6話 提案
俺は革職人にライフルのホルスターの作製を依頼してライフルを旅館に置いた後、街をぶらつく。
こちらも仕事が速く、明日には出来るとの事。
レン達と合流しようとも考えたが、偶には1人でぶらつくのもいいだろう。
そうやって歩いていると。
「お、バンじゃねーか?」
振り向くと、そこにいたのはベアトリクスと『白薔薇』の4人のメンバー達だった。
「ベアトリクス? どうしてここに?」
「私達は巨獣討伐の報酬でバカンスだ」
バカンスか。俺も依頼がなければ楽しめたのにな。
「バンはどうしてここに?」
「俺達は依頼でこの街に来ただけだ」
「依頼?」
俺は簡単に依頼の内容とここにいる理由を説明した。
「なるほどな。そいつは大変だ」
「ああ、俺も普通にバカンスがしたかったよ」
「なら一緒にバカンスしようぜ」
俺がそう愚痴ると、ベアトリクスが提案してきた。
「いいのか?」
「どうせ、1人でいるから今日は暇なんだろ?」
「まあ、今は他の面子はショッピングしているけど」
「ならいいじゃん。お前らもいいよな」
「「「「はーい」」」」
まあ、他の人達がいいなら、別にいいけど。
「そんじゃあ、行くか!」
「まずはあそこの喫茶店に行きましょうよ!」
「いや待って、あそこのクレープもいいんじゃない?」
「いいえ、あそこの服飾屋が先でしょ!」
こうして、女性陣の姦しい中、男の俺1人居心地悪く一緒にいた。
◇
「所でバン」
クレープ食べたり買い物した後に、疲れたので評判の喫茶店のケーキを食べていたら、一緒に来たベアトリクスが話しかけてきた。
他の女性陣は各々買い物をしている。
「なんだ?」
「このままパーティーとしてやっていく気か?」
「そのつもりだけど……」
俺はケーキを頬張りながら答える。
「ギルド作ったりしないのか?」
「ギルドねえ」
俺も考えたことがあったが、まずメンバーがいない。
冒険者は5人(そのうち1人は探索しない)にワーカー1人。グレイはそもそも人じゃない。
「4人で探索してんだろ? その人数で深層は無理だ」
「それは分かるけど…」
新人を連れて行くわけには行かないし、ベテランはすでに何処かに所属している。
「そこでだ」
ベアトリクスがフォークの先端を俺に向ける。
「行儀が悪いぞ」
「おっと悪い…それで、他のパーティーと組んでギルドを作らないか?」
「他のパーティー?」
そんなあてないぞ?
「実は知り合いに4人組みのパーティーがいてな。そいつらも限界を感じててな」
「『白薔薇』に入れればいいじゃん」
何故俺に持ちかける?
「勿論言ったさ」
「じゃあなんで?」
「それがな、大人数は嫌だと……実力はあるんだがな」
「はい?」
なんじゃそりゃ。
「ギフトの制限だ。それ以上は言えん」
ギフトの内容を知っているとなると、相当仲がいいんだろうな。
「もし4人がそっちに加入したらギルドが作れる」
「俺のパーティー、ワーカーもいるんだが? 冒険者じゃないと無理だろ」
「それでもできるぞ。『白薔薇』もワーカーが多いし」
それは知らなかった。
「あとここだけの話だが…うちのギルマスはバンがギルドを作ったら同盟を考えている」
「同盟?」
「簡単に言えば持ちつ持たれつってやつだ」
「……それ、俺達がいいように使われないか?」
仮にギルドを作ったとしても、こっちは弱小ギルドだ。3大ギルドの一角より発言権は少ない。
「大丈夫だ。傘下にしようって訳じゃなくて5分の同盟だ」
「そうなのか?」
「おいおい、自分の立場を分かってないのか? 巨獣殺しの英雄さん」
……なるほど。俺のネームバリューで下手に出来ないと。
「あと、ギルマスが個人的にバンを気に入ってるからな」
「なんでまた、そんなに会話してないぞ?」
まさか、俺の武器目当てか?
「さあな…ま、パーティーの件は考えておいてくれよ」
「……分かった。そろそろ出るか」
俺とベアトリクスは立ち上がり、会計をして外に出る。
時刻は夕方だ。結構長居したな。
「おーい、お待たせ」
喫茶店を出たところで、『白薔薇』のメンバー達と合流する。
「じゃあまたな」
「ああ」
俺とベアトリクス達は逆方向に向かって歩き出す。
パーティーの件はレン達と後で相談するとして、まずは悪獣討伐に集中だ。
次回「アシト山」




