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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
1章 始まりと出会い
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4話 野盗

 川沿いを下って暫く経つが……。


「誰もいないね」

「……そうだな」


 時折休憩を挟みながら川辺を歩いているが、カナのギフトでもいまだに人里どころか人っ子1人見つからない。


「まだ歩けるか?」

「大丈夫だけど……おなかすいた」

「そうか、もう昼か」


 気付けば太陽は真上にまで昇っており、カナもだが俺も腹が減ってきた。


「ここで飯にしよう」


 森に分け入って枝を拾い、川辺の適当な岩に座って焚き火の準備をして、飯盒で川の水を掬い飲み水を作る為に煮沸をする。


「ご飯どうするの?」


 ビスケットはまだあるが、この先どうなるか分からないからできる手を付けたくない。なにより美味くないし。


「魚を獲る」

「どうやって?」

「まあ見てな」


 そう言って裸足になり、裾を捲り上げて川に入り浅瀬の出っ張った岩の上に飛び乗る。


 水中を覗くと底が見えるほど透き通っていて、それなりの大きさの魚が何匹か近くを泳いでいるのが見えた。


 バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!


 リボルバーを抜き魚に狙いを定めて撃ち、当たったかを確認せず素早く別の魚に向かって撃つ。


 弾丸は狙い通りに魚に当たり、4匹がプカーと水中から血を流して浮き上がった。魚の大きさは4匹とも30cm以上はありデカい。


「よっと」


 流される前に川に入り、手づかみで魚を獲り岸に戻る。


「おー」


 カナがパチパチと拍手をして出迎えてくれた。


「さて、どう料理しよう?」


 面倒だし、そのまま塩焼きで食べるか。


「まかせて」


 そう言うとカナは俺からナイフを借りて慣れた手つきで岩の上の魚を捌いて三枚に卸し、焚き火の上でフライパンに油を引いて魚を焼き塩で味付けしていく。


「手慣れてるな」

「家で料理していたから」


 やがて料理が完成し、皿の上に載せられた魚の塩焼きは単純だがとても美味しそうだ。


「美味そうだ」

「ありがとう……食べよう?」

「ああ。いただきます」


 食べた魚は脂が乗っており、塩加減も丁度良くとても美味かった。


「美味い」

「よかった」


 カナの料理に舌鼓を打ち、食事を終えようとしたら、


「――よぉ兄ちゃん達、美味そうな物食ってんな」


 声のした方を振り向くと、森の方から男が3人、ニヤニヤしながらこちらに向かって来た。


 男達の身なりは小汚く、それぞれボロボロの革鎧を身につけ剣や両手斧、槍を持っており、とてもカタギの人間とは思えない。


「バン」

「分かってる」


 こいつらの悪意のある顔は、カナのギフトで見てもらわなくても分かる。


「へへへ。実は俺たち、食いもんがなくてよー」

「そうそう。俺たちにも恵んでくんねーかな」

「ついでに金もくれたら助かるんだが……へへへ、水をとりに来ただけなのに思わぬ見つけもんだぜ」


 男達――野盗の類だろうか、こちらに近づいて来る。


 「それ以上近づくな」


 10m位離れた所で警告しながらリボルバーを抜くと、野盗達の態度が一変。


「ち、優しくしてりゃあつけ上がりやがって」

「おい、もういいだろう。殺して身ぐるみ剥いじまおうぜ」

「そうだな。おい、そこのメスガキは高く売れそうだ。あんまり傷つけるなよ」

「へいへい」


 そうして警告を無視して野盗達は近づいて来る。


 ……これで確定した。こいつらは、敵だ。なら俺のやる事は決まった。


 よし、殺そう。


 そう決めた割には罪悪感や恐怖は何も感じないけどな。相手が悪党だからか?


 ……まぁ、いいか。


「カナ、後ろ向いて耳を塞いでろ」


 俺はカナに聞こえるくらいの小さな声で言った。


「え、でも……」

「俺は大丈夫だから」

「……うん」

「よし、いい子だ。ほら」


 俺の掛け声とともに、カナは背を向けて耳を塞いだ。


 カナには、これからの事を見せたくないからな。


 俺はリボルバーを構えて、先頭の槍を構えて俺に向かってきた男に向かって撃つ。


 バンッ!


