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第46話 森では

 花火を見ずに家に戻ったシェリーはソファーに座りテーブルの上に置いてあるコップの中に入ったコーヒーを飲む。


「はぁ疲れた。休憩時間以外ほぼ立ちっぱなしだったから足が痛い。腕も少し痛い」


 コーヒーを飲み干しメモを取り出す。メモにはお客から依頼された仕事の内容が書かれている。


「どれからやろうかな。できるだけ早く欲しいって言われたこれからやっちゃおう」


 作業場にいきメモを確認し必要な物を用意する。


「花火見とけばよかったかな、来年見れるしいいか。あれジャーキーなくなってる。取りにいかなきゃ」


 作業中の息抜きに食べるツマミのジャーキーを取りに一度戻る。


「どこに置いたっけ?」


 散らかった部屋を探しジャーキーを見つける。


「あったあった。今度部屋の片付けしないと。というか外騒がしい。気になって集中できないし見に行こう」


 外に出ると普段は静かな夜の森が騒がしい。どこから聞こえてるのか、誰が騒いでるのかを知るために探しにいく。

 進んで行くと空から鳥の姿をした魔物が現れ爪を出しながら降下してくるが足を掴み地面に叩きつける。


「ここに魔物が出るなんて珍しい。うるさい理由も分かったし戻ろう」


 森の草陰がガサガサと揺れワーウルフが数匹飛び出す。足に変な感触を感じて見ると蛇の魔物が巻きついている。蛇を掴むと毒を吐く。空いてる手で顔を守る。

 掴んだ蛇を1匹のワーウルフに投げつける。残ったワーウルフは噛み付こうとしたが火球で倒す。

 毒がかかった手はヒリヒリと痛むが気にする程でもないのでそのまま歩く。


 道中魔物が現れ襲ってきたが全て倒した。


「この森魔物がいないはずなのにこれだけの数がでるのはおかしい。花火で事故でも起きてそれで魔物が入ってきたの?祭りに来てた人が危ない」


 王都の近くへ行くと魔物と魔人が戦っている。魔人は深手を負っていて変異種に押されている。

 魔物の攻撃を避けた魔人が私の前にくる。戦っていた魔人はニーナだった。


「ここで何してるの」


「それは私が聞きたいよ」


「見て分かるでしょ。魔物と戦ってるの」


「それは分かるよ。なんで傷を治さないままでいるのかを知りたいの」


「治そうと思って誰もいない場所に来たけど丁度こいつがいて」


「治したくても治せなかったって事?なら私がこいつやるからその間に治しちゃって」


 突進してくる魔物を蹴り顔を掴み地面に叩きつける。顔を上げ反撃しようとしたが鎖で拘束して身動きを封じ魔物の全身を凍結させ殴る。氷はバラバラに砕ける。


「はい、終わり。怪我は治った?」


「え、あっ、まだ治ってない。変異種を倒すまでが早すぎるよ」


「変異種なんて雑魚だよ。ねぇ騒がしいのが気になって外に出たけどここに来るまでに何体か魔物と会った。変異種の魔物も出てくるし何があったの?祭りで事故でも起きたの?」


「事故は起きてない。さっきのとは違う別の変異種の魔物が入ってきたの。そいつはオペラちゃんが倒し担だけど魔人と成ってあちこちで色んな人と戦ってるの。壁も壊れて魔物が入ってきたの。だから街には大量の魔物がいる」


