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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
6章 領主と陰謀
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7話 陰謀

 ダンジョンから地上に出て街に帰る途中。


 関所で番兵に会員証を見せた時に事件が起こった。


「バンだったか、詰め所に来て貰おう」


 ……なにやら、一悶着ありそうだ。


 俺だけ詰め所…というより取調室に連行され、他のメンバーはここに残ると抵抗したが、結局関所から追い出された。


「それで、何の用で?」


 俺は対面に座る騎士の格好をした男性に質問をする。


「君には殺人の容疑が掛かっている」

「……はい?」


 殺人といえば、思い当たる節は2つ。


 森で野党に襲われた時と、ダンジョンで襲われた時だ。


「ダンジョンで襲われた件ですか? それなら協会長にも話を通して不問になりましたが?」


 とりあえず、最近起こったことを話してみる。


「そっちじゃない。3日前、路地裏でゴロツキが殺された」


 心当たりが全く無い。


「ゴロツキの頭に小さな金属の塊がめり込んでいて、傍に筒状の金属が落ちていた」


 そう言うと騎士は、球状の鉄の塊と、筒状の金属を俺に見せる。


「心当たりがあるだろ? 貴様の持つ武器と形状が一致している」


 騎士は俺に顔を近づけ、問いただす。


「吐け。貴様がやったんだろ!?」

「……はあ」


 俺は杜撰なやり口に、思わずため息をついた。


「なんだその態度は!?」


 騎士は激昂し、俺の胸倉を掴む。


「落ち着けよ」


 俺は胸倉を掴まれた腕を掴み、引き剥がす。


「まずは質問、襲われた夜の目撃者は?」

「……何が言いたい?」

「目撃者はいたかと聞いているんだ」

「貴様! ……まあ、いい。居なかったが証拠がここにある! 言い逃れできんぞ!?」


 騎士は俺の態度に怒りを震わせながらも、俺に答えた。


「じゃあ、大きな音は?」

「それも無かったと聞いたが……」


 騎士は怪訝な顔をしながら俺の質問に答えた。


「なら、答え合わせをしよう」


 俺はホルスターからリボルバーを取り出し、シリンダーから銃弾を取り出す。


「これが俺の武器だ。そしてこれが使用する素材」


 俺は銃弾と証拠品を見比べさせる。


「な、明らかに大きさも形状も違うだろ?」


 証拠品として出された物は、銃弾より明らかに大きく、弾頭も形状が違っていた。


「だ、だが、別の物を使っていた可能性もある!」

「素材はこれしかないし、他の武器もこれを使っている」


 俺は騎士の弁明を一蹴し、ライフルの銃弾も見せて説明を続ける。


 騎士は明らかにうろたえている。あと一押しだ。


「それじゃあ、外に出ようか」

「何をする気だ!?」

「いいから」


 俺と騎士は外に出て、関所の中にある岩の前に立つ。


「ゴロツキが殺された夜、大きな音はしなかったって言ったよな?」

「ああ。それがどうした?」


 俺はリボルバーを構えて、岩に向かって撃つ。


 バンッ!


