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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
4章 温泉と鍛冶師
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8話 バカンス

「……疲れたー」


 悪獣退治を終えて、俺達は坑道を出る。


 朝入ったのにもう夕方だ。結構居たんだな。


 あの後、蟻を迎撃した後、他の道も探索して蟻を駆逐していった。


 蟻は強くは無かったが、とにかく数が多かった。


「さっさと報告に行って休みましょ」


 俺達はアシト山を降りて、アレト街に疲れた足でようやく着く。


「じゃ、アタイはこれで」

「ええ、助かったわ」


 レンはフォルンの工房に大量の蟻の素材を置いて礼を言う。


 卵処理の手伝いの礼だ。


 殻と鎌は処理をして焼きを入れれば、硬くなりいい素材になるらしい。


 ま、俺達が持ってても意味無いしな。よくて換金素材だ。


「頑丈とはいえ、偶にはメンテナンスに来いよー」

「ああ」


 俺達はフォルンと別れ、協会に行き報告する。


「そうかい、助かったよ」


 受付の老婆は表情を変えず労いの言葉を掛ける。


 死骸はレンが回収できなかったのもあるし、母体はデカ過ぎて無理だ。


 それを伝えると受付はこっちで処理してくれると言ってくれた。


 報告を終えて受領書を貰い、旅館に戻り部屋に入る。


「おかえり」

「無事でしたか」


 カナとノアの出迎えを受けて、カナが俺に抱きつく。


「よしよし」

「えへへへへ」


 抱きつくカナに俺が頭を撫でると、カナは喜んで顔を綻ばせた。


「「「……」」」


 3人がなんとも言えない様子で見ている。


「どうした?」

「「「なんでも」」」

「やれやれ」


 3人がそっぽを向いて、ノアが呆れた様子で首を横に振る。


 俺、変な事言った?


「コホン…とにかく依頼も終わったし、明日『フォルト』に帰ろうぜ」

「はあ? なに言ってんの?」


 レンが呆れた声で言う。


「ええー」

「そうだ」

「まったくです」

「呆れました」


 残りの面子も同じ反応だ。


「私達は何の為にここに来たの?」

「何の為って…悪獣退治だろ?」


 俺は依頼内容を言ったが、


「それもあるけど、それは口実で本当はアレト街でバカンスに来たじゃない!」

「ああ……」


 協会長のマリナの謝礼ね。


「でも、退治前に一通り回ってなかった?」

「それはリサーチしていただけよ。これから楽しむの」


 そうですか。


「それじゃあ、明日バカンスするわよー!」

「「「「おー!」」」」


 女性陣は元気だなぁ。


「あ、そういえば」

「どうしたの?」

「ここでベアトリクス達に逢ってな。バカンスに来たそうだ」

「へー」

「そこでギルドを作らないかって言われた」

「……詳しく聞かせて」

 

 俺はベアトリクスとの会話をそのまま全員に伝えた。


「そんな事なんで黙ってたの!?」

「いや、悪獣退治の後でいいかなと思って……」


 俺は言い訳したが、


「報告、連絡、相談は常識でしょ?」

「……はい。すみません」


 俺は素直に謝った。


「しかし新しいパーティーか……」

「どうするんですか?」


 ロゼは考えるように顎に指を置き、アウルムはどうすればいいか分からず聞いてくる。


「ノアは会ってみたらいいと思いますが?」

「……そうね。一応会って見ましょう」

「分かった。ベアトリクスに言っておく」


 こうして、ギルド結成の話は一旦保留にして今日を終えた。


 ◇


 こうして俺達はアレト街でバカンスを楽しんだ。


 流石温泉街。効能が書かれている温泉に、屋台がずらりと並び、土産屋もある。


「バン! これ食べたい」

「はいはい」


 こういう時のカナの胃袋は宇宙だ。食欲が止まらずどんどん食べる。


「……カナちゃんはなんであんなに食べているのに、太らないのかしら?」

「育ち盛りだからじゃないか?」

「うらやましいです」

「ノアは何故か胸から太りますね」

「「「裏切り者!」」」


 今の会話は聞かなかったことにしよう。


「バン?」

「なんでもない。でも食べ過ぎると夕食食べれなくなるぞ?」

「へいき」


 そうですか。


「ワン!」


 お、グレイはあれを食べたいか。


 俺は近くの肉の串焼きが売られている屋台に行く。


「すみません。串焼きを1つ」

「2つ」

「……2つ下さい」

「毎度!」


 カナの視線は串焼きを逃さず、ロックオンされていた。


「熱いから気をつけろよ」

「モグモグ」

「ワフワフ」


 カナとグレイはおいしそうに串焼きを頬張る。


 俺とカナとグレイはこうして食欲に走っている中、他の女性陣は、


「ねえ、これ美肌効果のある化粧水ですって!」

「こっちのマニキュアいい色してるな……」

「あ、この石鹸いい匂い! 買おう!」

「こっちの香水もいいですね……悩みます」


 美容に目がなかった。


 こうしてあちこち観光しながら、バカンスを楽しんだ。


 


 こうしてバカンスを楽しむ事3日。


「皆、思い残す事はない?」


 レンが荷物を纏めて、バス停に停まっていたバスに乗り込む前に全員に言う。


「ああ。楽しかったな」

「ん」

「こういうのも、偶にいいな」

「充実した時間でした」

「ノアも楽しみましたし、欲しい物も買えました」

「ワン!」


 全員、思い思い楽しんだ様だ。


 この所忙しかったからな。疲れが溜まっていた所為か、ゆっくり出来て良かった。


「じゃあ、帰りましょ」


 レンを先頭にバスに乗り込む。


 今回はスチームサイクルに乗らずに済みそうだ。


「スチームサイクル、欲しいな……」


 かっこいいし、ロマンがある。


「要らないし、使わないでしょ?」

「うう……」


 レンに正論を言われ、何も言えない。


 車なら兎も角、バイクは乗る人数も2人積載量も無いしな。


「しょうがないか……」


 俺は後ろ髪を引かれる思いを感じながら、泣く泣く諦める。


「バン、こっち」


 カナが窓際に座り、隣りに促す。


「ああ」

「「「……」」」


 カナの隣に座ると、レン、ロゼ、アウルムから視線を向けられる。


「ふふん」


 何故か、カナが自慢そうに3人に向けて自慢した様に見えた。


「くっ」

「出遅れた」

「手強い」


 3人は悔しそうにカナを見ている。


 なんなんだ一体?


「やれやれ」

「クワーン」


 ノアは呆れて俺を見て、グレイは興味なさそうに欠伸をした。


 こうして、俺達はアレト街を後にして、『フォルト』に帰還するのだった。

4章 完

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