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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
6章 領主と陰謀
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3話 ディアス・ウルバン

 ディアス・ウルバンの話はありきたりで、あんまり印象に残らなかった。


 そして、話が終わると照明が点いて、ウルバン領主は退出した。


 ただ、「パーティを開いたから楽しめ」とだけ思ったのは俺だけだろうか?


「ふむ、つまらん男じゃの」

「……同意」


 俺に抱きつく2人のエルフの評価は辛辣だった。


「なんで?」


 一応聞いてみる。


「あの男は参加者の顔なんぞ見とらん。アレは利益になるか値踏みする眼じゃ」

「領主は人間に興味が無い」


 なるほど。長命種が見た反応だから確かなのだろう。


「さて、私達はパーティを楽しみましょう」

「そうじゃ。今夜のワシはお主専属メイドじゃ」


 2人が色々料理を持ってきて、俺に渡す。


「ありがとう」


 2人の思惑は兎も角、料理は素直に頂こう。


「うまっ」


 やはりパーティの料理。とても美味い。


「バンこっちも美味しい」

「ほれ、食べさせてやろう」


 ティアとミリアが料理をフォークに刺して食べさせようとする。


「いっぺんに無理だから!」


 2人のアーンをのらりくらりかわしながら食事をしていると、


「失礼ですが、バン様ですね?」


 給仕の男性に呼ばれた。


「そうですが……なにか?」

「少々時間を宜しいでしょうか?」

「いいですけど……どういった用件で?」

「ディアス・ウルバン様が呼ばれてます」


 ウルバン領主が俺を?




「……なんで付いて来るの?」

「いいでしょ」

「ワシも気になるしの」


 ウルバン領主に呼ばれたのは俺だけなのに、ティアとミリアも付いて来た。


 案内人が何も言わないから大丈夫だと思うけど。


「こちらです」


 そうして案内された一室。

 

 コンコン


「ディアス様、連れてきました」

「入れ」


 案内人が扉を開けて、俺達に入るように促す。


 部屋は応接室らしく、高そうな装飾品が上品に飾られている。


 部屋の中央のソファにウルバン領主が座っていた。


「初めまして。バンと申します。こちらは同盟を組んでいる『白薔薇』のギルドマスターのミリアと、私の友人のロガーティアです」

「初めまして。ミリアです」

「ロガーティアです」


 2人は優雅に挨拶した。


「本日はパーティにお招きいただき、ありがとうございます」

「……世辞はもういい。座りたまえ」


 領主は無愛想に話を遮り、俺に対面のソファに座れと言う。


 俺はイラっとしたが、おくびに出さずソファに座り、両隣にティアとミリアが座る。


 領主は2人を見ようとせず、俺だけを見ていた。


「貴様を呼んだのは他でもない」

「なんでしょう?」


 巨獣討伐の件か? それとも『大増殖』の礼か?


 領主の内容は、俺が予想していたのとは違っていた。


「貴様が持つ武器、リボルバーとライフルと言ったか。それを渡せ」

「……はあ?」

「聞こえなかったのか? 貴様の武器を渡せと言っている」


 何言ってんだ? このジジイ。


「勿論言い値で買おう。だから、渡せ」

「お断りします」


 俺はきっぱりと言った。


「……ほう? 断るのかね? 私の言葉を」

「ええ。断ります」

「なぜだ? 一生安泰で暮らせる金額を約束すると言ってるではないか」

「私が欲しいのはお金じゃないので」


 記憶を戻す。これだけは譲れない。


「貴様が持つ武器の価値を知っているのか?」

「価値は知りませんが、危険性は知ってます」

「……」


 領主は押し黙る。


 その反応を見て、俺は確信した。


「それは欲しいでしょうね。誰でも簡単に使える、大量殺戮武器は」

「「バン!?」」


 ティアとミリアが驚くが、銃の本質はこれだ。


 このジジイはそれに気付いて、それでもなお欲しいと言っている。


 利益の為ならなんでもする。確かにこの領主の本質はクズだ。


「なので、何があっても渡しません」


 俺は真っ直ぐ領主の眼を見て言う。


「……分かった。もういい」


 領主は立ち上がると、俺達に背中を向けて窓を見る。


「話は終わりだ。出て行け」

「……それだけですか?」

「なにが言いたい?」

「……いえ、失礼します」


 俺達は立ち上がり、部屋を出て、会場に戻る。


「ミリア。俺はもう帰る」

「……私も」

「ワシもばっくれるか」


 俺はマリナとレアに挨拶をして屋敷を出る。


 ミリアに車を回してもらって、乗り込み車を出してもらうように運転手に言う。


「……なんだあの領主!? 人としてどうかと思うぞ!?」

「クズだと思っていけど……」

「あそこまでとはのぅ」


 車の中で愚痴る俺達の、領主の印象は最悪だった。


「巨獣の件も、『大増殖』の謝礼もなし! おまけに武器を渡せと来た」


 俺はあの時、怒りが爆発しそうになった。


「もう少しで殴りそうになったぜ」

「……よく我慢できたね」

「ほんとにのう」


 俺自身、よく我慢できたと思ったよ。


「しかしあの領主、あきらめるかのぅ」

「諦めない」

「だろうな」


 流石に盗む事はしないだろうけど、真似はしそうだ。


「しかしバンが言ってたあの言葉……」

「……大量殺戮武器か?」

「……」


 ミリアが訪ねていいか悩んでいる。


「ミリアの想像通りだよ。銃は元々、生き物を殺す為の武器だ。ただ、他と違うのは誰でも使えるという点だ」


 それこそ子供から老人までな。


「……そう」

「悪かったな。ミリアが欲しがってた武器がこんなので」

「……武器は悪くない」

「そうじゃ、用は使う者次第じゃ……バンは正しい事に使っておる。間違ってない」

「……ありがとう」


 そう言ってくれるだけでも嬉しい。


「最悪のパーティだったから、どっかで飲みなおそう」

「お、いいねえ。どっかで飲み物でも買うか」

「なら、バンの家に行きたいのぅ」

「それならノアとエレに何か作ってもらうか」

「それがいい。メイドが3人いるし」

「それ、ワシ入ってる?」


 そうしてティアとミリアを家に招き、『魂の解放者』でパーティをやり直した。


 ◇


「ごめん急に」

「いえ、ノアは大丈夫です」

「私もです」

「なあ、ワシ、メイドじゃないんじゃが……」


 俺は料理を作るノアとエレに謝る。


 後、メイド服を着ていたティアはノアにメイドと間違われ、こき使われている。


「メイド服を着てればメイドです」


 ノアのメイド感は一体どうなってるんだ?


 俺も配膳を手伝って食堂に行くと、場が既に出来上がっていた。


「一気! 一気! 一気! 一気!」

「ゴクゴクゴクゴク――プハー!」


 レンが音頭を取り、ミリアが一気飲みして場は大盛り上がりだ。


 ミリア、他のギルドなのに馴染み過ぎだろ。


「バン、パーティどうだった?」


 ジュースを飲んでいたカナが俺に聞いてくる。


「パーティよりも、ここでこうやっている方が楽しいよ」

「……そっか!」


 カナも楽しそうに打ち上げを見ている。


 こうして最悪のパーティから、最高の打ち上げは夜が明けるまで盛り上がった。

 


 

次回「フォルン」

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