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第1話 「こんにちわ!今日からお世話になる乙坂姉妹です!」

「今日からお世話になる乙坂姉妹です!よろしく!」

 

 夏の足音も1歩1歩近づいて来た5月中旬。

 というか、3日前の真昼間。

 一人暮らしをしている現役高校3年生、俺守岡春太の目の前には、やけに元気なショートカットの少女と不思議な雰囲気を醸し出して片目を隠している少女が立っていた。

 なんなのだこの少女2人は、せっかくの休日やぞ。

 

「よろしく!ってなるわけないだろ……誰だあんたら」

 

 反射的にツッコンでしまった。

 そりゃツッコミたくなってしまうだろう。

 

「おー。いいノリツッコミだね!これは私と一緒にm1に出れそうだ」

 

「そんなことはどうだっていいんだよ。そんなデリバリーを頼んだ覚えはないぞ」

 

 この2人は制服を着ているが俺に制服萌えはない。そしてそんなデリバリーを頼んだ覚えはないのだ。

 

「そ、そんなんじゃないよ!私たちは!なんだと思ってるの!」

 

「いきなり人の家に来てよろしくと叫び出す頭おかしい姉妹。またはそっち系統のお店の人」

 

 我ながら的確な指摘をしていると満足げである。

 

「もう!埒が開かない!本当に何も聞いてないの?守岡春太くんだよね?」

 

 久しぶりに女子に名前を呼ばれて正直ドキッとしたが女子慣れしてないと思われるのも癪なので余裕のフリをした。

 

「……そうだが」

 

「お父さんから何も聞いてないの?」

 

「最近再婚したとは聞いたが制服着た姉妹をデリバリーしたとは言ってなかったぞ」

 

「もうツッコまないからね。その再婚した人の娘が私たち!」

 

 少しツッコミ疲れてきた少女だが、後半の文章が俺は理解できなかった。

 というか、そんな奴らがここにきたってことは、

 

「まさかとは思うが……3人でここに?」

 

 俺は後ろにある自分の城を指差しながら言った。いや、まさかな

 

「大正解!春太くんもラッキーだねこんなこんな美少女2人と一つ屋根の下」

 

 いや、嬉しくねぇよと心の中で中指を立てていた。冗談じゃない。俺だけの城を知らない女に汚させるわけにはいかない。

 

「ラッキーじゃないわ!つーかあんたら誰の許可取ってこうなってるんだよ!」

 

「だから君のお父さんだよ」

 

「うっ……」

 

 こんなことは言いたくないが俺の父親はガチで怖い。学生時代から柔道をやっていた影響かまじでごつい。あんなんにまともにどつかれたら即死は免れない。

 父の言っていることは絶対だと俺の生存本能が申していた。

 だが、俺にも俺の尊厳があるそんな簡単に捨てるわけには……

 

「……しゃあないか」

 

 尊厳を捨てた。

 

「やったー!今日からよろしくね!春太くん」

 

「……さよなら俺だけの城」

 

 今日までありがとうと俺だけの城に感謝をこの世の中で述べた。

 そして俺はこの2人に家の敷居を跨がせた。

 俺だけの城がいらない伏兵のせいで汚される。

 

「あー君色……好きなのぉ?」

 

 玄関にあげた2人の姉妹の内全く喋らず、片方と言い争っている時には蝶々をずっと眺めていたロングヘアの方が口を開いた。

 おそらく靴箱の上に貼られている『君色』シリーズのポスターを見たのだろう。

 つーか何だこのぬぽーっとした雰囲気。ゆっくり喋るせいでなんて喋っているか分かりずらい。そしてなんかエロい。

 

「好きとか嫌いとかの前に作者が俺」

 

「えぇ!まじで!私めっちゃ好きなんだけど!後でサインちょうだい!」

 

「騒ぐな騒ぐな!近所迷惑だ!


 そう、俺は高校生であるが兼業でライトノベル作家なのだ!だが、身バレなどの観点から普段は言わないがら俺の書いている『君色』シリーズを知っている人間が目の前にいる以上自慢したいのが人の性というやつだろう。

だが『君色』シリーズの作者と明かした時、ロングヘアの方の雰囲気が変わったのがわかった。そして俺の体をグイッと引き寄せて、


「春太くんだっけぇ?私と付き合わない?」

 

「……は?」

 

 3日前銀髪姉妹がいきなり人の家に来たと思ったら……告白されたんだか。

 

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