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文字保持者〈ワードホルダー〉  作者: ピーナッツバタークリーム
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1章、追跡

移動中に藤田から説明を受けた簒奪は皆と作戦を練っていた。


「どうするんだボス?」


「いつも通り行こう。最初は4人で鍵を盗んで来てくれ。そうしたら俺が会いに行く。」


確認を取った制裁の剣は全員統一のお面を着ける。真っ黒で左目の部分に縦に白い剣を描いてあるやつだ。


「よし行ってくれ」


4人が鍵を盗りにいっている間にお面をつける。もちろん眼帯は外してだ。なぜこんなめんどくさいことをしているかと言うと簒奪の左目に文字が有るからだ。お面も少し機能が着いていて、左目の部分が開閉できるのだ。


お面を着けてすぐに気配がしたので見てみると母子がこちらを見ていた。母子は恐れた顔を見せると全力で走って行った。恐らく通報されるだろう。しくじったなと思った。


10分ぐらい待っていると4人は帰って来た。


「ボス、取って来たぜ」


「ご苦労。お前達は先に帰っていてくれ。一般人に面を見られた。」


「!?・・・了解。きおつけろよボス、鍵を盗るまで静かすぎた。逆に何か罠みたいなのがあるかもしれねえ」


「ああ、わかった

鍵を受け取った簒奪は4人に先にアジトに帰っていろと言うと建物に入って行った。


「くそ、暗いな。ゴーグル持ってくればよかった。ここから1番近い文字警察で最速20分で来れるしな。早くしないと、う⁉︎」


「誰だ⁉︎」


いきなり光を当てられて驚いたがさらに驚いたのは敵が何も持っていないのに光を向けていることだ。文字持ちだろう。見た目はとても大柄だ。2m以上はあるだろう。


「この面見ればわかるだろ?」


「ああ、わかった。制裁の剣さんだろう?よくここがわかったな」


「正直に答えるならお前は見逃してやっても良い。ここに【悪】の文字を持っているやつはいるか?」


〝悪〟と聞いた見回りは驚いた顔を見せると険しい顔になった。


「どうやらここで消さなければならなくなってしまったな」


「そんなことはどうでも良いからいるのかどうかだけ答えろ」


「俺に勝ったら教えてやるよ!」


巨大に似合わないスピードで距離を詰めて来てパンチを繰り出してくる。


「く!早いなぁ⁉︎」


「ありがとよお‼︎」


最初の攻撃を紙一重で避けるとさらに追撃してきた。何度もよけることは難しく、流石に当たってしまう。


「ぐあ!?」


5mぐらい水平に飛んで壁に直撃する。ガードした左腕は折れてはいないが今日はもう使い物にならないだろう。


「はっはー。どうだ?結構効くだろう?」


「お前、なんで俺の動きを読めるんだ?」


簒奪は普段からこういう時の為に鍛えているのだ。それを越えてくるのは用意では無い。


「それは簡単だ。これのおかけだよ」


右手の平を見せてきた。そこには【照】のも字があった。


「さっきの光はそれか。でもなぜそれで俺を捉えられるんだ?」


「まあ聞けって。この文字は自分に危険があるとそれを防ぐ術を照らしてくれるんだ。だからわかる」


(ち!めんどい文字だな。どうする?)


簒奪が反撃の手を探しているが方法が出てこない。正確にはあるのだがなるべくならそれは使いたく無いのだ。


「こないのか?じゃあいくぜ‼︎」


「くそ!めんどいなぁ!」


殴られる、防ぐ。殴る前に防がれる。これを繰り返していれば先に倒れるのは簒奪だ。


「一人で来たのは失敗だったな。2人なら倒せたかもしれないのに」


「あ!?どういうことだ!?」


「俺の文字は1番危険な攻撃を読むんだ。つまり一体一専用の文字だな」


どうやら一体一しかできないから見回りとして使われているらしい。


「そっか。わかった。じゃこれならどうだ?」


簒奪は簡易爆弾を3つ取り出し、〝照〟の後ろと左右に投げる。これならどっちに逃げても当たってしまう。


「そう来たかぁ!だけどお前のところは平気なんだろう⁉︎っ!」


〝照〟は簒奪に向かって来たが、それは簒奪が狙っていた行動だったのだ。それを察知した〝照〟どちらかによけようとするが爆弾がある為よけられない。要するに詰みだ。


「あばよ、楽しかったぜ!

