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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
5章 『魂の解放者』と『大増殖』
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15話 ギフト教

 あれから。 


 『大増殖』は4層までだったらしく、5層からは確認できなかったと『飛脚』の調査で分かった。


 あのスライムは特殊モンスターに分類され、核石は研究機関に持っていかれるそうだ。


 勿論あの大きさの核石だ。報酬も莫大で、今回迎撃戦に参加した者達に平等に振るわれた。


 予想外の報酬に、俺に核石をくれた冒険者達は大いに喜んだらしい。


 冒険者といえば『明けの明星』。


 ギルドマスターのレオンの使っていた大斧と会員証が1層の奥で見つかり、死亡が確認された。


 このまま『明けの明星』は解散するかと思ったが、サブリーダーのガイは生きており、彼がギルドマスターになって今後引き継ぐそうだ。


 まあ。あのインテリヤクザならどうにかするだろう。


 そして、今回の功労者だった俺は……。


「バン? 聞いてる?」

「……はい」


 カナに正座をさせられ、説教を受けていた。


「不倫、したよね」

「いえ、アレはなんと言いますか……」


 俺はしどろもどろになって言い訳をするが、


「でも、他の人とキスしたんでしょ?」

「それは俺の意思ではなくてですね……」


 そんな俺達の会話を遠めで見ている人達。


「あらら……」

「はあ……」

「あわわ……」


 レン、ロゼはそれぞれ呆れた表情で、アウルムはおろおろしながら、


「ギルマスも大変だね」

「……ドンマイ」

「僕も彼氏欲しいな」

「これから面白くなりそう!」


 これからの展開を楽しんでいる4つ子に、


「メイド長、いつもああなんですか」

「ノアが知る限り、女性関係になるとこうです」

「そうですか……ギルマス、ファイトっす」

「……エレ?」

「すみません! 気をつけます!」


 メイド2人、


「クワーン」


 そして、欠伸をして眠たそうにしている1匹だった。 


 


 こっちは『白薔薇』の拠点。


「ギルマス! おめでとうございまーす!」

「……は?」


 何故か、ミリアが食堂で祝賀会を受けていた。


「何? 『大増殖』の祝勝パーティ?」

「何いってるんですか!? ギルマスの恋の記念ですよ!」

「恋!?」


 思わぬ言葉に、ミリアは動揺した。


「いやー、あんなギルマス初めて見ました!」

「青春ですね!」

「もう何処までいったんですか?」

「まさか同盟もそこまで考えて!?」


 好き勝手言うギルドメンバーに、ミリアはプルプルと拳を振るわせる。


「貴女達! いい加減にしなさーい!!」

「「「「キャー!!」」」」


 怒鳴りながら追いかけてくるギルドマスターを尻目に、追われている方はなんだか楽しそうだ。


「やれやれ」


 ベアトリクスは呆れながら祝賀会用の上質な酒を飲み始め、


「全く……ほら、騒がないの!」


 メルナは騒ぐギルドメンバーに注意をした。


 追っているミリアもなんだかんだで楽しそうだった。




「最近、こんなのばっかり……」


 協会長室の執務室でマリナは1人愚痴る。


 巨獣襲来に『大増殖』。冒険者の数は減って依頼を回すのに一苦労。


「……おまけに」


 ギフト教の事もある。


 今回は戦力の貸し出しはタイミングが良すぎる。冒険者の中に内通者がいるのは明らかだ。


 流石に『大増殖』は関係ないだろうが、巨獣の件はギフト教が絡んでいると思っている。


 でなければ、巨獣は常時眠ったままで、よっぽどの事が無い限り目を覚まさないからだ。


 実際に、巨獣が眠っていたであろう場所に、血痕が見つかっている。


「だけど証拠が無い」


 ギフト教の目的はダンジョンの独占だ。


 天使になる試練場と言っているが、マリナはそんなの信じちゃいない。


 ギフト教の本当の目的は何なのか。探りを入れてはいるが、情報が全く入ってこない。


「……もしかして、ダンジョン攻略による言い伝え?」


 ダンジョンを攻略した者は願いが叶うという言い伝え。


 眉唾物だと思っていたが、もし本当なら……。


「そんなわけ無いか……疲れているわね」


 今日はもう休みましょ。


 そう思い席を立ち上がった時、


 コンコン


 扉がノックされた。


 ……嫌な予感がする。


「どうぞ」

「失礼します」


 椅子に座りなおして、入室を許可して入ってきのは、秘書のマリィだった。


「どうしたの? 今日はもう休みたいのだけど」

「こちらを」


 マリィが持っている盆には1通の手紙。


 封されている蝋にはウルバン領主の判が押されていた。


「……もういや」


 マリナはこれから来るであろう厄介事に胃を痛めた。


 ◇


「ご苦労だったな」

「いいえ」


 薄暗い部屋で豪華な椅子に、僧侶の服を着ている女性に跪く男性。


 『明けの明星』のギルドマスター、ガイだ。


「その姿も疲れるだろう……元の姿に戻ってよいぞ」

「はっ」


 そう言われ、ガイの姿が変わり、妙齢の女性になった。


「相変わらず見事な『変身』のギフトだ」

「ありがとうございます」

「これで、3大ギルドの一角の立場と権力を得た」

「はい。ここから徐々に信者をギルドに加入させる予定です」

「うむ」

「しかし、気になる者が……」

「……ギフトを持つ少年か」


 椅子に座る女性は考え込む。


「暫く様子を見よう」

「宜しいのですか?」

「ああ。『聖人』なら、我々の理が分かるはずだ……今は試練場に集中しよう」

「……はっ」


 跪いていた女性は立ち上がると、ガイの姿に変わる。


「それでは教皇様……私はこれで」

「うむ」


 ガイの姿をした女性は一礼してその場を退出する。


「さて……これからだ」


 我々ギフト教が、試練場を突破し、天使になる為には。

5章 完

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