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第4話 自衛隊魔法高等工科学校

 

 自衛隊魔法高等工科学校。


 この学校は3年前に開校し、魔法を教わる事ができる日本唯一の教育機関ではあるが、学校教育法に定められた学校とは少し違い、防衛省と文部科学省との提携直轄学校となっており、生徒は在学中、特別職国家公務員の資格も保有している。


 生徒達は同列の特別職国家公務員ではなく、その能力によって階級が分かれていた。


 ソーサリーギアを1つ起動できる者を一式使いと言い、5つ起動できる五式使いからは士長の階級が与えられ、九式使いにまでになると曹長になれるのだ。


 その様なこの高校に通う者達の中で、ずば抜けたソーサリーギアとの適性と膨大な魔力量で、開校以来1人しか確認されていない、最高峰の十式使いに至っては、准尉の階級と生徒会長の座を与えられる。


 その座に1年生の頃から就いている十式使いの生徒の名は、児玉(こだま) (はるか)と言い、児玉(こだま) (とおる)の2歳上の実の姉だ。


 その遥はまだ午前中の授業も終わっていない内に、生徒会室で数人の生徒達と話しをしていた。


 それは先ほど起きた大きな地震と、視認できる程の魔力に空が覆われる現象による被害の状況確認のためだ。

 



「みんな、集まったわね… それじゃ、報告を聞くとしましょうか…」




 遥の号令と共に、生徒達は各自報告をしていく。


 大きな地震ではあったが、耐震性の強い造りになっている校内の被害は比較的少なく、生徒数名が転んで切り傷を負ったくらいで済んだらしく、生徒会長である遥は安堵の溜め息をつく。


 その時、生徒会室にあるテレビを観ていた者が悲鳴を上げた。




「うわぁ! な、何なんだよ!? これは!?」




 その生徒の声で、皆テレビに向き、固まる。


 東京都の地震の被害状況が中継されていた、そのニュース番組には悍ましい光景が映っているのだ。


 地形が変わったのか、本来なら東京湾を見渡せる場所には、深い森が浸食しており、そこから見たこともない生物達が、都市部に這い出て来ている。


 上陸してきた明らかに地球上には存在していない、暗緑色した子供程の大きさの生き物が、人間達を襲って食らいついている。

 人型をしているその生き物の顔は酷く醜く、ぼろ布を纏っているだけで、まるで原始人の様な格好だ。


 その内に刃物をもった暗緑色の生物が、カメラに近づきキャスターを襲い始め、中継は中断されスタジオに映像が戻る。




「・・・」




「えっ、えー、ただいま、放送には適さない映像が流れてしまいました… お詫びいたします… って、あの人、大丈夫なの!?」




 メインキャスターも焦った様相を呈しており、ニューススタジオ全体が混乱している様だ。


 生徒会室では、今しがた流れた凄惨な映像に、静まり返ってしまう。




「あれって… ゴブリン?」




 1人の生徒の言葉をきっかけに、生徒会室にいる者達は堰を切ったように喋り出す。


 ゴブリンの存在を否定する者、見たままを信じて騒ぎたてる者、それぞれバラバラに行動している生徒達を一声で黙らせる者。

 それは生徒会長である、遥だった。




「みんな聞いて! まず、情報を集めるわよ! ネットとテレビ、副会長は、情報収集系の魔法を使える子達を至急集めてちょうだい! ソーサリーギアの使用を認めるわ!」




 テキパキと指示をしていると、校内放送で遥を呼び出す校長の声が聞こえた。




「児玉遥准尉、至急、校長室まで来るように」




 生徒会長ではなく、准尉と呼ばれる事に緊張が走る。


 遥は急いで校長室へと出向き、指令を受けた。


 その指令とは、

 陸上自衛隊魔法小隊に合流し、遥専用ソーサリーギア、十式連武を用いて住民を救出せよ。

との事であった。


  





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