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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
5章 『魂の解放者』と『大増殖』
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5話 同盟

 ギルド結成から数日がたった。


「どうしてこうなった!?」


 俺に新しく宛がわれた執務室には大量の書類が山のように積まれている。


 この山はギルド加入の申請書だったりギルドの合併の嘆願書。酷いものではギルドの傘下に入るように書かれた要請書だったりだ。


「それはそうでしょ」


 書類整理の手伝いをしてくれているレンがさもありえんと言う。


「貴方の名前はもう世間に知れてんのよ。誰もが取り込みたいに決まってんじゃない」

「ありがた迷惑だ」


 俺はうんざりしながら書類を見て、却下の印を押して箱に入れる。


「俺はメンバーを増やす気ないんだが……」

「私だってそうよ」


 人員の増員はギルドの拠点の増設や維持費等、費用が嵩む。


 俺は細々とやって行きたいし、何より見知らぬ冒険者をホイホイ入れたくない。


「でも律儀よね。一応目を通すんだから」

「まあ一応な」


 見込みがありそうなのは一目会いたいし、加入させなくても覚えておいて損は無い。


 コンコン


 そうやってレンと書類整理をしていると、扉がノックされた。


「どうぞ」

「失礼します」


 入ってきたのはノアで、一礼して入ってきた。


「主人って訳でもないのに、そんな律儀にしなくても」

「メイドの嗜みです」


 自称だろ。俺は認めてない。


「それで、どうしたの?」

「バンさんにお客様です」


 俺に客?


「ギルドに加入したい人達とかじゃあないよな?」


 昨日は何処から嗅ぎ付けたのか、ギルド加入に家の前に押しかけてきた大勢の冒険者達にはうんざりした。


「いえ、『白薔薇』のミリア様とベアトリクス様です」


 『白薔薇』? なんだろう?




「久しぶり」

「ええ、そうですね」


 談話室に赴いた俺とレンは、ノアが用意した紅茶を優雅に飲んでいる、全身真っ白のゴスロリエルフ、『白薔薇』のギルドマスターのミリアと対談した。


「……ベアトリクスは?」


 来ていると聞いていたが。


「ベアトリクスは御宅のワンちゃんと戦ってる」

「……またか」


 定期的に訓練場で戦っているので何時もの事だ。もう驚きはしない。


「それで、どんな用でここに?」

「まずは、ギルド結成おめでとう」

「ありがとうございます」

「それで、今回は『白薔薇』と『魂の解放者』の同盟をしたくて来た」


 同盟? ……ああ、そういえばベアトリクスが前に言ってたな。


「同盟って一体何するんです?」

「様は仲良くしましょうって事」


 曖昧すぎる。


「……具体的には?」

「戦力の貸し出しや情報の共有が主」

「……それは、俺達がいい様に使われるだけでは?」


 俺は警戒してミリアを見るが、彼女は表情一つ変えない。


「そんな事するつもりはない」

「どうですかね?」

「同盟は五分五分」

「いいんですか? 俺達のギルドは出来たばかりの弱小ギルドですよ?」


 俺は疑問を持ちながら聞く。


「構わない。貴方達にはそれだけの価値がある」

「それは大きく見られたもんです」

「それに貴方達にとっても特」


 特? なんでだ?


「『飛脚』と『明けの明星』は貴方達と同盟は組まない」

「なんでまた?」

「『飛脚』はその性質上、戦闘系のギルドと同盟はしないし、『明けの明星』はレオンがバンを嫌っているし、同盟より傘下にしたいはず」


 ああ、俺もレオンは嫌いだし、インテリヤクザのガイも何か狙ってそうだな。


「他の大手ギルドも貴方達を傘下にしようとしている」


 そういえばそんな要求書もあった。いいように使われるのは嫌だな。


「だったら、3大ギルドの『白薔薇』と組んでおいて損はない」

「つまり……俺達の後ろ盾になってくれると?」

「そう」


 ミリアの提案に考え込む。


 確かに悪くない。3大ギルドの一角とパイプも持てるし、後ろ盾になって他からちょっかいを出されることもない。


「そっちのメリットはなんです?」


 五分の同盟を持ち出したんだ。『白薔薇』にもメリットがある筈だ。


「『白薔薇』は貴方達の戦力を使えればいい。巨獣殺しの英雄」

「英雄はやめてください」


 戦力と言うが、言葉の裏で俺の名を使うと言っているな。


 俺はちらりと黙ったままのレンを見る。


 レンは俺の視線に気付いて頷いた。


 どうやら、レンは賛成らしい。


 うちの戦闘指揮官が肯定したなら。俺もいいか。


「分かりました。同盟を受けます」

「そう、なら『白薔薇』と『魂の解放者』は仲間。敬語も要らない」

「分かった。今後ともよろしく」

「こっちこそ」


 お互い椅子から立ち上がり、握手をする。


 こうして『魂の解放者』と『白薔薇』の同盟が組まれた。


「いやー! グレイはまた強くなったな!」


 快活に笑いながらベアトリクスが勢いよく入ってきた。


「それで話は?」

「ベアトリクス……正座」

「へ? なんで?」


 会談そっちのけでグレイと戦っていたベアトリクスがミリアに説教された話は割愛しよう。


 ◇


「と言う訳で、『白薔薇』と同盟を組むことになりました」


 俺は食堂で全員に同盟の件を説明した。


「おー!」


 なにも分からないカナは喝采しながら拍手をする。


 他のメンバーは固まってるが。


「とうとう『白薔薇』と同盟か」

「すごいですね……」


 ロゼとアウルムは、前にベアトリクスとの会話の内容を聞いていた為、驚きはない。


「……『白薔薇』と同盟なんて」

「……しかも五分」

「僕、どうしたら……」

「夢じゃないよね?」


 4つ子の驚き方は凄まじいな。


「今後『白薔薇』と共同戦線もありえるから、そのつもりで」


 レンの言葉に、全員気を引き締める。


 下手を打ったら『魂の解放者』の株が下がるからな。


 同盟の説明を終えて、俺達は夕食を作り食べて解散した。


 ちなみに、4つ子は家事は普通に出来るらしい。


 夕食を作るのを手伝っているのを見て、家事のできない3人が焦りを感じたのはご愛嬌。

次回「襲撃」

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