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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
6章 領主と陰謀
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4話 フォルン

「頭痛い……」

「飲みすぎだ」


 俺は朝から二日酔いのメンバーを介抱する。


「水、頂戴……」

「はいはい」


 結局、泊まりではしゃいでいたミリアもこの調子だ。


 今元気なのは俺とカナ、ノア、エレ、ティアの5人だけだ。


 車で送迎してくれていた『白薔薇』のメンバーも打ち上げに参加していたので、彼女の回復次第でミリアは帰る予定だ。


 ストップ! 飲酒運転!


「どうかした?」

「いや、なんでも」


 俺はカナを誤魔化してミリアに水を持っていく。


「こんな姿のミリアを見たのは20年ぶりかのぉ」


 流石エルフ。桁が違う。


「さて、ワシはそろそろ帰らせてもらうか」


 メイド服からワンピース姿に着替えたティアが帰ると言い出した。


「送っていくよ」

「お、嬉しいこというのぅ……それじゃあ、お言葉に甘えて」

「カナ、ノア、エレそっちは頼む」

「ん」

「はい」

「了解です」


 俺はティアを連れて家を出る。


「ふふふ……」

「ご機嫌だな」


 上機嫌に笑うティアを見て、俺は尋ねる。


「それはそうじゃ。なんせバンとこうやってでーとしとるからの」

「デートじゃなくて送迎な」

「全く、お主はガードが固いのぉ」


 ティアは口を尖らせておれにくっ付く。


「なあ、いまのワシ等、どう見られておるかの?」

「……友達だろ?」


 同じ男だし。


「つれないのぅ……そこは嘘でも恋人と言うもんじゃ」

「て、言われてもなぁ」


 まぁ外見は美少女だからな。誰も疑わないだろう。


「精々兄弟だろ?」

「人とエルフが兄妹な訳あるかい」

「そうだな……」


 ティアに正論を言われ、俺は反論出来なかった。


「ほれ」


 ティアが俺の腕に抱きついてくる。


 男なのに、胸板の柔らかさが腕に伝わる。


「お、おい!?」

「核石をサービスしとるんじゃ、この位良いじゃろ?」


 それを言われると、弱い。


 何より、嫌悪感が全然ないのが困った。


「そうじゃ、帰りに屑核石を持っていけ」

「お、それは助かる」


 ま、核石も貰えるなら黙ってティアの行動を受け入れるか。


 こうして、俺達は腕を絡ませながら大通りを歩いた。


「またの〜」

「ああ」


 ティアを送迎して家に帰る途中、意外な人物に出会った。


「フォルン?」

「お、バンじゃねーか!」


 アレト街で鍛治師をしているフォルンが歩いていた。


「どうして『フォルト』に?」

 

