてみた。
そこでは3人が見張りで5人が人質を囲み、残り3人が金庫の前でお姉さんに開けろと指示している。見た感じ人質は15人前後だ。犯人達は全員銃などの武器を持っているのが見えた。その1人が銀行員の服を来たお姉さんに金庫の鍵を開けさせている。
「おし。開けたら他の人質と同じところに行け。おいお前ら!空いたぞ!」
「「「よっしゃー!」」」
「さっさと鞄につめて逃げるぞ。外に警察達が沢山いやがるから」
強盗が鞄に金などをつめて逃げようとしたらひの男の子が叫んだ。
「おじさん達は悪い人たちだ!お金はとったらいけないんだよ!」
(マジか⁉︎少年!今出たらやばいだろ!親は何やってるんだ!)
その子の親らしき人を見てみると顔が蒼白になっていた。そして男の子の言葉を聞いた強盗のうちの1人が答える。
「あぁ?おいガキ、なにいってんだ?おじさん達は悪い人じゃ無いよ。」
1度言葉を止めて口角を上げながら続きを言う。
「極悪人だ‼︎」
さらに銃を構えて引き金を今にもひこうとしていた。
強盗達も人質も誰もが男の子は死んだと思って目を閉じる。
しかしいつまでたっても銃声がならないので恐る恐る目を開けると仮面をつけた簒奪が銃を持つ手ごと切り落とすところが見えた。
「あ?ああ、あああぁぁぁ!う、腕が!おれの!腕が!」
強盗達が一斉に警戒を強めて簒奪に問う。
「てめぇ。何者だ?警察関係者じゃねえだろ?」
「俺は制裁の剣のリーダー。不本意だが世間じゃ〝大義賊〟なんてよばれているよ」
正体を明かすと何人かの強盗達は顔を青ざめさせて俯く。それだけ〝大義賊〟の名は犯罪者達の間では恐怖の象徴になっているのだろう。だがそうではない強盗達も何人かいた。
「お前が〝大義賊〟か。要するにお前を潰せば俺らの名前も広がるんだろうなぁ」
他の奴よりふたまわりほど大きい奴が骨を鳴らしながら前に出てきた。
「お前らは人質のそばにいろ。もしこいつがそっちに行きそうになったら厄介だからな」
どうやらこの強盗達はこいつと先程質問してきた奴の指示で動いているらしい。主犯格2人は下っ端達を人質の横に行かせて見張らせた。
「(ちっ、頭脳派もいやがるのか。)投降する気はないか?今ならまだ強盗と殺人未遂で済むぞ?」
「は!そんなこと言うってことはこれからどうなるかわかってんだろ!」
いきなり不自然な走り出しをした強盗は右拳を握りしめ大きく振りかぶり、右ストレートを繰り出す。それを簒奪は腕を交差して防ぐ。体重差のせいで簒奪は吹き飛んだ。
「く!(思ったより強いな。ダメージは、よし。大丈夫だな)」
10メートルぐらい飛んで壁に激突して止まる。この時点で簒奪は気付いた。
「げほ、あーいってーな。それとお前、文字持ちだろ?」
「やっぱ気づくか。そうだぜ、俺は【弾】の文字持ちだぜ」
強盗は右肩をみせ〝弾〟を出した。
「やっぱな。お前が進み出す瞬間体が弾むようになってたからな」
「それで?対策は何か、思いついたのか!?」
簒奪はひたすらよけてたまに拳を食らった。なぜなら人質のそばに下っ端達がいるからだ。〝弾〟を突破して下っ端達を倒すまでおよそ5秒以上かかってしまう。そうすると誰かしら傷つくのだ。だから今は反撃しない。
「オラオラ!いい加減くたばれやこら!」
イラついたのか少しだけ大振りになったパンチを見切りつつもまだ避けつづける。
「だーくそ!もう良い!人質を殺せ!」
「「「「!!!」」」」
下っ端たちはニヤッと笑った。その命令を聞いた人質たちは一斉に騒ぎ出す。
「嫌だ〜!死にたくない!!」
「”大義賊”様どうか!どうか助けてください!!」
(ちっ!どうにかする方法はないのか?っ!そうだ、この手があったか!!)
簒奪は人質を全員助ける方法を思いついた。それを実行するためには”弾”の意識を数秒逸らさなくてはならない。
「(今だ!)《拳刃式柔の型、直落》」
繰り出された拳をいなしつつ右に避け、襟とベルトを掴んで投げた。背負い投げの要領だ。しかし普通の背負い投げと違い上げた”弾”をそのまま頭から床に叩きつけたのだ。
殺人技ではないので”弾”は死にはしないが狙いどうり数秒は動けないでいるようだ。
「《拳刃式拳の型、乱舞》」
その瞬間に簒奪は人質の周りにいる下っ端達を高速で割と手加減抜きで殴り飛ばした。そのため死ぬことはないが皆壁に埋まっていたり突き抜けて気絶していたりと様々だった。
もう一人の主犯格は残しておいた。他のよりもきついのをおみまいするためだ。
その主犯格はというと部下たちが揃って伸びているのを見て焦ったのか簒奪を見失ってしまった。そのため、人質達のところに行こうとしたので簒奪は技をしかけた。
「くそ!やっぱ”大義賊”は伊達じゃないな。こうなったら人質を!?ぐぼはあぁぁぁ!!」
「《拳刃式拳の型、一蓮》・・・ふぅー。良かったのか?後はお前だけだぞ?」
”弾”は止めようと思えば止められたのだがあえて止めなかった。
「?なにがだ?てかお前はーーーーーー誰だ?顔も痛えし何なんだよ」
簒奪は焦っていた。先ほどの技で記憶が飛んでしまったのかと思っていたりする。しかし聞いていると強盗など、要するに悪いことをした記憶だけ一切ないのだ。更に簒奪は目を見れば嘘をついているかついていないかある程度わかるのでそれも焦る要因になっていたりする。
「まあいい。後は警察達に任せるか」
別談だが、人質達が助かったと湧いている中、簒奪は逃げるように通ってきた道を帰るまでを簒奪は気付かなかったが、その簒奪の勇姿をずっとビデオで撮っていた人物がいた。同じクラスの女子だ。後日その動画が流れて世間はさらに湧いたのだった。
で行くと銀行の周りに凄い数の警察と文字警察がいた。当然天音と響恋の姿もある。更に愛天の姿まで見つけた。実は愛天は警察官なのだ。
(ばれないように帰ろう)