11話 後始末
その後の話をしよう。
巨獣の討伐を終えた俺達はその場を撤収後、支援部隊と合流する事になった。
巨獣の死体はどうするのかと聞いたら、
「巨獣の素材は貴重だし高級だ。上層部のジジイどもに高値で売りつけて今回の報酬に使う。なんなら巨獣の素材を報酬代わりに提供してもいい」
とのこと。
後日解体屋を総動員して、解体するそうだ。
「後始末はジジイ共にもさせる。君等が何もする必要はない」
そう言った時のマリナの顔はめっちゃ怖かったです。
「バンー!」
支援部隊と合流して、レンと再会した時、思いっきり抱きつかれた。
小さいながらも胸の柔らかさと暖かさが伝わる。
「ぐす…よかったよー!」
「レン! 人が見ているから!」
そう言うがレンは離れず、周囲から温かい目で見られた。
「どうやら、無事終わったようですね」
「無事、とは言えないけれど……」
レアがマリナに近づき、報告を聞いていた。
「今回の『白薔薇』と『明けの明星』の被害が大きすぎたわ。ダンジョン探索の遅延は間逃れない」
「……『大増殖』ですか」
レアが小声でマリナに言う。
「ええ……最近の特殊モンスターの遭遇情報を考えると、その可能性はあるわ。この後の始末が大変だというのに」
「……そうですか。『飛脚』の方でも調べておきます」
「お願いするわ」
巨獣討伐で歓喜ムード中、2人の表情は暗かった。
支援部隊と合流を終えた俺達は、『フォルト』に帰還した。
「バン! レン!」
「2人とも無事でよかったです!」
防衛部隊にいたロゼとアウルムとも無事合流できた。
「そっちはなんとも無かった?」
「オレ達の方は巨獣に追い立てられた悪獣達が来た位だな」
「でもたいした被害は無かったです」
そうか。それは良かった。
「所で巨獣はどんなやつだった!? 戦いはどんなだったんだ!?」
ロゼは眼を輝かせながら聞いてくる。
「ロゼ……」
「バン、諦めなさい。ロゼはこういった話が大好きだから」
「……そうか」
ロゼの意外な一面を知ったな。
「なあ、教えてくれよ!」
「そうだな……」
これは長くなりそうだ。
俺はロゼが満足するまで顛末を教えた。
家に戻って、疲れかすぐに寝た翌日。
直に巨獣討伐の報告がされて、街に残っていた人々を歓喜させた。
そして、今回の討伐で犠牲になった冒険者の葬儀の為、冒険者全員が協会横の共同墓地に集まる。
そこには「巨獣を倒した英霊達」と書かれた真新しい石碑が建てられ、その下に戦死者の名前が彫られていた。
「英霊達に黙祷」
マリナの言葉に、全員その場で祈るように両手を組む。
「止め」
数秒祈り、やめる。
1人づつ石碑に一輪の花を置いていき、俺達は協会の大広間に向かう。用意されたテーブルに置かれた沢山の飲食物に眼を奪われる。
「今回の戦いは辛く、厳しいものでした。しかし、英霊達と、この場に集まった冒険者達は勝利し、この都市に生きる人々に明日をくれました。この都市に生きる人々の代表として、最大限の感謝を皆様に捧げます!」
「「「「おおおお!!」」」」
マリナの感謝の礼に、盛り上がる冒険者達。
「さあ、今宵は存分に祝いましょう! 乾杯!」
「「「「乾杯!!」」」」
冒険者達はジョッキを持ち上げ、一気に飲み干す。
こうして、祝勝会が始まった。
数日後。
「無事じゃったか」
「おかげさまでな」
俺は『ロガ―ティア武具店』に顔を出し、ティアと会う。
「核石の件は本当に助かった。あれが無かったら死んでたよ」
「それは良かったわい。おぬし達が討伐したおかげで、ワシもこの店も無事じゃ」
「それで核石の代金だけど……」
かなりの量だったからな。まけてくれるといいけど。
「いらんよ」
「え?」
予想外の言葉に、俺は驚く。
「……いいのか?」
「元々失敗作の核石ばかりじゃったし。捨てるのもなんだったから持っていた物ばかりじゃ。むしろ片付けてくれて大助かりじゃったわい」
こう言ってティアは快活に笑う。
「そうか……ありがとう」
「なに、今後も引き取ってじゅれるとありがたい」
「ああ、定期的に取りに来るよ」
「よし! これでワシに会いに来る口実が出来たのじゃ!」
相変わらずブレないなぁ。
「所で、これから昼飯を作ろうと思っとるんじゃが、お主もどうじゃ?」
「あー好意はありたがいが、予定があってな…また今度で」
「残念じゃ。予定と言うのは?」
「家族を迎えに行くんだ」
「まだかな」
「落ち着きなさいよ」
駅のホームでウロウロする俺を嗜めるレン。
俺達4人は駅のホームで列車が来るのを待っていた。
「久しぶりだな」
「そうですね…元気にしていたでしょうか?」
ポーッ!
「来た!」
列車の汽笛が聞こえて、列車がホームに近づき、止まる。
扉が開き、金髪の少女が飛び出して、辺りを見回す。
そして、俺と少女の眼が会った時、
「バン!」
少女――カナがおれの胸に飛び込んだ。
「元気だったか?」
「うん、元気だったよ。でも…寂しかったよ!」
カナが俺の首に手を回し、抱きついた。
「…ゴメンな」
俺は落ち着くまで頭を撫でる。
「ううん…いいよ」
カナも満足したのか、俺から離れた。
「皆様、元気そうで」
「ワン!」
カナの後ろからゆっくりと近づいた自称メイドとハスキー。
「ノア! グレイも久しぶり!」
「元気にしていたか?」
「無事に会えてよかったです!」
「ノアも皆様の無事な姿が見れて良かったです」
「ワン!」
ノア達と無事合流出来、積もる話は後にして家に戻ることにした。
「しかしノアも鼻高々です。バンさんの居るパーティーに所属できて」
ん?
「どういうことだ?」
「おや、皆様知らなかったのですか?」
ノアが何処からか紙束――新聞を持って渡す。
……嫌な予感がする。
俺達は新聞を顔を寄せて見る。
そこにはこう書かれていた。
――巨獣討伐! その立役者は新しい英雄の少年。その名もバン!
その見出しと共に、何時の間に撮られたのか俺の写真が載っており、俺達のパーティーと巨獣討伐の詳細が書かれていた。
「「「「はああああ!!?」」」」
俺達の声が、ホームに響き渡った。
次回「暗躍するもの」