 普段、アレト街の鍛冶場から出る印象が無いが。


「ウルバン領主に呼ばれた帰りだ」


 ……また。あのクソジジイか。


「何の用事だったんだ?」

「リボルバーとライフルの製造法を教えるように偉そうに言われた」


 あの領主、まだ諦めて無かったのか。


 しかも、俺の行動を調べてフォルンに接触してやがる。


「勿論断ったがな!」

「それは大丈夫なのか?」


 俺達は協会の保護があるから公に事を構えられないだろうが、フォルンはそうはいかないだろ。


「バンとの約束があったからな」

「それは……ありがと」

「まあ、領主から嫌がらせに最悪、工房の地上げを仄めかしてきやがったよ」


 思ったより、最悪だ。


「ま、丁度良かったかも」

「何が?」

「親父の店を畳もうとも考えてな」

「な!?」


 予想外の言葉に、俺は言葉を失う。


「いいのか?」

「ああ。親父が死んでから客も来ないし、工房も貸していただけだしな」


 幸いギフトもあるし、と、なんか悲しそうに話す。


「と、言う訳で、新たな就職先を探さないとな」


 どうやら、決心は固いらしい。


「……なら、冒険者は?」


 フォルンがその気なら、ギルドに入れようと思った。


 俺にも責任の一端があるし。


「アタイには無理だな」

「そうか」


 と、なるとワーカーの仕事か、鍛冶場の仕事か。


「なら、一つ当てがあるぞ」




「……と、言うわけで.フォルンを雇ってくれないか?」


 俺が尋ねたのは、以前ロゼと行ったガンツさんの工房だった。


「事情は分かったが……いいのか?」

「何か問題でも?」


 フォルンは腕もいいし、ギフトもある。丁度いいと思うんだが。


「問題は儂の方だ。フォルンは鍛冶屋界隈では有名で、儂より腕がいいはずだ」


 ああ、格上を雇うのに抵抗があると。


「アタイは構わないぜ!」


 フォルンは堂々と胸を張って言い放った。


「そっちが良ければいいんだが……」

「それじゃあ親方、宜しくな!」


 こうして、フォルンは暫くの間、ガンツの工房に雇われることになった。


「じゃあ早速」


 俺はライフルをフォルンに渡し、メンテナンスを頼んだ。


「こりゃあ、随分使ったな」

「まあ、ここの所忙しかったし」


 『大増殖』とか色々。


「定期的に掃除はしていたんだが」

「銃身が少し傷んでるな。ちょっと待ってろ」


 フォルンはガンツから黒鋼を貰うと、『操錬』であっという間に直す。


「ほら、これでいいだろ」

「助かる」

「これがフォルンのギフトか。儂には真似出来んな」


 ガンツはフォルトのギフトを見て感心していた。


「何、槌を振って武器を作っている親方の方が偉いよ」


 フォルンは真面目な顔をしてガンツに言う。


「アタイは鍛治の才能は無かったが、ギフトがあった。ただズルしているだけだ」


 フォルンは、鍛治に関してコンプレックスを抱いているみたいだ。


「……儂は槌を振るおうが、ギフトを使おうが、そこに職人の魂が入っているなら文句は言わん」

「親方……」

「お前さんはどうだ?」

「アタイは、たとえギフトで作った武器でも心を込めて作っているつもりだよ」

「なら、それで良い。胸を張れ! お前は立派な鍛治師だ」

「お、親方ー!」


 フォルンは泣き出して親方に抱きつく。


 なんか邪魔するのもアレだし、俺はメンテナンスの代金だけカウンターに置いて工房を出た。


 ◇


「遅かったね」


 家に帰ってきて、カナの出迎えの第一声がそれだった。


 声にそこ知れぬ怖さを感じる。


「あ、ああ……知り合いに会って」

「ふーん?」


 まるっきり信じてない様子のカナに、俺は弁明する。


「ほら、アレト街出会った鍛治師のフォルンがこの街に来てて、話してたんだよ」

「……嘘は言ってないね」


 カナ、こんな事でギフトを使うのをやめて。


「それより、他の面子は?」

「ミリアお姉ちゃんならさっき帰った」


 どうやら、二日酔いは収まった様だな。


「他のお姉ちゃん等はまだ自分の部屋で寝ている」

「そうか」


 これは今日は動くのは無理だな。


 俺は談話室に行くと、丁度ノアとエレが話していた。


「バンさん、お帰りなさいませ」

「ああ、ただいま……みんなの様子は?」

「皆様各自部屋で休まれておられます」

「あれは今日は動くのは無理ですね」


 そりゃあ朝まで飲んでたらな。


「2人共、休んだら?」


 昨日の夜から働き詰めだし。


「では、お言葉に甘えて」

「……エレ?」


 早速休もうと談話室を出るエレを、ノアが引き止める。


「ギルマスの許可を貰ったからいいじゃないですか! もうクタクタですよ!」

「……はあ、しょうがないですね」


 ノアは溜め息をついてエレを解放した。


「ノアも遠慮せずに」

「……分かりました。では、失礼して」


 こうしてノアとエレが部屋から出て、俺とカナだけになった。


「……折角だし、グレイの散歩もかねてさ何処か遊びに行こうか」

「わーい!」


 俺とカナは家を出て、ついでにグレイの散歩も兼ねて街を見て回った。

次回「5層①」

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