「……ぐふぁぅ」


 弾丸は喉に当たり、野盗は血を吐きながら前に倒れて痙攣し、やがて動かなくなった。


「て、てめぇ! なにしやが――」


 バンッ!


 後に続いて来ていた両手斧を持った男が言い終わる前に撃った弾丸は、眉間に命中して仰向けに倒れた。


「――ひ、ひいぃぃぃぃ!!」


 後方にいた、1人残った剣を持った男は突然仲間が死んだ事に恐怖したのか、叫び声を上げながら逃げだした。


 もちろん、逃すつもりはない。


 バンッ!


「ぎゃぁぁぁぁぁ! あ、足があぁぁあ!」


 撃った弾丸は野盗の右足に当たり転倒した。


「ひぃぃぃぃぃぃ!! な、な、なんなんだよお前えぇぇぇぇぇ!? 来んなあああああ!!」


 銃口を倒れた男に向けながら近づく俺に男の顔は恐怖で歪み、近づく俺に向かって剣を滅茶苦茶にぶん回してきた。


 バンッ!


「あ、あああああああ!!」


 剣を振り回す腕に弾丸が当たり、剣が手からすっぽ抜けてあさっての方向に飛んでいった。


 俺はリボルバーのリロードを行いながら男に近づき、銃口を男の頭に向けた。


「こ、殺さないでくれ!! なんでもするから!!」


 男は泣きながら命乞いをしてきた。失禁したのかズボンの股も濡れている。


「ダメだ。俺を殺そうとしたんだ。殺される覚悟はあったんだろ?」

「いいいい嫌だ! 死にたくない! そうだ! カネ! 金やるから見逃してくれ!」

「金は、お前を殺してから身ぐるみを剥ぐ事にする」

「そ、そんな…助けて!! 助けてください!! たすけ――」


 バンッ!


 俺は命乞いする男の額に撃ち、男は恐怖で顔をぐちゃぐちゃに歪ませながら死んだ。


「ふぅ」


 俺は一息つくとリボルバーをホルスターに収め、その後野盗達の死体の身ぐるみを剥ぐ。


 汚いしサイズの合わない革鎧と、手入れをしていないせいで刃こぼれや錆が目立つ武器は放置。結局身ぐるみ剥いで手に入れたのは俺が持っているのと同じビスケットに干し肉、見た目綺麗な短剣、銀貨6枚(歩きながらカナに貨幣について教えてもらった)だけだった。


 とりあえず短剣はベルトに差して硬貨は巾着に、食糧はズタ袋に突っ込んでおく。


 死体はカナに見せない為に森の茂みに捨てた。そのうち獣が食うだろう。


 そうやって全部の処理を終わらせた後、俺はカナの目の前に移動してしゃがみ、目線を合わせる。


 カナは終わったのを悟ったのか、耳を塞いでいた手を離した。


「……終わったの?」

「ああ」

「怪我はない?」

「大丈夫。ないよ」

「……あの人達は?」

「……もういない」


 正直に言うか迷ったが、結局言葉を濁した返事しか出来なかった。


「……そう」


 俺の返事に察したのか、カナはそれ以上何も言わず、突然俺に抱きついてきて頭を撫でてきた。


「おい!? どうした?」

「じっとしてて」


 突然の行動に驚く俺に、カナはさらに抱きつく力を強めて、頭を撫で続けた。


 ◇


「……もう大丈夫?」


 暫く頭を撫でていたカナが満足したのか、俺から離れて聞いてきた。


「大丈夫もなにも、どうしたんだ?」

「だって……辛そうな顔していたから」

「……え?」


 辛そうな顔?


 ……そうか。悪党だからか初めて人を殺した事に罪悪感や後悔はないが、それでも気持ちがいいものじゃない。それが顔に出ていたのか。


「……さっきのは、慰めてくれてたのか」

「うん」

「……ありがとう。もう、大丈夫」

「そう。よかった」


 そう言って、カナが微笑んでくれた。


 俺は立ち上がり、カナを野盗達が来た場所まで連れて行く。


「カナ。さっきの奴らが何処から来たかわかるか?」

「……うん。痕跡があるからわかるよ」

「よっしゃあ! 案内してくれ」

「うん」


 上手くいけば、人がいる場所に着けるかもしれない。


 俺達は食後の片付けをして荷物をまとめ、カナの案内に従って森に向かって歩いた。

次回「駅舎と村」

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