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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
5章 『魂の解放者』と『大増殖』
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3話 4層

 翌日。


 レンのマッピングで四つ子の母親の手掛かりを探しながら進み、遂に3層の終わりに着く。


「ここからどうする?」


 このまま引き返すか、4層に行くか。


「俺は行きたい」

「オレもだ」


 俺とロゼは4層行きを提案する。物資も体力も大丈夫だからな。


「わ、私は反対です。今回は連携の為に探索していた訳ですし」


 アウルムは反対か。まあ、特殊モンスターに出くわすことが多かったからな。


「ワン!」


 グレイも反対で、アウルムの横に並ぶ。


「……貴女達は?」


 レンは4つ子に聞く。


 4つ子は円陣を組んで話し合って、


「「「「儲けも出てるので、どちらでもいい」」」」


 結局こっちに判断を求めた。


「じゃあ、後はリーダーだな」


 俺はレンの眼を見て聞く。


「……そうね。行きましょう」


 レンは4層行きを決めた。


「だけど、浅い所まで。アウルムとグレイもそれでいいでしょ」

「……それなら」

「ワン」


 アウルムとグレイも不安そうにしながらも反対はしなかった。


「貴女達もそれでいい?」

「はい」


 代表してアイが頷く。


「それじゃあ、入りましょう」


 こうして俺達2パーティーは4層に続く横穴に入っていった。


 ◇


「ここが4層ですか……」


 3層の出口は崖の上に通じていた。


 崖下を見下ろすと、構造は3層と同じ森林だが、上は満天の星と月がが広がる夜空だった。


 地上と違い、月は1つだが満月で辺りを薄暗く照らしている。


「ランタン出すから待ってて」


 レンが背嚢からランタンを出し、火を点ける。


「さて……目指すならあそこだよなぁ」


 森林の奥、最奥と思われる場所には廃墟の城があるのが見える。


「……あの廃城が5層の入り口って聞いた事がある」


 どこかで聞いたのか、マイが情報を喋った。


「僕達はどうする?」

「森林まで行きましょう」


 ミイの疑問にレンが提案する。


 俺達は反対することなく、崖から斜面を下って降りる。


「ここから注意ね」


 レンの発言の通り、森林は静まり返っており、何が出るか分からない。


 俺達はグレイを先頭に森林を歩く。


「あれ?」


 すると、マッピングしていたレンが疑問をだす。


「どうした?」

「どうも……4層は1本道みたい。ここまで真っ直ぐに廃城に向かっているわ」


 レンがかいた地図を見ると、2層、3層と違い、迷路状になってなく、真っ直ぐ1本の線が描かれていた。


「……なんか気味悪いな」


 まるで、あの廃城に誘われているみたいだ。


「グルルルル!」


 すると、グレイが唸り声を上げて森林の方を見る。


「メイ、『鼓舞』を」

「はい!」


 メイが戦旗を振り、俺達の力を底上げする。


「――来たみたいだ!」


 俺はライフルを構えてグレイの目線の先に標準を合わせる。


 ――ガサッ!


 森林の茂みから出てきたのは、見た目はこれまでと同じ影法師の4足のモンスターだった。


 見た目はデカい猪に似ている。鋭い牙と突進力で俺達に襲ってきた。


 バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! 


 俺はライフルで連射するが、当っても勢いが止まらない。


「『鉄壁』!」


 アウルムが咄嗟に『鉄壁』を使い、モンスターの突進を止める。


「はあっ!」


 ロゼが槍をモンスターの首に刺して、ようやく黒い霧になりサッカーボール大の核石を落とした。


「まだ来るぞ!」


 今度は、上空から人間大の蝙蝠型のモンスターが4匹襲い掛かる。


「「まかせて!」」


 アイとマイが『炎術』と『氷術』で火の玉と氷柱を作りモンスターに撃つ。


 バンッ! バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!


