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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
8章 ギフト教と蜂起
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2話 新装備と宴会

「おお! これ良いな」


 竜の襲撃から暫く、ティアに呼ばれて武具店を訪れ、薦められるがまま赤竜の翼を素材にした赤いジャケットを着る。


 動きも前のジャケットと阻害せず大差ない。強度もレッドウルフのジャケットより強いのもまたいい。


 竜の牙を加工して作られた短刀も見た目より軽くて手によく馴染む。


「そうじゃろそうじゃろ……やはりお主には赤が一番じゃ」


 『ロガーティア武具店』の店主にして俺の婚約者? であるティアがうなずく。


「なんせ頑強なドラゴンで造られた逸品じゃ。これでお主達も守ってくれるじゃろう」

「こっちもいい塩梅だ」

「はい。大きいのに凄く軽いです!」


 俺と同じく竜の鱗と骨で作った軽装の鎧と槍を持ったロゼと、こちらも竜素材で作られた重装備の鎧に大盾、剣を持ったアウルムも満足そうだ。


「しかし竜素材の武具をよく仕入れられたっすね」


 メイド服のエレが竜製のハルバードを振り回しながらティアに聞く。


「ああ。それはガンツの工房と提携を組んでの。お主らの装備を優先的に作って回して貰えたのじゃ」

「どうりでサイズがピッタリだと思った」


 前回の竜の大群の襲来で、今は竜素材がこの街は有り余っているからな。ガンツさんとフォルンの工房にも回って来て俺達の装備を優先的に作ってくれたのか。


「巨獣は全部国に持っていかれたからのぉ。竜は持っていかれずに済んで良かったわい」


 そう。結局巨獣の素材は貴重だからと、国の研究機関が持って言ったらしく素材は手に入らなかった。


 代わりに莫大な報奨金が『フォルト』の冒険者協会に渡されたらしいが、あの前領主が騎士団を動かしたと主張して中抜きし、十凡な褒賞が冒険者に支払われなかったらしい。


 あのジジイ、本当に碌な事をしなかったな。


「あと市場に竜肉が大量に出回って、いつもは高級で取引されているのに値崩れを起こしとるらしいわい」


 まあ、あの大きさと数の竜だったからな。


「と、言う訳じゃ」

「……どう言う訳?」

「鈍いのぅ……宴会じゃ宴会!」


 宴会?


「なんでまた?」

「お主が入院していたからの、竜討伐の祝勝会をやっとらん。お主の退院祝いも兼ねて遅いが宴会をやろうという話じゃ!」

「それで竜肉を食おうってか……いいな」

「はい! 賛成です」

「滅多に食えないっすからね! うちも賛成っす!」


 武具店に来ていたメンバーは賛成か。


「ーーそうだな。俺も竜肉には興味あるし、やるか!」


 と、そういう話になったので武具店を出た俺達は宴会の準備をする為買出しに出た。


 ◇


「乾杯!」


 俺はジュースの入ったグラスを掲げて乾杯の音頭をとる。


 「「「「かんぱーい!」」」」


 『魂の解放者』のメンバーに加えて、三大ギルドにして同盟ギルドでもある『白薔薇』も交えて、パーティが始まった。


「にしても唐突ね」


 『白薔薇』のギルドマスターで俺の婚約者でもあるミリアが俺に近づき言った。


「ティアの発案でな。偶にはいいだろ」


 竜肉にも興味があったし。


 という訳で早速竜肉のステーキにかぶりつく。


「ーー美味っ!」


 肉汁が溢れ出し、豚とも牛とも違う味だが圧倒的な旨みが口内に広がり、肉は見た目より柔らかい。


 高級品になるのも納得だ。


「モグモグモグモグ!!」

「ガフガフガフ!!」


 カナとグレイも異様な速さで竜肉のステーキを平らげていく。どっちも気に入ったらしいな。カナは一心不乱に竜肉にかぶりつき、グレイがもの凄い勢いで尻尾を振り回している。


 他のメンバーも美味そうに竜肉を頬張り、酒をがぶ飲みしている。俺とカナはジュースだが。


 各々に楽しんでもらえて何よりだ。


 そうして暫くして……。


「またこうなったか……」


 宴会の場は、酔っ払いどもで溢れ返り混沌と化していた。


「ロゼ聞いてよー」

「オレだってな、オレだってな」


 レンとロゼはお互い噛み合わない会話をし、


「そうなんでふよ〜わらしだってやってやりまふよ〜」


 アウルムは誰もいない空間に呂律の回ってない状態で喋り出す。


 4つ子は早々にダウンして床に沈み、


「「一気! 一気! 一気!」」

「ゴクゴクゴク……ぷはー!」

「ティア、やるわね」

「…うぷ」

「メルナ! ここで吐くな!」


 ティアとミリアが酒を一気飲みして飲み比べをし、『白薔薇』の面々が場を盛り上げる。その傍らで飲み比べをしていたメルナがダウンしてベアトリクスが介抱している。


「ははははは!」


 それを見ながらマルグリットは、令嬢とは思えない豪快さで酒を瓶ごとラッパ飲みし笑っていた。


「モグモグモグ」

「ガフガフガフ」


 それを尻目にカナとグレイはひたすら竜肉を食べ続け、


「ウチもあっちに混ざりたいんっすけど……」

「働きなさい」


 ノア達メイド組は、給仕に大忙しだった。……エレは文句を垂れながら仕事していたが。


 腹いっぱいになった俺はその光景をソファに座って遠巻きに見ていた。

 

「バン」

「どうした?」


 一通り食べて満足したのか、カナが俺の膝の上に乗り甘えだす。


「わたし、今が凄く楽しい」

「そうか」


 カナが満足しているなら良かった。


「バンは楽しい?」

「俺か? ……ああ。楽しいよ」


 カナの頭を撫でながら返答して、改めて目の前の光景を眺める。


 そうだな。この光景を見続けるのも良いな。


「あー! バンがカナちゃんとイチャイチャしてる!」

「ズルい、私も!」

「ワシもじゃ!」

「婚約者を蔑ろにするな!」


 カナが俺に甘えている所をレンに見られ、婚約者達が俺に抱きつく。


「バンの1番のお嫁さんはわたし!」


 カナも負けじと更に俺にしがみつく。


「く、苦しい……酒臭い」


 周りから囃し立てられながら、俺は暖かく柔らかい感触を感じていた。


次回「塔」


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