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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
5章 『魂の解放者』と『大増殖』
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8話 転移陣

 俺達は地上に出て、協会に向かった。


 受付のカルラに転移陣の報告をしたら協会長のマリナに呼ばれ、俺達は応接室に通された。


「待たせたな」

「いいえ」


 暫くして、マリナと秘書だろうか、緑色のスーツ姿のエルフの女性が来て挨拶を交わす。


「早速だが、本題に入ろう」


 俺は4層の廃城の地下室にあった転移陣の説明を一通りした。


 襲撃者の件も伝えたが、転移陣絡みの案件は憶測なので、大まかにしか伝えてない。


「なるほど。話は分かった。だが、襲撃者の証拠は?」

「ここに」


 俺は襲撃者の死体から取ったドッグタグ――会員証をマリナに渡す。


「確認しよう。マリィ」

「はい」


 秘書――マリィがドッグタグを手に取り、応接室から出る。


「それで、これからどうするんです?」

「4層の転移陣に関所を作る」


 関所……ダンジョン出入り口の砦か。


「4層の廃城にモンスターはいないが、万が一があるからな」

「モンスターがいない?」

「ああ、有名な話だ」


 だとしたら、あの人型モンスターはなんだったんだ?


「協会長……少し話があるんですが」

「なんだ?」


 俺は以前4層で会ったモンスターについて話した。


「意思があり、敵意も無く俺達に指輪を取ってもらったら消えた……か」

「はい。それでモンスターはダンジョンに取り込まれた元生物じゃないかと思っているんですが」

「なるほど……知ってしまったか」


 マリナが肯定したって事は、事実なのだろう。


「では本当の事で?」

「私達も仮説だがな、真実に近いと思っている」


 やはり上層部は知っていたか。


「この事は他言無用で頼む。混乱させたくないからな」

「はい」

「……それで、『魂の解放者』か」

「ええ。核石と、ダンジョンに囚われた人達の解放も目的にしました」


 あと、ダンジョン攻略の願いを叶えて記憶を戻す為にもだ。


「高尚なことだ。君を尊敬するよ」

「大層なもんじゃないですよ」


 コンコン


 俺とマリナが話していると、扉がノックされた。


「入れ」

「失礼します」


 入ってきたのは秘書のマリィだった。


「確認が取れました。全員1層を中心に活動していた冒険者です。誰も4層まで行く実力はありません」

「そうか……となると、やはり転移陣の情報は誰かに規制されていたな」


 マリナは冷静に分析していたが、目には怒りが込められていた。


「ふざけたことを! モンスターが都市を滅ぼす可能性もあるというのに!」

「え?」


 なにそれ?


「君には伝えておこう……近々『大増殖』が起こる可能性がある」

「『大増殖』?」

「君が度々出会う特殊モンスターは滅多に出ない。それなのに出現頻度が多いのは『大増殖』の兆しだ」

「具体的には何が起きるんです?」


 マリナの反応から察するに、碌な事じゃないのは確かだ。


「大量のモンスターが溢れ出し、最悪ダンジョンから出て来る」

「そんな!?」


 あんなモンスターが大量発生したら大事だ。


「だからダンジョンに対する報告は義務付けられている……だというのにだ!」


 ダンッ!


 マリナは怒りが収まらず、机を叩く。


「……すまない。取り乱した」

「いえ……でも、良かったんですか? 俺に話して」


 『大増殖』なんて、事実確認が取れるまで極秘関連だろ?


「構わん。君は世間じゃ名が売れているし、転移陣も報告してくれた」


 ああ、俺のネームバリューじゃ下手に出来ないってことね。転移陣は自己保身だけど。


「では、話はこれで?」

「ああ。報酬も用意した。受付で受け取ってくれ」

「ありがとうございます」

「礼を言うのはこっちだ……あと、ギルド結成おめでとう。期待している」

「……期待に添えるように頑張ります」


 俺はマリナ達に一礼して応接室を出て、受付で報酬を貰い家に帰宅した。


 ◇


 後日。


 4層に行く転移陣が見つかったと公表され、関所が作られた。


 ギフト持ちが総動員されて、街の外に新たな砦が建設されたらしい。


 まさに一夜城。すさまじいスピードだ。


 4層行きの転移陣が使えるのは、協会の許可証を持っている者だけに限定される。


 俺達『魂の解放者』は真っ先に貰えた。報酬の一部らしい。


 3大ギルドも許可証を申請しているが、人数が人数だ。申請に時間が掛かっているらしい。


 これはマリナが、『大増殖』の危険性と転移陣の秘匿の罰でもあると協会でちらりと聞いた。


 全ギルドの連帯責任って奴だ。


「と言う訳で……お願い」

「別に良いけど」


 俺は家の談話室でミリアにお願いされた。


 『魂の解放者』と同盟を組んでいる『白薔薇』が4層の転移陣を使う為、俺達と合同探索を持ちかけたのだ。


「ミリアは転移陣は知ってたか?」

「知らなかった。『飛脚』同じ……ただ、8層が見つかった時、『明けの明星』が異様に早く階層にいたのは違和感があった」


 やっぱり、『明けの明星』か。


「転移陣は『明けの明星』は知ってたと思っている」

「やっぱり」


 俺の言葉にミリアも納得した。


「今頃独占できなくて悔しがっている……いい気味」


 ミリアは暗い笑顔で笑っていた。


「『明けの明星』の件は良いとして、編成と日時は?」


 襲撃を受けてからまだ数日。怪我が酷かったロゼとグレイの傷は完治しているが、まだ無理はさせたくない。


「そこは後日決める」

「何層まで?」

「貴方達に合わせて5層の攻略でいい」


 5層か……行き方分からなかったから丁度いいな。


「分かった。皆に話しとく」

「よろしく」


 俺とミリアは握手して、後日4層の転移陣の関所で合流に決まった。


 ◇


「くそが!!」

「完全に裏目に出ましたね」


 『明けの明星』の執務室では、レオンが苛立ちを隠さずに物に当たっていた。


「なんで転移陣がバレた!?」

「そこまでは……」


 内通者がいるかと疑ったが、未だに見つかっていない。


 流石のガイも、構成人数の人間把握まで確認できず、とある冒険者が恋人に漏らしたとは夢にも思っていなかった。


「やはり、抹殺は駄目でしたね」

「上手くいけばアイツも消せたのに!!」


 レオンの計画では、1層で屯っている冒険者達に4層の転移陣を知った『魂の解放者』を抹殺。ついでに襲撃者達は4層の転移陣の場所を知らせず、モンスターに襲われて死ぬのが筋書きだった。


 その為の準備もしたし、金も掛けた。


 だが、結果はこの様だ。


 『明けの明星』が報復しようにも転移陣の秘匿していた件がバレる。


 つまり、レオン達は何も出来ないのだ。


「くそくそクソクソくそがあああああ!!!」


 それで苛立って家具に八つ当たりしている。 


 元々貴族の坊ちゃんだ。癇癪を起こすと手が付けられない。


「やれやれ」


 そんなレオンの姿を、ガイは侮蔑の眼で見ていた。

次回「エレ」

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