 大きな音と共に、銃弾が発砲された。


「こんな大音が出るのに、誰も気付かないはず無いよな?」

「……」


 騎士は何も答えない。


「最後にこれだ」


 俺は撃った銃弾の空薬莢を抜き、騎士に見せる。


 すぐに空薬莢は、光の粒子になって消えた。


「あの金属の筒はなんだろうな?」

「うぐぐ……」


 騎士は何も言い返せず、俺を睨む。


「と言う訳で、俺は犯人じゃないし、何ならその日はパーティの後に『白薔薇』と打ち上げしている。疑うなら『白薔薇』のギルドマスターに聞けばいい」

「――黙れ! 貴様が犯人だ! その武器は証拠として押収する!」


 とうとう我慢できなくなったのか、騎士が俺から武器を取り上げようと襲い掛かる。


 やっと素が出たか。


 俺は騎士の腕を掴み捻り上げ、足を払って地面にうつ伏せに倒して動けないようにした。


「番兵さん。こいつをどうにかしてください」


 俺達の行動を一緒に見ていた番兵に声を掛け、助けを求める。


 番兵は冒険者協会の職員なので、基本的冒険者の味方だ。


「離せ! 私はウルバン騎士団の人間だぞ! 領主に逆らうのか!?」


 間抜けな奴め、自分からこの騒動の黒幕を言いやがった。


「じゃあ、雇い主様にこう言いな――俺に関わるな」


 番兵に連れて行かれる騎士が叫びながら何か言っているが、俺は無視して関所を出る。


「まさかこんな事をするなんてな」


 あのクソジジイ、次何かしたらタダじゃおかない。


 俺はそう誓って家に帰った。




「そんな事があったのね」


 一通りの内容をギルドメンバーに伝える。


「……すまん」


 俺は全員に謝る。


「皆に迷惑を掛ける事になるかもしれない」

「それはお互い様でしょ?」


 レンは笑いながら俺に言う。


「私なんて戦闘からっきしだし、守られてばっか」

「オレもフォローしかしてないしな」

「私も…バンがいなかったら、今頃ここには居ません」

「ノアもです」

「「「「私達も迷惑掛けてます」」」」

「バンさん、気にしてません」

「みんな……」


 全員の暖かい言葉に、俺は不覚にも泣きそうになった。


「バン」

「カナ……」

「私も、バンが居なかったら死んでた。ありがとう」

「……俺も、皆居てくれてありがとう」


 俺達はお互い感謝した。


「所で、これからどうするんだ?」


 妙な空気を消すように、ロゼがこれからの事を聞く。


「とりあえず、協会長の所に行って相談するよ」

「それが一番ね」


 明日協会に行く事を決め、今日は休んだ。


 ◇


「話は分かったわ」


 翌日。


 協会に行き、昨日の顛末をマリナに伝える。


「あのジジイが……」

「会長。素が出てますよ」


 秘書のマリィに嗜められ、マリナがコホンと咳払いをする。


「とりあえず、領主の目的はバンの武器ね」

「みたいですね」


 俺に冤罪を仕掛けてまで奪おうとしたんだ。次は何してくるか分からんぞ。


「隣のエルド領とそんなに関係が悪いんですか?」

「ああ。戦争直前まで来ているらしい」


 だから俺の銃を取って量産したいのか。


「あの領主の息子がさっさと後を継いでくれたらいいけど」

「領主の息子?」


 マリナの反応からすると、あの強欲領主よりマシなのだろう。


「今の領主と違って、利益より仁義を重んじるし、穏健派だ。エルド領主との和解案も出してくれるはずだ」


 それで優秀ならいいけど。


「さっさと死なないかな、今の領主」


 マリナの小声は聞かなかった事にしよう。


 あのジジイ、敵を作りすぎだろう。


「抗議は私の方でしておく。『魂の解放者』が何も気にする必要は無い」

「それは助かりますが、実はお願いが……」

「なんだ?」


 俺はライフルを見せてフォルンの事も説明した。


「……はあ。分かった。そっちは護衛を君の依頼として出しておこう」

「助かります」

「依頼料は取るがな」


 それでも、唯一の銃職人(ガンスミス)のフォルンを頬って置けない。


「話はこれで終わりか?」

「はい」

「なら、こっちからも話がある」


 話?


「最近、『明けの明星』が奇妙な動きを見せている」


 『明けの明星』が? レオンが死んでガイが新たにギルドマスターになったはず。


「女性冒険者を加入させるようになって、男性冒険者を蔑ろにしているらしい」

「はあ」


 どったで聞いたフレーズだな。


「加入している冒険者はギフト教の信者と言う噂だ……君も気をつけるように」


 やっぱりか。


 しかし、あのインテリヤクザがねぇ。何考えているのやら。


「分かりました。気をつけときます…それじゃあこれで」

「ああ。困ったことがあったら頼ってくれ」

「……いいんですか?」


 弱小ギルドなのに。


「『魂の解放者』……というか君は、勝手に担ぎ上げられたとしても英雄だ。多少の便宜はするさ」

「……どうも」


 英雄呼びはやめて欲しいけどなぁ。


 俺はそう思いながら会長室を後にした。


次回「誘拐」

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