表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
7章 結婚騒動と竜
79/97

9話 6層

「これからよろしくなのじゃ」

「いらっしゃい」


 荷造りをして、俺の家に引っ越して来たティアを出迎える。


 こうしてメンバーも揃った事だし、それじゃあ行くか。


「ノア、カナを頼んだよ。ティアも店をサボるなよ」

「行ってらっしゃいませ」

「バン、気をつけてね」

「怪我無くのぅ」


 俺達はダンジョン探索に向かった。




 俺達は4層への転移陣がある関所に向かいながら歩く。


「こうしてダンジョン探索に行くのも久しぶりね」

「そうなのか?」


 レンの言葉にマルグリットが初参加なので色々聞いてくる。


「『大増殖』があって5層に行ったきりだな」

「領主の騒動もありましたし」

「……うちの祖父がすまない」


 マルグリットが俺達に謝ってくる。


「マルグリットが悪い訳じゃないさ」

「それでも身内の不始末だ。報いていくよ」


 マルグリットは悲しそうに笑いながら宣言した。


 空元気にならなければいいけど。


 こうして4層の転移陣の関所で許可証を見せて、円状に岩が並んだ中央に立つ。


 すると岩が光り、気付けば4層の廃城の地下室に着いた。


「ここがダンジョンか……空気が違うな」


 マルグリットのダンジョン初体験の感想がそれだった。


「廃城にはモンスターが出ないからこのまま5層に行くわよ」

「おう!」


 俺達は玉座の間から仕掛けで5層に繋がる道を動かす。


 こうして下水道を通って5層の城下街に着いた。


「なんというか……予想外だな」


 マルグリットが5層の町並みを見てぼやく。


「なにが?」

「もう少しこう……洞窟なんかでモンスターが闊歩しているような場所だと思っていた」

「1層や2層はそんな感じだな……グレイ、エレ、頼めるか」

「ワン!」

「任せるっす!」


 グレイが先行して前に進み、エレが『浮遊』で空中から様子を見渡す。


「ほう、ちゃんと役割を分担して無駄が無いな」


 ウルバン領の騎士団を率いていただけはある。それぞれの役割りをきちんと理解していた。


「あっちから鎧型モンスターが5体来るっす!」


 エレが早速モンスターを発見し、俺達に報告する。


「いつもどうやって対応してるんだ?」


 マルグリットは初参戦だ。フォーメーションを言ってなかったな。


「レンと4つ子を後方に、ロゼとアウルムが後方の護衛。俺とグレイとエレが前衛で、アイとマイ、メイがギフトで援護と支援が主体だな」


 主に戦闘力の無いレン、ミイ、メイを守りながら戦うのが通常スタイルだ。


 なんせ『治癒』と『収納』は生命線だし、『鼓舞』で支援して貰わないと困る。


「なら私は前衛に加わろう」

「そうしてくれ」


 初めての戦闘だ。連携は確かめておきたい。


「来るっすよ!」


 エレが上空から報告してくる。


「エレは上空から攻撃を! アイとマイは援護! メイはバフ掛けて!」

「了解っす!」

「グレイとバン、マルグリットは迎撃を頼んだわよ」

「了解!」


 レンの指示の元、近づくモンスターを迎撃する。


「おら!」


 マルグリットは『転移』を使ってモンスターの背後を取り、大剣で斬る。


 バンッ! バンッ!


