11話 白薔薇
『白薔薇』と合同探索する日。
俺達は4層行きの転移陣がある関所に来ていた。
「おまたせ」
『白薔薇』の人数は6人。
ギルドマスターのミリアとベアトリクス、メルナに、以前協会でカナにご馳走していた、大盾持ちのマヤ、弓を使うエルフのアンリ、犬耳の獣人で斥候のミアの6人だ。
「見知った相手のほうが良いでしょ」
「ああ。助かる」
どうやら、有難い事にこっちに配慮した編成らしい。
「こっちの5人とは初対面だよな?」
俺は4つ子を前に出す。
「ア、アイです」
「……マイ、です」
「僕はミイです」
「メイです」
4つ子はガチガチに緊張して挨拶する。
「エレっす」
エレはマイペースに挨拶してた。
「ミリアよ……よろしく」
「「「「は、はい!」」」」
「よろしくっす!」
4つ子とエレは揃って一礼した。
「おー、お前ら元気にしていたか?」
ベアトリクスは4つ子に手を振りながら近づく。
「はい、元気でやってます」
「……でも、あまり役立ってない」
「僕の出番……あんまりなくて」
アイとマイ、ミイは、落ち込み気味で言い、
「頑張ってバフ掛けてます!」
メイは張り切って報告していた。
「そうか。まあ、命あっての物種だ! 無茶すんなよ」
「「「「はい!」」」」
ベアトリクスに鍛えられてたからな。4つ子は懐いている。
「ワン!」
「グレイ! よろしくな!」
グレイもベアトリクスと定期的に戦ってる仲だからな。尻尾を振って歓迎している。
「挨拶もその辺で……行きましょう」
「そうだな」
俺達は関所の門番に許可証を見せて、砦に入る。
「これが転移陣……」
ミリアは円状に並べられた石を興味深そうに見る。
「ギフトの能力みたい……誰も真似できないか」
「転移なんて簡単にできるわけないでしょ」
「だが、しかしずいぶん古いな。今でも残っているのが奇跡だ」
『白薔薇』のメンバーは各々転移陣を観察している。
「そろそろ行くぞー」
「分かった」
俺達は転移陣の中央に立ち、石が光ると気付けば廃城の地下室にいた。
「本当に移動した……」
「すげーな!」
「これを早く知っていればもっと早く攻略できたのに……」
ミリア達は転移陣の感想をそれぞれ言う。
「行こうぜ……グレイ、エレ、頼む」
「ワン!」
「まかせるっす!」
俺はグレイとエレに先行してもらうように頼むが、
「待って」
ミアが待ったを掛ける。
「斥候は私の仕事」
ミアは犬耳をピコピコ動かしながら平らな胸を張って言った。
「ワン!」
「そう……なら一緒にやろう」
「ワン!」
「私もよろしく」
どうやら、話が済んだらしい。……というか、ミアはグレイの言葉が分かるのか。
こうしてミアとグレイを先頭に、俺達は地下室を出た。
バンッ!
「何で廃城にモンスターがいるんだよ!?」
俺はライフルのレバーを操作しながら言った。
今まで廃城にモンスターはいなかったし、いないって聞いていたのに。今は鎧の格好をしたモンスターがあちこち居る。
そして今、モンスターの大群に襲われていた。
「知らない!」
ミリアも細剣で攻撃して、氷の花を咲かせる。
「それよりもその武器は何?」
「言ってる場合か!?」
ミリアの趣味が俺のライフルに突き刺さったらしい。モンスターの大群に襲われているのに、俺に聞いて来る。
他のメンバーを見ると、グレイ、ロゼ、アウルム、エレはレンと4つ子を守るように迎撃している。アイとマイがギフトで攻撃し、メイは『鼓舞』で俺達にバフを掛けている。
俺達のメンバーは大丈夫そうだな。
『白薔薇』の方はミリアとベアトリクス、メルナが前に出て交戦し、マヤはその大盾でモンスターを突き飛ばして、アンリとミアがそこに攻撃して倒す。
流石、戦い慣れている。無駄がない。
鎧のモンスターもそれなりに強いが、今は割りと楽に倒せている。
『白薔薇』の実力の一端が知れたな。
「終わった?」
「みたいだな」
そうして、モンスターを殲滅して核石を回収して、レンの『収納』に入れていく。
「しかし、これは異常事態だぜ? 廃城にこんなモンスターが出るなんて聞いた事無いぞ?」
ベアトリクスがミリアに近づきながら聞いて来る。
「このまま5層に行くのは危険じゃね?」
「そうね……どうする?」
ミリアは俺に聞いてくる。
「……実は他には言わないで欲しいんだが」
俺は、先日マリナに聞いた『大増殖』の件をミリアに伝えた。
「……マジ?」
「マジ」
「それなら、地上に戻って協会に報告し――」
――パリンッ!!
ミリアが話し終わる前に、何かが割れる、すさまじい音が城内に響き渡った。
「なんだ!?」
「――外を見て!」
レンの言うとおり、窓から外を見る。
「……月が」
何時もは満天の星空と月が浮かぶ夜空が、今は月が割れて、黒い水が大量に溢れ出し、地面に落ちる。
「――まずい! 皆転移陣に!」
明らかな異常事態に、ミリアは転移陣に急ぐように言う。
「あれを知っているのか!?」
「あの黒いの、全部モンスター!」
「なんだって!?」
ということは!?
「『大増殖』が始まったのか!?」
次回「大増殖」