「もしかして魔人と戦って怪我してここに来たの?」


「戦ったというより奇襲された。変異種の時の恨みを晴らしに来たみたい。普通に戦ったら勝ったのに」


「まあ何があったかは分かった。私は街に行くけどどうする?」


「あと少しで治るからそしたら街に行く」


 突如2人の上に数本の光の剣が現れ降り注ぐ。右腕を伸ばし手から炎をだす。

 暗い道の先から1人の女性が歩いてくる。


「さっきの魔法、貴方?」


「そうです。そちらの魔人にお話がありますのでどいてください」


 女性は光の鞭を伸ばす。シェリーは光の鞭を掴む。


「お話するのに光の鞭(これ)はいるのかな?」


 彼女は光の鞭を引っぱったので手を離す。


「その魔人はお友達ですか」


「友達ではないね。この前知り会った仲だよ」


「さっき私の魔法から守っていましたがなぜですか。魔物は人類の敵です。魔人であれば尚更です」


「ニーナは人を襲わないって言ってたよ。それに私がここに来る時も魔物と戦ってた。怪我のせいで押されてたけど」


「最後の一言はいらないよ」


「貴方の前だからそう言ったのであって知らない所で人を殺してるかもしれません」


「言わせておけば」


 怪我を治したニーナは髪をうねらせる。彼女の発言に切れたようだ。


「ほら、私に敵意を向けてるのに彼女を信じるのですか?」


「これはそっちが悪い。一方的に言われたらいい気持ちじゃないよ」


「何を言ってもどいてくれなさそうですね。もう一度言います。『どいてください』」


 その言葉が頭の中で何重にも重なって聞こえ耳を塞ぐ。少し待つと聞こえなくなった。


「どうして耳塞いだの。そんなにうるさくなかったよ」


「頭の中で声が何回も聞こえてうるさかったから耳を塞いだの。今はもう聞こえない。ねえ私に何かした?」


 女性の顔を見ると明らかに動揺している。


「何に驚いてるのか知らないけどもう行っていい?」


「魔人は行かせません。ここで倒させてもらいます」


 手を空に伸ばすと巨大な光の剣が現れ、それをニーナに振り下ろす。ニーナの足は光の鞭に捕まっていて動けない。シェリーも鞭で拘束されるが余裕で破り剣を片手で受け取め指先に力を入れると刀身は粉々に砕ける。


「これ以上やるなら代わりに私が相手になるよ。もし私が負ければここからどくよ。逆に勝ったら私の言う事を聞いて」


「分かりました。貴方に勝って魔人を倒します」


「ニーナ、合図をお願い」


「わ、分かった」


 なんで2人が戦う流れになったんだろう?さっきまで全然あの女の人と私が戦う流れだったのに。あと合図って何したらいいの。分かんないから適当にやっとこ。


 右手の人差し指の先に小さな水玉をつくり破裂させる。


 光と炎がぶつかり合い、周囲の木が燃え、空の雲はなくなる。


「いきなり光撃たないでよ。もう少し威力の低い魔法を使うと思ってたのに」


 シェリーは僅かに遅れて炎を出した。しかし炎は光をおしている。


 女性は光を止め剣を持ち距離を詰めるが炎の壁がシェリーを守る。

 水の渦を壁にぶつけ穴を作るが炎の矢が放たれる。上半身を後ろに倒し矢を避け、鞭でシェリーを捕まえ壁からだし、地面に倒すが解かれる。腕を掴んだがシェリーは私の体ごと回る。手を離して受け身を取る。


「手加減してますか?貴方から攻めてこないし、ゆるい攻撃してこない。さっきの矢もあえて避けやすい位置に放ったんじゃないのですか?」


「バレちゃったか。そうだよ、手加減してるよ。こういうのはお互い全力を出すべきだからそうするべきなんだろうけど、人相手に本気でやるのは嫌なんだよね」


「手加減するのは構いませんがそのせいで死んでもしりませんよ」


「その心配はいらないよ。死なないし、なんなら勝つから。先に言っておくけど手加減なしでいくから」


 女性は光の弓で矢を放つ。シェリーは矢に向けて腕を伸ばし炎を放つ。

 その炎を見て無意識に射線上から避ける。ニーナも水で体を包む。


 矢を飲み込むだ炎はその先の木を燃やし通った跡は焦土になっていた。

 水で包んでいたニーナの体も軽い火傷を負った。


「やりすぎちゃった。避けてくれてよかったー。殺しちゃったかと思ったよ」


「あれが貴方の全力…勝てないですね」


 自分では勝てないと分かり負けを認めた。


「じゃあ約束通り私の言う事を聞いてもらうよ。今日だけでいいからニーナを襲わないで」


「えっ今日だけなの?!」


「ただでさえ魔人が王都にいて相当な被害でてるのに、これ以上増やされると困るもん。もしやるなら知らない所でやって」


「庇ってくれたのは嬉しいのに、今は悲しいよ」


 ハッと王都の方へ顔を向ける。何かが近づいているのに気づく。


「気づいた?」


「何か来てますね」


 3人は空に、炎、光、水を放つが風の壁で防がれる。空から魔人が降りてくる。

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