《拳刃式拳の型、一蓮》」


スピードはあるが威力は無い拳を〝照〟の胸にあてる。それだけで血を吹き出しながら膝をつく。これは俗に言う浸透系を進化させたやつだ。拳刃式とは簒奪が作った人体を効率良く壊す為の武術だ。手足と刀を使う。


「ぐふうぅぅ!はあ、お前、強いな」


「安心しろ。死にはしない。ただもう2度と運動は控えた方が良いだろうがな」


そう伝えると〝照〟は気絶した。打点を中央から若干右にずらしたので、右肺及び右の心筋が逝っているだろう。


簒奪は倒れている〝照〟にあることをしてから探し人を探す。


そして簒奪の戦いが終わる10分前に文字警察に通報が入っていた。


「ここから20分ぐらいのところで制裁の剣と思われる奴が見つかった。恐らく悪文字の奴もいるのだろう。4班は早速向かってくれ」


1班15人編成の文字部隊だ。この支部は20班まである。全員ブースト系かバリア系、索敵系を持っている。





ここで文字の説明をしておく。

ホルダーの文字はそれぞれランクわけされている。希少さと強さでだ。


例えば〝強〟の文字は1万人ぐらいが持っている。なぜわかるのかというと、自分の持っている文字の人数が勝手に頭に入ってくる仕組みだ。


ちなみに、

Cランクが〝美〟〝強〟〝隠〟〝見〟〝盗〟〝盾〟

Bランクが〝照〟〝探〟

となっている。




本文に戻るが、簒奪の姉天音も4班にいるのだ。更に簒奪は、というより制裁の剣は文字警察で指名手配されている。毎回逃げるのが神懸かり的に上手いのだ。制裁の剣は殺しはしていないが、人を文字の力で襲っているのだ。無罪とはいかない。しかし民衆は制裁の剣を英雄視している。悪を倒しているヒーローだと。


制裁の剣のような奴らを他にも出さない為にも捕まえたいのだ。





通報されてから15分後、簒奪は重要そうな部屋を見つていた。しかし扉から中に入れないのだ。


「くそ、またホルダーの仕業か。めんどくせぇ」


簡易爆弾を扉の横の壁に貼り付ける。爆発すると人が通れるぐらいの穴が空いていた。どうやら扉にしか作用できない力なのだろう。中に入ると光が消えていて既に亡くなっていると思われる遺体が5つ転がっていた。そのさらに奥に2人立っていた。


「やっと見つけたぞてめぇ。この日をどれだけ待ったか」


そう。その2人のうち1人は簒奪が会いたいと思っていた人物だった。


「ああ?誰だてめえ」


「俺は、お前を!殺すものだ!」


「はあ?俺を殺す?ははは!そりゃ良い。やってみろよ」


簒奪は拳を構えて全力の一蓮を放ったが、そばにいたもう1人に防がれてしまった。


「この人に、ては出させませんよ?」


黒髪、165ぐらいの細い男だった。


「邪魔だコラァ‼︎」


「ボウ、止めておけ。じゃあな俺を殺すもの君?あっはははは‼︎」


長年追い求めていた奴がもう一つの扉から逃げて行く。追いかけたいにも目の前のやつが邪魔だ。そんなイライラに簒奪は自重をしなかった。できなかったではなくしなかったのだ。目の前のやつを即倒して行くという答えをはじき出したからだ。


「今ならまだ間に合うんだどけよ‼︎《拳刃式拳の型、双極》‼︎」


一蓮の両の手バージョンなのだが当たる前に止められてしまった。左腕を負傷しているので当然と言えば当然だ。本来の力が乗っていないのだから。


「それは拳にさえ当たらなければ怖くわ無いのですよ?それにこうやって抑えてしまえば攻撃も出せないでしょう?私はこのまま時間を稼いで逃げれば良いだけですから」


確かに簒奪の拳刃式では手を防がれてしまうとほぼ何もできなくなる。


「私の持つ文字は【防】。あらゆる攻撃を防ぐ為の力があるので、貴方の攻撃は私には効きませんよぉ?」


普通なら両手を握られていたら何もできないだろう、らしかし、簒奪はこんなとき用の奥の手を持っていた。


「なら!これで終いだ!《拳刃式派生の型、刃脚》!」


(これは危険だ!後ろに飛んでよけなければ!)