「ガウ!」


 俺も負けじとライフルで撃ち、グレイが剣を咥えて攻撃。


「行くっすよー!」


 エレも上空から急降下してハルバートでモンスターを叩き切り、アイ、マイがギフトでモンスターを燃やし、あるいは凍りつかせる。


 5体いたモンスターをあっという間に討伐を終えて、黒い霧になり核石だけが残った。


「このメンバーだと苦労しないな」

「あっという間でしたね」

「連携も確認できたし、大丈夫だろ」

「気持ちは分かるけど油断しないの」


 レンが核石を回収した後、俺達に注意する。


「今回は連携の確認も兼ねて戦闘したけど、今回の目標は6層だから5層での戦闘は極力避けましょう」

「そうだな。無駄に体力使いたくないし」

「上空偵察は任せるっす」

「ワン!」


 こういう時程、グレイとエレは頼りになる。


 それからモンスターの先頭を避けつつ迂回等をして、6層の入り口にある教会に着いた。


「ここに6層の入り口があるのか?」


 マルグリットは怪訝そうに聞くが、説明より行動で見せたほうが早い。


「まあ見てな」


 ロゼとアウルム、エレが先行して教会の最奥にある像に触れると、3人が姿を消した。


「転移か!?」

「そういうこと……行くぞ」


 レン達が次々に像に触れ消えていき、最後に俺はグレイを抱きかかえて像に触れると風景が変わった。


「ここが6層か」


 6層は、中央に巨大な竜巻が轟き続ける浮島だった。


 ◇


「これ、どうなってんだ?」


 俺は浮島の端に行き下を覗き込む。


 下は青一色で空とも海とも知れない。


 試しに小石を下に落とすと音も無く消えていった。


「落ちるわよ」


 レンに注意され、俺は端から離れる。


「これ、どうやって浮いてるんだ?」

「さあ。……何しろダンジョンだしな」


 島が浮いている理屈は知らんが、高度はどの位だろう? 寒くもないし、呼吸もちゃんとできる。


「浮島を見たことある人~」


 一応聞くが、誰も手を上げなかった。


「ダンジョンだから、そういうもんだと思うしかないでしょ」


 それもそうか。


 レンの言葉に納得する事にした。


「行きましょう。グレイ、エレ頼める?」

「ワン!」

「無理っす!」


 エレが上空探索を無理だといった。


「どうかした?」

「アレを見るっす!」


 エレが指差した方向を見ると、竜巻を中心に何かが何百、何千と飛んでいた。


「アレ全部ワイバーンっす。私が飛んだら一瞬でパクっすよ!」

「あれがワイバーン!?」


 ファンタジーの定番が来た!


 俺は望遠鏡をレンに出してもらいワイバーンを見る。


 ワイバーンと言ってもその姿はモンスターと同じで輪郭がはっきりせず、金色の文字が帯状に巻きついている。


 ただ、角が生えた獰猛な鰐の様な顔に長い首。前足が無く翼が生えて、長い尻尾。


 大きさは望遠鏡越しでも分かる。巨獣まで無いにしろ相当な大きさだ。


 俺達を餌と見なしていないのか、俺達の存在を無視して飛行を続けている。


「おおー! かっこいい!」

「言ってる場合っすか!?」


 俺の感想にエレが突っ込む。


「確かにこれじゃエレには無理ね」

「そうだな。地道に探索していくか」

「それじゃあグレイ、頼む」

「ワン!」


 俺達はグレイの先導に従い、浮島……というか浮いている廃墟と化した街を探索する。


「ワン!」

「敵か!?」


 俺達は武器を構えてグレイの睨む方を睨む。


 出て着たモンスターは翼が無い竜が人型になった様な外見の、3mはあるモンスターだった。


 バンッ!


 俺は先制してライフルで撃つが、モンスターには大きなダメージが通らず、モンスターが俺達に突進して来る。


 鋭く長い爪を出して攻撃してきた。


「来るぞ!」


 バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!


 俺はライフルを連射するが止まる気配が無い。


「おらあ!」

「はあ!」


 マルグリットとエレが頭を叩き斬る。


 モンスターの頭が砕け散るがそれでも止まらない。


 鋭い爪で俺達に攻撃してくる。


 ガン!


「くうううっ!」


 アウルムが間に入って『鉄壁』でガードする。


「「どいて!」」


 俺達は横に飛び退き、アイとマイがギフトを使う。


 マイがモンスターの足を凍らせて動きを止め、アイがモンスターの上半身を焼く。


 それでも動こうとその場でもがくモンスター。


 ドォン!!


 俺はリボルバーを抜いて『貫通』を使いモンスターの腹に風穴を空けて、ようやくモンスターが黒い霧になって核石を残した。


 核石はサッカーボール大の黄色い球体だった。


「これが6層のモンスターか」

「ええ、ここまで5層のモンスターと強さが違うなんて……」


 何より、ライフルが効かなかったのがショックだった。


 俺の通常攻撃が通用しないとなると、『貫通』のギフトに頼らざる得ないな。


「アウルムは大丈夫か?」

「はい、怪我は無いですけど……少し疲れました」


 アウルムは回復薬を飲みながら報告する。


「少し休憩して進みましょ」


 レンの提案に全員賛成し、廃墟と化した街で屋根がある家に入り、休憩する。


 窓を覗くとさっきと同じモンスターが至る所徘徊している。


「さっきの戦闘で呼び寄せたか……あの数は無理だぞ」


 ロゼも窓から望みこみ、愚痴を洩らす。


「さて、これからどうする?」


 あのモンスター1体だけでも苦労したのに、あの数は無謀だ。


「ここで暫く隠れましょ」

「賛成」


 これでモンスターが散開してくれれば良いけど。


 俺はリボルバーを握りながら外の様子を窺う。


 モンスターはこっちにはまだ気付いていない。


 とりあえず要警戒だ。


 そうして暫く隠れながら交代しつつ警戒していると、突如モンスターの動きが変わった。


「モンスターの進行が変わった?」

「どうしたんだ?」


 メンバーも窓からこっそり覗くと、モンスター達が突如走り出した。


「何かあったのかしら?」

「追ってみよう」


 俺達はモンスター達が走り去った後を物陰に隠れながら進む。


 するとモンスター達は街の中央の石舞台のホールに何百何千体と集まっていた。


 そこで膝を折り、両手を握り締めて、まるで祈りを捧げているように見えた。


「一体何が……」


 その瞬間。竜巻の周りを飛んでいたワイバーンが何体も集まり、モンスター達を囲む。


 そして、ワイバーン達がモンスターを喰い始めた!


「――おええっ!」


 その光景に思わず気持ち悪くなりその場で吐くレン。


 気持ちは分かる。誰もその光景に恐怖を感じていた。


 やがてモンスターを食い終わったワイバーンは飛び立ち、大量の核石だけが石舞台に残された。


「……」


 俺達はその光景を呆然と見ているしかなかった。

次回「竜」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