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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
7章 結婚騒動と竜
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3話 ディアール

 商隊の護衛を続ける事丸1日。


 俺達は領主が住む街、『ディアール』に着いた。


 流石領主の住む街なだけある。街を守る壁もヒビ一つ無く『フォルト』よりも立派だ。


「しかし混んでるな」

「しょうがないのじゃ」


 領主の住む街なだけあって、関所の前は長い行列ができていていた。


 それだけ交易が盛んなんだろう。俺達商隊も最後尾に並ぶ。


「これは時間が掛かるのぅ」

「そうね」


 いつの間にか、ミリアが俺達に合流していた。


「……あっちはいいのか?」

「ええ、メルナに一任している」


 それでいいのかギルドマスター?


「それよりも、暇だから話をしよう」

「そうじゃのぅ……ワシはバンの話が聞きたいのじゃ」

「それは気になる」


 ミリアとティアが暇つぶしで俺の話を聞きたがる。


「……話すことなんて何も無いぞ?」

「何かあるじゃろ? 幼少期とか」


 と言われてもなぁ……。


 しょうがない、本当の事を話すか。


「実は俺、記憶が無くて――」


 俺は森で目覚めて記憶が無かった事から今までの経緯を説明した。


 ダンジョンを探索する目的もだ。


「なるほどのぅ……記憶を戻すためにダンジョンに」

「そういう話はあるけど……眉唾物」


 やっぱりか。


「病院は?」

「行ったけど、医師も分からないってさ」


 左腕をなくして入院していた時に一応診察してもらったが、医者も匙を投げた。


「お主も大変じゃのぅ……どれ、慰めてやろう」


 ティアはそう言うと俺の頭を撫で始めた。


「やめろ恥ずかしい」

「ずるい。私も」


 ミリアも参加するんじゃあない。


 そうやってじゃれ合って暇を潰して、ようやく関所前まで進んだ。


「身分証を」


 門番に言われるまま、ミリア達はドッグタグ――会員証を見せる。


 へえ、会員証は身分証にもなるのか。


 俺もミリア達に倣って会員証を見せる。


「ほれ」


 意外だったのが、ティアも冒険者の会員証を持っていた事だ。


「ティア、冒険者だったのか?」

「昔な。色々旅していた時になっていたのじゃ」


 そういえば旅していたって言っていたっけ。


「……通ってよし」


 ダンジョンに入る時と同じように虫眼鏡で会員証を見た後に許可が下りた。


 ここが領主の住む街『ディアール』か。


 賑わいは『フォルト』に劣るが、町並みや規模はこっちが上だ。


「そういえば、何でスチームカーでの移動なんだ? 列車の方が楽なのに」

「『ディアール』には駅が無いんじゃ」

「なんで?」


 領主の住む街なんだからあってもおかしくないのに。


「前領主の判断。戦争を考えて作らなかった」


 ……あのジジイ。外に敵を作りすぎだろ。


「ま、これからここにも駅が作られるじゃろ」

「内乱の危機も無くなったし」


 そんな話をしながら商隊の後を付いて行くと、街の中央の城の前に着く。


 商隊のリーダーらしき中年男性が門番に声を掛けて何か話している。


「じゃあ、ワシはこれで……またの」


 ティアは商隊と一緒に城に入って言った。


「私達は宿を探しましょ」


 残された護衛陣は帰りの護衛もあるので、商隊の用事が終わるまで暫くここで過ごす。


「すみません。ミリア様とバン様はどちらに?」


 その場で解散しようとした矢先、門番に俺とミリアは引き止められた。


「何?」

「マルグリット様が一目お会いしたいとの事で、一緒に来てもらいますか?」


 ……誰?


「領主様の1人娘が私達に?」


 俺の疑問をミリアが解決してくれた。


「どうする?」

「……とりあえず、行きましょう」


 他の面子は街に宿を探しに行き、俺とミリアは門番に言われるがまま城に入る。


 しかし、領主の娘が俺達になんの用だ?




「……なに? ここ」


 門番から執事に引き渡されて連れられて来たのは、応接室等歓待の場ではなく……石畳の広場だった。


 隅には木剣等の武器が置かれて、冒険者協会の訓練場を思い出させる。


「というか、訓練場でしょここ!?」

「どうしたのいきなり?」

「ミリアは疑問に思わないの!?」


 訓練場にいきなり通されて、平然としているミリアに疑問を持つ。


「こうなるって予想していた」

「へ?」

「領主の長女のマルグリット様は戦闘好き」


 まじか。


「待たせたな!」


 丁度その時、訓練場に来たのは1人の金髪の女性。


「私はマルグリット・ウルバンだ」

「ミリアです」

「バンです」

「早速だが、お願いがある」


 あ、嫌な予感。


「私と戦って貰おうか!」

「嫌です」

「同じく」


 俺とミリアは戦いを拒んだ。


「何故だ!?」

「いや、戦う理由ないですし」

「無闇に戦術は見せないものです」

「ぐぬぬ……」


 俺とミリアの正論に何も言い返せないマルグリット。


「ならこうしよう。私と戦ってくれたら望みの物を与えよう!」


 この人。物で釣ろうとしてるよ。


「ミリア嬢は武器の収集が趣味だそうだな。私のコレクションから一つ譲り受けよう」

「やります」


 ミリアさん!?


「バン君は何が欲しい?」

「いや、俺は欲しい物なんて無いんで……」


 金銭にも困ってないし、特に欲しい物なんて無い。


「バン。なら協力して」

「協力?」


 ミリアから協力を申し込まれたが、何を?


「バンと私が戦ったら、武器が2つ貰える」


 ミリア。俺を収集に付き合せないでくれ。


「でも、領主の令嬢に怪我でもさせたら……」


 一応抵抗してみるが、


「それなら大丈夫だ! この訓練場には遺物で致命傷になったら勝手に治るようになってるし、何かあっても責任は取らせない!」


 わーお。なんて実践的な訓練場なんだろう。


「さあ、やろうか。勝負は致命傷を食らうか降参するか。武器は自分の物で。ギフトはなしだ!」

「バン」

「はぁ……分かったよ」


 俺はマルグリットとミリアの圧力に負けて。戦うことになった。

次回「マルグリット・ウルバン」

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