〝防〟は簒奪の手を離して逃げようとするが、それを逃がさないというように今度は簒奪が足蹴りをしようとしながら〝防〟の腕を握った為に腹部に中途半端にしか入らなかった。


さらにその威力を逃がす為に後ろに飛んでいたことと、あまりの蹴りの威力に〝防〟は壁を壊し外に落ちていった。


簒奪も時間短縮の為に空いた穴から地面に飛ぶ。5階にいたからだいたい15m前後を飛んだ衝撃を完全に受け流してまわりをみると、苦しそうに腹部をおさえて倒れている〝防〟を見つけた。何とか立とうと必死になっている。さらに周りを見るがもう〝悪〟は見えない。


「流石に動けないだろ。さっきの感覚だと肋骨を砕いて臓器に刺さっているだろうし、背骨にもヒビがはいったはずだ。その状態で動けば最悪死ぬぞ?」


「げほ!ごほ!そ、それでも、貴方を、止めないと、いけないんですよ」


立つかどうかのときにサイレンが聞こえて来た。どうやら文字警察が来たようだ。


「まあいい、俺はさっきのやつを追う。」


「だから!止めると!言っているでしょう!」


ボロボロの状態で向かって来たので腹を軽く小突くと倒れてしまった。しかもその瞬間を文字警察に見られるというおまけ付きだ。それも姉の天音に見られるという。


「き、貴様‼︎まさか殺したのか?」


「イイヤ、コロシテハイナイ」


天音にそう言われたので首を振って違うと合成音声で答える。声を出すとバレるからだ。しかし周りを見てみると文字警察がたくさん揃いかけていた。


「(ちっ!もうちょいだったのに!)オマエタチハジャマダ。カエラセテモラウ」


「そんなことできると思っているのか?」


周りの文字警察全員の今の一言で臨戦態勢に入る。


(マンホール、よし、そこから逃げるか。)


近くにあったマンホールを見つけた簒奪は煙玉を投げつけ周りを見えなくする。その隙にマンホールに手を伸ばし開けようとしたが空かなかった。


(くそ!固定されてる!なんでここだけ!)


しょうがなくビルの壁を走って屋上まで行き、逃げる。しかし天音を含めた何人かの文字警察がついてきていた。


「舐めるな!」


簒奪は後ろからの攻撃や警告を受け流しながら建物と建物の屋根を使ってその間を飛び越えて逃げる。


5分ぐらい全力で逃げると大通りに出た。人がたくさんいるので紛れて逃げるようだ。突然煙で前が見えなくなると事故などが困るので空中で爆発させる。その隙に人に紛れてアジト帰った。








天音サイド、


「あいつはどこに行った⁉︎」


「こっちにはいないぞ!」


「くそ人が邪魔だ!ん?神羅と藤木がいないぞ?」



おって来たのは5人、そのうち天音ともう1人はまだ簒奪をとらえていたようだ。もう執念の域だ。


(私達のスピードで追いつけないなんて!文字まで使っているのに!)


「はあ、はあ、こちら藤木、目標は今、私達の、目の前、を、走っています。位置情報で、追いかけて、来てください」


天音は〝強〟の文字で強化しているし、バリバリの武闘派だが、藤木はどちらかというと防御、連絡担当なのだ。よく持っている方だと思う。


「藤木、辛いなら休んでも良いぞ。お前は後ろから来る奴らのナビをしてくれても」


「それをしながら、追いかけます。私だって、文字警察、なんですから」


「いい目だ。ならばついてこい。‼︎

ちょうど良い。あいつは行き止まりに入って行ったぞ。残りの奴に連絡を入れてくれ」


「はい‼︎」








簒奪サイド、


(ここに入って迎え撃つか)


行き止まりに入って戦うことにした簒奪。壁を背に向き直ると天音がおった来ていたことに驚いた。


「(くそ‼︎まさか天音姉さんが追ってきてるなんて)オマエタチヲココデ

ツブス」


まさかの簒奪VS天音&藤木の戦いがおきた。


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