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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
5章 『魂の解放者』と『大増殖』
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14話 迎撃戦②

「畜生がぁ!!」


 レオンは恐怖した。


「レオンさん! もう駄目です! 引きましょう!」

「何処に引くんだよ!?」


 部下の嘆きをレオンも言いたい位だった。


(逃げれるなら俺だってそうしている!)


 しかしモンスターに囲まれ、前方には()()がいる。


 どうあがいてもアレからは逃げられない。


「――ガイ!? ガイは何処に行った!?」


 気付けば、ガイが姿を消していた。


 元々はあいつの所為だ。


 2層と3層のモンスターしか来ないから、1層の奥で待ち構えて手柄を独占しようなんか提案して!


「こんな話、聞いてねえぞ!?」

「た、助け…ぎゃああああ!!」


 やがて部下も全滅し、レオン1人が残された。


「ああ……くそくそくそくそおおおおお!!」


 レオンは自棄になって斧を振り回しモンスターを倒すが、一向に減らない。


「ぎゃあああああ!!」


 やがて、モンスターがレオンに襲い掛かり、後には悲鳴だけが残された。


 ◇


「……来た」


 4層のモンスターが向かってくる。


 獣の様なモンスター、空を飛ぶモンスター、鎧のモンスター。


 4層のモンスターは様々だ。


 バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!


 俺はライフルで撃ち応戦する。


「空はまかせるっす!」

「マイ!」

「うん!」


 エレが『浮遊』で宙に浮かびながらハルバートを振るい、アイ、マイがギフトで援護する。


「私だって!」


 メルナも宙を蹴り、すさまじいスピードで飛行するモンスターを斬り落とす。


 上空は任せて大丈夫だな。


「オラオラ!!」


 ベアトリクスの一閃が複数のモンスターを斬り、剣圧で後方のモンスターを切り刻む。


「はあ!」

「やあ!」


 ロゼとアウルムも負けじとギフトを上手く使いながらモンスターを倒していく。


「ふっ」


 ミリアが細剣を地面に刺し、地面から氷柱が出て周囲にいたモンスターを突き刺す。


『明けの明星』と『白薔薇』の他のメンバーも善戦している。


 今のところ、4層のモンスターの迎撃は順調だ。


 だけど、


「何か変」

「やっぱりか」


 4層のモンスターは確かに多いが、2層と3層のモンスターに比べたら少なすぎる。


 バンッ!


 やがて、最後の1体をライフルで撃ち倒し、モンスターが現れなくなった。


「……終わったのか?」


 あまりのあっけなさに、誰かが呟いた。


「……終わったんだ!」

「やった! 生き残ったぞ!」


 冒険者達が歓喜の声を上げる中、俺とミリアは難しい顔をする。


「……どう思う?」


 俺はライフルのリロードを行いながらミリアに聞く。


「まだ終わってない」


 だよなぁ。


 4層で見た、月が割れて黒い水が出た時、俺は()()()()()()()()()()()()印象を受けた。


 もしもアレが地上に上がってくるなら……。


 ――


「……待って」


 ――ン


「おい……何か聞こえねえか?」


 歓喜に満ちていた冒険者達の声がピタリと止む。


 ――ドン


「――全員! 戦闘態勢!」


 ミリアの声と共に、全員が武器を構える。


 ――ドン!


 そして、()()は現れた。


 狭い洞窟を押し広げるように壁や天井を削り、蠢くナニカ。


 ソレは形が定まっておらず、不定形に形を変える。


 俺の第一印象はスライムだ。


 そのスライムが触手を伸ばしながら俺達に襲い掛かった。


「た、助けて!」


 触手に掴まった冒険者がスライムの体内に取り込まれ、姿を消した。


「アレが原因か!?」


 モンスターが少なかったのは、こいつが食ったからだ!


「とにかく近づくな! 遠距離で対応しろ!」


 ミリアの言葉に従い、遠距離攻撃を得意とする者達を中心に攻撃する。


 アイとマイもギフトで攻撃し、ロゼは『石壁』で進行を防ごうとする。


 俺もライフルで応戦するが……。


「ちっ、効果なしか」


 スライムにはまったく効いてなかった。


 それどころかスライムは触手の一部を切り離し、地面に落とす。


「なにを?」


 地面に落ちた触手は形を変え、人型になっていく。


「あ、ああ……」


 ソレを見た男性冒険者が目を見開き驚く。


「どうした!?」

「あの顔……うちのメンバーだ!」

「何?」


 と言う事は、奥にいた『明けの明星』のメンバーを食って模倣しやがった!