 俺も空のモンスターに向かってライフルを撃つ。


 モンスターは1匹は火達磨になり、もう1匹は氷柱に貫かれ、残りは俺の銃弾で地面に落ちて黒い霧になり核石を残した。


「2種類いるのか……」


 これまでの階層は、特殊モンスター以外は1種類づつしかいなかったから、同時複種類戦闘は初めてだった。


「あの猪は硬かったな」

「ああ。今度は『貫通』を使うよ」


 猪や熊は頭蓋骨が硬いって聞くし、獣型はギフトを使って対応していくしかないだろ。


「ここからどうする?」

「……引き返しましょう。アウルムも怪我したし」


 アウルムはモンスターの突撃を受け止めた時怪我したらしく、ミイに『治癒』で怪我を治してもらっている。


「……待って」


 レンの発言に、マイが待ったをかけた。


「どうしたの?」

「……4層には地上に出入り出来る転移陣がある」

「転移ですって!?」


 マイの発言にレンが驚愕する。


「昔、『転移』のギフト持ちが設置したらしい。私達も使える」


 それが本当なら、今後のダンジョン探索の時間短縮になる。


「……なんでそんな事知ってるの?」


 確かに、4層は初めてのはずだし、5層の入り口の件も知っていた。どこから聞いたのだろう。


「私の彼氏。冒険者」

「「「はああああ!?」」」


 マイがピースしてアイ、ミイ、メイが驚く。


「聞いてないんですけど!?」

「言ってないから」

「僕達に抜け駆けした!」

「ふふん」

「今度逢わせて! そして他も紹介して!」


 4つ子が姦しく喋っているが、今はそれ所ではない。


「確かな情報なの?」


 レンがマイに問い質す。


「ええ……彼氏は『明けの明星』のメンバーだから」


 なるほどね、3大ギルドのメンバーなら納得だ。


 レオンは好かんが、実力はあるからな。


「でも、そんな話聞いたこと無いが?」


 ロゼの言うとおり、転移陣の存在があれば他の冒険者も利用しているはずだが。


「『明けの明星』と傘下のギルドしか知らない」


 ……なるほど、情報の独占ってわけね。『明けの明星』のガイならやりそうだ。


「事情は分かったわ……場所は?」

「あそこ」


 マイが指差したのは……廃城だった。


「あの地下に転移陣がある」




 俺達はモンスターを倒しながら道なりに進み、廃城の前に立つ。


 廃城は石積みの壁は崩れ、城も穴が開いている所が所々ある。


「なんか幽霊とか出そうだな……」

「「「やめて」」」


 幽霊が苦手なレン、ロゼ、アウルムが俺に文句を言う。


「行きましょう」


 俺の発言で怖がったレンに代わって、アイが言う。


 4つ子でパーティーを組んでた時は長女のアイがリーダーだったらしい。


 ちなみにマイが次女、ミイが三女、メイが四女らしい。


 グレイを先頭に廃城の中を歩く。


 ボロボロの絨毯に、落下したシャンデリア、破れた絵画等、いかにもな場所だ。


「グルルル!」


 廃城の廊下を探索中、グレイがモンスターを見つけた様で唸り声を上げる。


 俺達はそれぞれ武器を構える。


 すると影から出てきたのは……ドレスを着たような見た目の人型モンスターだった。


 顔は分からないが、輪郭は女性のようだ。


 モンスターは俺達を見たように感じた後、後ろを振り返り廊下を歩く。


 そして立ち止まり、俺達の方を振り向く。


「……付いて来いってか?」

「罠じゃないの?」

「あんなモンスター見たこと無い」


 モンスターはこっちを見ている。


「……どうする?」

「付いて行こう」


 アイの問いに俺が答える。


「……根拠は?」

「勘」


 レンに聞かれるが、なんとなくだが、その方がいい様な気がした。


「……はあー。分かったわよ。この面子なら大丈夫だろうし。皆いい?」


 レンの言葉に誰も反対しなかったので、俺達はモンスターに近づく。


 モンスターは再び歩き始め、俺達は続くと、とある部屋に着いた。


 モンスターは扉をすり抜け入っていく。


 俺は扉を開けてはいると、そこは元々寝室なのだったのだろう。


 ボロボロだが、天蓋付きのベッドや大きな鏡、化粧台もある。


 モンスターは化粧台の前に立つと、引き出しを指差した。


「……開けろって事かしら」

「だな」


 ロゼが開けようとするが……。


「開かないぞ?」


 引き出しは開かなかった。


「おかしいな……鍵穴はないのに」


 ロゼが化粧台を見回しながら確認しているが、開かない。


「じゃあ俺が」


 俺がロゼに代わって引き出しの取っ手に手をかけて引くと、


「開いたぞ?」


 引き出しは普通に開いた。


「何でだ?」

「さあ?」


 俺に聞かれても。


「……中は?」


 あ、そうだった。


 引き出しの中を見ると……青い宝石が付いた金の指輪が入っていた。


 宝石の大きさといい、装飾といい、売ればかなりの値になりそうだ。


 モンスターの目的はこれか。


 俺は指輪を取ると、モンスターに指輪を渡す。


 モンスターは指輪を受け取ると、両手で大事そうに握り締めた後、黒い霧になって消えて核石だけが残った。


「……」


 俺達はその光景を黙って見ているしかなかった。


「……なあ、モンスターってなんなんだろう?」


 俺の問いに、誰も答えることが出来なかった。

次回「魂の解放者」

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