9話 入学式
今日は入学式。
合格通知が届いてからの数日間は制服を合わせたり必要なものを買い出しにいったりしてあまりゆっくりできなかった。
帝国中央学園は週7日のうち3日が休みになっていて5週の30日で1ヶ月となる。四日勉強し三日休むの繰り返し。夏や冬には長期間の連休があるらしく生徒だけでなく教師たちも楽しみにしている。
部屋で制服に着替えて準備をする。
「リン制服似合ってるぞ」
ユウリ大佐は制服姿のボクをみて褒めた。
「送ってやるから車に乗れ」
「バイクじゃないの?」
「それがまだ壊れたままだ」
「アハハ」
車内が2人の笑い声で満ちる。
車で数分走ると学園についた。
「着いたぞ。寮生活は慣れないこともあって大変かもしれないけど頑張れよ。それともし困ったことがあれば俺やマリー、学園の教師に気軽に相談しろよ」
ユウリ大佐は応援の言葉を残し施設に戻った。
入学式を行う体育館に入ると前方に新入生の席の空いてる場所に座った。
「あのー」
後ろから声が聞こえたので振り返る。メガネをかけた男の子がいた。
「何かよう?」
「えっと隣に座ってもいいかな?」
「いいよ」
優しく微笑みながら答えると男の子はリンの右隣に座った。
「ボクはテオス。君の名前は?」
「リン」
「リンちゃんよろしくね」
「あっ、誰か演壇に登ってるよ」
テオスと自己紹介を終えると同時に入学式が始まった。
学園長が演壇に登り話し始めた。
「皆さん入学おめでとう。この学園ではーー」
少し長い説明を聞き終わってから一斉に拍手をする。次に生徒会の人達が演壇に登り祝言を述べた。
「続きまして、新入生代表のベールトゥエラ=フローラル」
新入生代表のベールトゥエラが演壇に登る。
「この度新入生代表になりましたベールトゥエラです。これからの学園生活では友人をつくり様々なことを学んで生きたいと思っています。但し、新入生はわからないことばかりだと思います。先生、先輩方々、これから色々とお世話になると思いますのでよろしくお願いします。新入生代表ベールトゥエラ=フローラル」
一礼をすると盛大な拍手がおこり、彼女は自分の席に戻った。
「これにて入学式を終了いたします。生徒の皆さんは各クラスにお戻りください」
司会が一礼をして降壇し入学式を終えた。
「そういえばクラスどこだっけ?」
「リンちゃんはボクと同じA組だよ。学園の2階の右の1番奥の教室」
「教えてくれてありがとう。確認するの忘れちゃって」
「どうしたしまして」
テオスは場所を教えると体育館をでた。
リンも体育館を抜けて1年A組の教室に向かった。
教室に向かっていると2人の男子生徒にイジメられてるテオスを目撃した。
「おいテオス。おめぇがなんであの女と仲良く話してるんだよ」
「そうだよ。お前に似合わねぇよ」
テオスがボクと話していたことに不満があるらしい。
「そこのお2人さん。テオスに何をしているのですか?」
リンの登場に2人の男子生徒がビクッとなる。
「い、いやこれはそのー」
「こいつがあなたでやらしいことを考えていたのでボクたち2人でお仕置してたんですよ」
「ふーん。もし仮にそうだとしてもなぜ貴方たちがそうする必要があるの?」
「えっと、その…」
「とりあえずテオスに謝って。そしてもう2度とこんな事しないでね。テオスはもちろん他の人にもね。もしやったら許さないから」
ボクは2人を睨みながら忠告した。
「…分かりました。テオス悪かった」
「すまないテオス」
2人は謝罪しその場を去った。
「リンちゃんありがとう」
「どういたしまして。それより教室に行こう。一応さっきのことは先生達に伝えておこう」
「そうだね」
リンはテオスを連れて教師に報告した後、教室に入った。