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12話 暗躍するもの
エピローグです。
文章は短め。
「……失敗した?」
「はい。まさか巨獣が倒されるとは」
薄暗い部屋の中、核石によって光る燭台だけが2人を照らす。
2人の姿はローブで分からないが、高い声で両方女性とだけ分かる。
1人は豪華な椅子に座り、もう1人は跪いている。
跪いている者にとって、座っている者への感情はそれは主従関係というより、崇拝だ。
「まさか、こんな事になるとは」
本来なら、巨獣が『フォルト』を滅ぼし、我等が都市の救済をして陰から支配し、そのままダンジョンを私物化するつもりだった。
だが、巨獣は倒され、冒険者から英雄が担ぎ上げられた。これでは冒険者等の士気は上がり、更にダンジョンに挑む者が多くなるだろう。
「まあいい。幾らでも手はある」
「しかし、準備がかかりますが……」
「かまわん、組織の拡大は順調に進み、寄付と言う名の資金集めも順調だ」
「分かりました……では私はこれで」
「ああ」
1人が音も無く消え、場が静かになる。
「さて……私も仕事に戻るか」
椅子から立ち上がり、部屋の出口に向かいながらローブを脱ぎ捨てる。
その姿は豪華な僧侶服を身にまとった妙齢の女性だった。
「やれやれ、『ギフト教』の教皇のというのも疲れる……だが、やらねばならぬ。ダンジョンは天使に至る試練場なのだから」
3章 完




