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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
7章 結婚騒動と竜
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7話 何でも屋

 翌朝。


「うう……」


 俺はベッドの上で目覚める。


 ベッドから起き上がろうにも、両腕と体が動かせない。


 理由は……。


「すぅすぅ」

「くぅくぅ」

「んんー」


 俺の両腕をそれぞれティアとミリアが枕にして寝て、マルグリットが俺の上でうつ伏せで寝ていたからだ。


 ちなみに全員裸で、汗やら体液やらで汚れている。


「……んあ?」


 やがてマルグリットも目が覚めて、俺と目が合う。


「おはよう」

「ああ。おはよう旦那様」


 チュッ


 マルグリットは俺にキスした後、俺の上から起き上がる。


 汗やら何やらで濡れた体は朝日に照らされて、抜群のプロポーションを艶やかに照らす。


「ふう……昨日は激しかったな」

「媚薬なんて飲ませるからだろ」

「嫌だったか?」

「……嫌じゃなかった」

「素直じゃないな」


 ほっとけ。


「本当に素直じゃないのぅ」

「昨日は可愛かったのに」


 何時の間に起きていたのか、ティアとミリアも起き上がる。


「さて、風呂に入りにいくか」

「そうじゃの」

「すっきりしたい」

「じゃあ、先にいいぞ」


 3人が風呂に入ると言い出したので先に譲る。


「何を言っている? 全員で入るに決まってるだろ?」

「いやでも……」

「いまさら照れる事でもなかろう」

「お湯がもったいない」


 こうして4人で風呂に入り、唯で済むはずが無く、昨夜の続きをおっぱじめる事になった。




「……昨日とさっきはお楽しみだったみたいね」


 二日酔いでダウンしているレンが、げっそりしている俺と肌艶がいい3人を見て皮肉げに言った。


「……そっちは大丈夫か?」


 俺はレンの言葉を誤魔化して体調を気遣う。


 カナとメイド以外全員二日酔いでダウンしているが。


「マルグリット…わざと強い酒飲ませたでしょ」

「あ、ばれたか」


 マルグリットは肯定した。


「この計画は私とティアの発案でな。誰にも邪魔されずしっぽりとヤルるためだ」


 あの男の娘ジジイめ。


「ヤルって何を?」

「カナにはまだ早いかなー」


 カナが純粋に聞いてくるが、子供の情操教育に悪いので誤魔化す。


「むー」


 カナが頬を膨らませてむくれる。これはご機嫌を取らないと。


「そうだ。カナ、今日は街を探索しようか! 食べ歩きツアーだ」

「……2人で?」


 俺はマルグリット達を見るが、頷いて肯定してくれた。


「ああ。2人でだ!」

「わーい!」

「じゃあ、出かける準備をして来な」

「ん!」


 カナは喜んで自分の部屋に戻る。


「ふぅ」

「流石に正妻には勝てないか」


 マルグリットは俺に近づき言う。


「正妻じゃない。家族だ」

「本人はどう思っているかな?」


 これからが楽しみだと言い残し、マルグリットは部屋を出ようとする。


「何処に行くんだ?」

「これでも領主の娘なんでな。上層部や有力者に挨拶やら話やらあるのさ」


 そうか。領主の娘も大変だな。


「と言う訳で私とリンは今日は挨拶回りだ。何、今日中に終わるよ」


 そう言って、マルグリットとリンは部屋を出た。


「私もギルドに戻らないと」

「ワシも店に戻るかのぉ。夕方には帰ってくるわい」


 ミリアとティアもそう言って家を出た。


 残されたのは二日酔いでダウンしているメンバーとメイド2人と1匹。


「ノア、エレ、みんなの面倒を頼めるか?」

「分かりました」

「楽しんできてください」

「ワン!」


 グレイも気を使って留守番してくれるらしい。


 今度遊んでやらないとな。


「お待たせ!」

「じゃあ、行こうか」


 準備を終えたカナが戻り、俺達は家を出た。


 


 俺達はぶらりと商店街を歩く。


 カナは青いワンピースに長い金髪をポニーテールにして、俺は探索服ではなく、私服にガンベルトを巻いた服装だ。


「ふんふん~ふんふんふん~」


 カナはご機嫌に俺の手を握り鼻歌を歌いながら歩く。


「それ、何の歌?」

「レンお姉ちゃんがたまに歌っているのを聞いてたら覚えた」


 ふーん。レンの意外な一面が見れたな。


「バン! あそこ行きたい」


 カナが指差したのはクレープが売ってある屋台だった。


「はいはい」


 この娘の食欲は相変わらずだな。


 そうやってカナの食べ歩きに付き合い、商店街を出ると広場に着いた。


「ここら辺は来たこと無いな」

「そうだね……あそこで何かやってる!」


 人ざかりが出来ていた方をカナが指差し、向かうとショートパンツにビキニの上に道化師風の前をはだけさせたパーカーを着て、圧化粧をした女性がボールに乗りながら短剣でジャグリングしていた。


