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第49話 邂逅

 屋敷から遠く離れた場所でグレースとエリスは戦いを見ていた。


「いつまで見てるの。もう帰るよ」


「グレースちょっとだけ遊んでこうよ」


「気分じゃない。1人でやって」


「せめて場所くらいは用意してよ」


 銀色の壁を出しその中に入り荒廃した都市に移動する。


「相手は決まってるの?」


「魔物と戦ってた3人の女の子と赤い髪の人」


 グレースは銀色の壁を出す。



 お風呂が終え部屋に戻った3人は布団の中に入る。リンは布団の中に入ってすぐに寝てしまった。


「いつも思うけど早い」


「今日はいつもより早かったです。魔物と戦って疲れてたんだと思います。オペラさんは寝れないんですか?」


「うん。疲れてすぎて逆に眠れなくなってるのかもしれない。目を瞑ってればその内寝れると思う」


 目を瞑り続けようやく眠くなる。急に暗くなるのを感じ目を開けると銀色の壁紙が目の前にある。寝ている2人を起こす。


「ベールちゃん、リンちゃん起きて」


「どうしたんですかそんなに慌てて」


「変な壁が出たの」


 起きたベールが目を開け目の前の壁を見る。


「あれは何」


「分かんない。暗くなったと思って見てみたらあれがあって」


「リンさんを起こして部屋から出ましょう」


「さっきから声掛けたり揺すってるんだけど起きない」


「私が背負って行きます」

 

 オペラが扉に手をかけるが銀色の壁に飲み込まれる。


 飲み込まれて3人は荒廃した都市にいた。少し離れた場所にシェリーもいた。


「シェリーさん」


「貴方達どうしてここに」


「部屋に急に銀色の壁が出てそれに飲み込まれて気がついたらこんな所に。シェリーさんも?」


「仕事してたら急に壁に飲み込まれて。リンちゃんは寝てるの」


「はいぐっすり寝てます」


「2人ともあそこにも人がいるよ」


 オペラが指さす場所を見ると小さい人影が2つありこっちに近づいている。

 距離が近くなり少女の姿が見えてくる。


 オペラが少女達に手を振りながら声をかける。少女達の姿がより鮮明に見える。

 ベールは前に出て魔法を放った。


「いや何してるの。あの子達何もしてないじゃん」


「そうだよ。何もしてないのにいきなり攻撃してこないでよ」


 そう答える少女は彼女の身の丈よりも大きな鎌を持っていた。


「あの程度の威力なら受け止められるよな」


 ベールは分かっていたかのような事を呟く。


「グレース、エリス貴方達がここにいるという事は他の3人もこの世界にいるのか」


 普段丁寧な口調の彼女が怒りに満ちた声で少女に問いかける。


「ベールちゃんどうしたの?口調がいつもと違うよ」


「2人ともすぐに逃げて、早く」


 ベールの変貌にオペラは怖くなり体を動かせなかった。


「ベールそんなに慌ててどうしたの。それに彼女達は何なの」


 シェリーが問いかける。


「彼女達は」


「ストッープ」


 エリスが大きな声を遮る。


「それはまだ言っちゃダメ。てかベールちゃん?は何で私達の事知ってるの」


 ベールは答えずにエリスを睨む。


「話さないなら話さいでいいや。何をするか分かってるなら準備しなよ。じゃないと死ぬよ」


 エリスが鎌を振い斬撃を飛ばす。ベールは横に避ける。もう一度同じ攻撃をするとまた避ける。


「反撃しないの。あっもしかして剣がなくて戦えないの?」


「やっぱり見てたのか。遠くから見られてる気配したからずっと警戒してたの結局こなかったから油断した。にしてもどうしよう。剣は返しちゃったし」


「これ使って」


 シェリーがベールに鞘に入った剣を投げる。ベールが鞘から抜くとキラリと光る刀身が出てくる。


「転移される前に念の為に持ってきた物なんだけどあげる。暇つぶしで作った物だけどそこら辺の物よりも斬れ味いいよ」


「ありがとう。使わせてもらいます」


 剣を構え目に闘志が宿る。グレースは彼女の構え方に見覚えがあった。


「あの構えどこかで見たような気がする」


「そんな事どうでもいいよ。早くやろうよ。もう待てない」


 エリスは突進しながら鎌を振るう。ベールは剣で受け止めた。

 鞘で鎌を振り払い剣を振り下ろす。エリスは鎌を勢いよく振るい斬撃を放つ。

 ベールは斬撃を避けるために一度距離をとる。


「お姉ちゃん強いね。大体の人は最初の鎌を振った時点で死んでるのに」


「前に戦ったことがあるからある程度は戦える」


「戦うのは今日が初めてなんだけど。私達の事も知ってるし何なの」


「それはこっちのセリフだ」


 エリスとベールが話している中寝ていたリンが目を覚ます。


「あっ起きた」


「大胆な模様替え」


「模様替えじゃなくて引越しだよ。それよりも大変なの。寝ようとしたらここに転移されてて、ベールちゃんが女の子と戦ってるの。ベールちゃんは逃げてって言うし」


「女の子?どこ?」


「あそこです」


「!」


 リンが少女の姿を見て声を出せなかった。リンの脳内はある瞬間の記憶でいっぱいになる。自分が死んだ時の記憶で。


「何でここに」


「すぐに逃げるよ。シェリー、オペラちゃんを連れていって。ベールちゃんを連れてくる」


 刃をぶつけ合う2人の元へ急ぐ。


 ベールとエリスは攻防を繰り返していた。お互いに相手の攻撃を防ぎ反撃し、それを避け反撃するの繰り返し。


 疲れが取れていないベールは集中が途切れる。そして鎌が彼女を切る。傷口は深くないが血が流れてる。


「その傷だと続けるのを無理だね。次は誰にしようかな。あの子にしよう」


 向かってくるリンを見ると鎌を構える。それに気づいたリンは横に避ける。斬撃が自分の横を通り過ぎる。前からもう一度飛んできた斬撃を避けベールの元に急ぐ。

 

「ベールちゃん立てる?すぐに逃げよう」


「リン起きたのか。俺の事はいい。自分の身を守れ」


 エリスが鎌を振り下ろしながら上から降ってくる。2人は左右に避け、ベールは剣を構えた。


「その傷でまだやるの。でも私は隣の子に興味があるんだよね。どうしたのそんなに怖がって」


 ベールは驚く。リンは今までに見た事がない程にエリスを怖がっている。


 エリスはそんな事お構いなしにリンに攻撃する。リンは反撃せずにただひたすらに避け続けた。


「ねぇ避けてばっかりだけどやる気あるの?魔物と戦ってた時はやる気だったのに。つまんないよ。それとも私と戦いたくない理由でもあるの」


「……」


「君はもう少し期待したけどいいや」


 振られた鎌がゆっくり見える。本で人が死ぬ瞬間目の前のものの動きがゆっくりになって見えるって読んだけど本当だったんだ。そんな事を思いながら死を覚悟した。

 次の瞬間、異形の手がエリスを殴り飛ばす。


 殴ったの龍のような手足に角と羽、尻尾が生えたシェリーだった。

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