 どんどん人型に変わる切り離された触手。


 その中には……。


「……レオン」


 『明けの明星』のギルドマスターもいた。


「ギルマス……」

「そんな……もう、おしまいだ」


 悲嘆にくれる『明けの明星』のメンバー達。


 バンッ!


 俺は、()()()()()()()の眉間を撃ち抜き、ソレは黒い水になって地面に溶け込んだ。


「何しやがる!?」

「気持ちは分かるが、アレはもう人間じゃない!」


 激昂して胸倉を掴む冒険者に、俺は怒鳴り返す。


「だからって……」

「戦え! それがあいつらの解放になる!」


 俺に言えるのはそれだけだ。


 俺は胸倉を掴まれた手を払いのけ、ライフルを連射して人型を倒していく。


「……行くぞ!!」

「「「「おおおお!!」」」」


 冒険者達も覚悟を決めたのか、武器を持って人型と戦う。


 士気はこれで戻ったが、問題は本体だ。


 とりあえず、最大火力をぶち込む。


 俺はライフルを納めてリボルバーを抜き、篭手から粒子を出して長大な砲を作る。


「全員!! 撃つぞ!!」


 爆音の対処が出来ない冒険者もいるだろうがしょうがない。


 俺は『貫通』も使い、引き金を引く。


 ドオオオオオンッ!!


 弾丸はスライムに直撃して爆発……スライムの体の半分を削った。


 だが……。


 スライムは残った体で触手を伸ばして、人型を捕まえて体内に取り込む。


「……再生している」


 そして、スライムは再生して、再び元の形に戻ろうとしていた。


「はあっ!」


 その隙に、ミリアは細剣をスライムに刺して凍りつかせる。


「やったか!?」

「無理! 時間稼ぎしかならない」


 やっぱり駄目か。


「バン! アレもう一回出来る?」

「核石がないと無理だ!」

「そんな……」


 ミリアの質問に俺は正直に答えると、彼女は絶望の表情を浮かべた。


「……撤退しよう」


 俺はミリアに提案する。


「核石さえあれば俺が持つ限り何度でも出来る。ここは撤退するべきだ」

「駄目」


 俺の提案にミリアは反対する。


「アレがダンジョンから出たら、もうお終い。際限なく喰らい、大きくなる。そうなるともう手が付けられない」

「じゃあ、どうする?」

「……核石があればいいんでしょ?」

「ああ」

「全員! 今回の討伐で拾った核石を全部出しなさい!」


 はい?


「モンスター討伐の報酬が無くなるのは分かるけど、死ぬよりマシでしょ!?」

「ほら」


 ミリアの言葉に、ベアトリクスが核石を俺に渡す。


「ギルマスの命令だしね」


 メルナも、核石を渡す。


 そうやって次々と『白薔薇』のメンバーは俺に核石を渡した。


「バン」

「ほら」

「どうぞ」

「受け取るっす」

「「「がんばって」」」

「みんな……」


 俺の仲間も核石を渡す。


「あーあ、今回の探索は大赤字だ」

「ギルマスの仇、取ってくださいっ!」


 『明けの明星』のメンバーと参加していた冒険者達も全員核石を俺に渡してくれた。


「……ありがとう」

「礼ならアイツをやっつけて」

「ああ!」


 皆の気持ちは受け取った!


 俺は核石をすべて篭手に吸収して、長大な砲を作る。


「全員! 耳塞いで口開けろ!」


 全員が俺の言った事をやったのを見て『貫通』を込めて引き金を引く。


 ドオオオオオンッ!!


 凍り漬けのスライムの体を削り取るが、氷を砕き再生しようとしている。


「まだまだ!」


 ドオオオオオンッ!!


 2発目でスライムの体が少し残り、それでも再生しようと蠢いている。


「これでラスト!」


 ドオオオオオンッ!!


 最後の1発でスライムの体は完全に消滅し、人間大の大きな黒い核石が残った。


「……終わったー」


 篭手も俺もエネルギー切れで粒子が消えて、俺はその場に倒れこむ。


「……お疲れ様」


 ミリアが近づき、俺に労いの言葉を掛けた。


「回復薬持ってない? ……もう動けない」


 篭手とギフトの連発使用で、疲労困憊でもう動きたくない。


「ええ、持ってるわ」

「頂戴」


 ミリアは回復薬を取り出すと、自分の口に含み、


「んん!?」

「「「ああー!!?」」」


 口移しで俺に飲ませ、レン、ロゼ、アウルムを驚かせた。


「これは私からのお礼」


 ミリアは真っ白な頬を赤らめてはにかんだ。


 その笑顔はまさに『白薔薇』の2つ名に相応しかった。

次回「ギフト教」

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