 どうやら広場で奇術のショーをしているみたいだ。


 色々なマジックをして観客を驚かせては、おどけた姿を見せて観客を笑わせる。


「おー!」


 カナも楽しんでいるみたいだ。


 そうして演目が終わったのか、道化師は一礼して、観客はおひねりを前に置いてあった箱に投げ入れた。


 俺も見物料を箱に入れてその場を去る。


「すごかったね!」

「そうだな」


 その道のプロなんだろう。俺は真似できないな。


「次は何処行きたい?」

「んー……こっち」


 カナが指差して行きたい方向を言う。


「なんで?」

「勘」


 勘か。まぁ、いいか。


 こうしてカナが向かいたい方へ歩き出す。


「ここなんだろ?」

「商店街じゃないか?」


 そこは色んな出店が並んでいる商店街だった。


 唯違うのは俺達が歩いていた商店街より陰湿で、扱う品が見た事無い物ばかりだ。


「あれ、毒草売ってる」

「マジか」


 カナの『千里眼』が見たんだ。間違いない。


「ここはやばそうだから引き返そうか」

「ん」


 俺とカナは来た道を引き返そうとした時、


「ちょっと待ちな」


 見るからにチンピラな風貌の男が3人。


「ここを通りたければ金貨1枚だ」

「いや。引き返すんで」


 この場を穏便に済ませようとして、引き返すが、


「なら、帰るなら金貨2枚だ」


 後ろから更にチンピラが2人増えた。露天商の人達も見て見ぬ振りだ。


「子供の俺達にそんな金あると思います?」


 実際持ってるけど。


「なら、身ぐるみ全部置いてけ。そこのガキもだ」

「まだ子供だが、高く売れそうだ」


 ヒャハハと笑いながら近づくチンピラたち。


「……あ?」


 バンッ! バンッ!


 俺はリポルバーを抜いて問答無用でチンピラ達の足を撃つ。


「ぎゃああああ!?」

「あ、足がああああ!?」


 急所を狙わなかっただけ感謝して欲しいもんだ。


「じゃあ、帰るんで」


 俺達は足に抱きついて蹲るチンピラを無視して、来た道を引き返す。


「ま、待ちやがれ!」


 残った3人のチンピラが、震えながらも刃物をちらつかせて俺達を脅す。


「はあ」


 そこまで面子が大事かね?


 俺は銃口を向けてチンピラ達を撃とうとしたが、


「待ちな!」


 突如現れた女性に俺とチンピラ達は止められた。


 そこに現れたのは先ほど広場でショーをしていた道化師の女性だった。 


「なにしてんだい?」


 釣り眼の青い眼が俺達を見る。


「俺達からカツアゲしようとしたから反抗しただけだ」

「ふーん……」


 女性は俺達を値踏みするように見た後、チンピラに向かって人差し指と中指を向ける。


「バーン!」

「ぐへぇ!?」


 するとチンピラが吹っ飛んだ。


「なにしやが――」

「バーン!」

「ごば!」


 同じようにチンピラが吹っ飛んで気絶した。


「アレはなにしてるんだ?」


 『千里眼』を持つカナに聞く。


「『指弾』ってギフトで空気の塊を飛ばしている」

「ギフトにも色々あるもんだ」


 そう言っている間に最後の1人を吹き飛ばした後、俺達に近づく。


「ん!」


 女性は手の平を俺に向けてきた。


「……なに?」

「お助け料に決まってんじゃん。銀貨5枚でいいよ。身なりからして持ってるでしょ?」

「あ、そう」


 頼んでもいないけど。上手い商売してんな。


 俺は女性に金を渡す。


「毎度! 私はステラ。何でも屋よ」


 そう言って道化師風の服のパーカーのフードを脱ぐと、金髪のツインテールに左右の先端の色が緑の頭を見せた。


「何でも屋? 道化師じゃないのか?」

「道化師は小遣い稼ぎ。面白かったでしょ?」

「面白かったし、すごかったけど」

「あと、ここら一帯はならず者が多いから子供が来るところじゃないわよ」

「まあ、道に迷ってな」


 本当はカナの勘に従っただけだが。


「ところであんた達は?」

「俺はバン。この子はカナだ」

「よろしく」

「もしかして、あの『巨獣殺し』!?」


 俺達が自己紹介するとステラは驚いていた。


「その名で呼ばないでくれ」

「ふーん……」


 ステラは俺をニヤニヤと見回す。


「……なに?」

「いやー、案外普通の子供だなと思って」


 子供ですが?


「ま、何かあったらこの先にある酒場に来な。大抵そこにいるから」

「困った時にそうさせてもらうよ」


 じゃあな。と言ってステラは商店街の向こうに消えた。


「……俺達も帰るか」

「ん」


 奇妙な縁が出来たが、色々街を回れてカナも満足したようだ。


 俺達は手を繋いで家に帰宅した。


 ◇


「いやー『巨獣殺し』と縁が出来たのはデカかったなー」


 薄暗い商店街の一角の酒場のテーブルにステラは陣取り、酒を飲む。


 すると、テーブルの対面に黒いローブを着た性別不明の人物が座る。


「何か用?」

「……」


 黒ローブは黙って手紙を渡し、硬貨が入った袋をテーブルに置く。


「どれどれ……」


 手紙の内容を見て、ステラの表情が変わる。


「マジで言ってんの?」


 黒ローブは席を立ち酒場を出る。


「……はあ、断る選択肢は無しか」


 ステラはカップに残った酒を一気に飲み干し、勘定を払い酒場を出る。


「折角いい縁が出来たと思ったのになー」


 ステラは手紙を燃やし、ぼやきながら夜道を歩いた。


 萌えている手紙の内容、『巨獣殺し』の暗殺依頼の文字が燃えて灰になった。

次回「暗殺」

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