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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
3章 厄災と3大ギルド
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10話 巨獣②

「総員、突撃!!」

「「「おおおお!!」」」


 マリナの掛け声と共に、冒険者達が残った前足に突撃する。


 後方の部隊も、弓やギフトを用いて、遠距離で援護する。


「おらぁ!」

「はあ!」


 あまりダメージは与えられてないが、足止めは出来ているのはレオンとミリアが居るからだろう。


「流石私達のギルドマスターね」

「そうだな!」

「……2人とも、攻撃する」

「「はい!」」


 元々、ミリアは単独で活動していた冒険者だった。


 そこにミリアに救われた者、噂を聞いて加入したいと言った者達等をミリアは入るもの拒まず、去るもの追わずの精神で受け入れた。


 ギルドが『白薔薇』と名付けられたのも、ミリアからとった物だ。


 『白薔薇』のミリア。それが単独で冒険者をしていた彼女の二つ名だ。




「なに、うちのギルマスも負けてませんよ」


 ガイが呟き、槍の一閃を繰り出す。


 すると槍から炎が出て、巨獣の足をわずかに焼き切った。


「ふう」

「ガイ! ぼさっとすんな!」

「すみません」


 レオンは大斧を振りかぶり衝撃波を与えながら斬り付ける。


 レオンは元々、ある貴族の生まれだったが、幼少時、本等から冒険者に憧れて、冒険者になった。


 しかし無情にも、冒険者稼業は女尊男卑.


 ギフトを持たない男達は冒険者界隈では低い地位にいた。


 それに嫌気がさしたレオンは己を鍛え上げ、親に頼んでダンジョンウエポンを買いあさり、『明けの明星』を作った。


 男冒険者の地位向上に一役買ったと、世間では言われているが、レオンの本心は唯の負けず嫌いだし、自己顕示欲もある。


 レオンがバンを気に入らないのはそこにある。


 男ながらギフトを持ち、目まぐるしい活躍をする。


 レオンにとってそれは嫉妬でしかなかった。


「あのクソガキより活躍してやる!」

「そうですね!」


 レオンは否定するだろうが、ガイから見たら、レオンのバンへの感情は嫉妬ではなく、羨望だ。


(ま、どちらでもいいですけど)


 ガイはそう思いながら、槍から炎を出して、斬り付ける。




 マリナは指揮しながら考える。


(あの少年は何者だろうか?)


 最初は好奇心からだった。


 子供が冒険者登録に来た。しかも男と報告をカルラから受けた。


 子供の、しかも男が冒険者になる。そんな危険な事はさせられない。


 だから偶々いたベアトリクスに依頼した。負けさせろと。


 『フォルト』支部協会の暗黙のルールで、子供を冒険者にしない為だ。


 だが、バンは勝ち、しかもギフトを持っていると言う。


 そこから、バンのことを調べたが、ココ村から以前の記録が全くない。


 他国のスパイかとも疑ったが、あまりにも目立ちすぎる。速攻で否定した。


 こちらの心情を知らず当のバンは特殊モンスターの撃破など、目まぐるしい活躍を見せていた。


 もしかしたら――彼は成し遂げるかもしれない。


(いや、それはないか)


 マリナは自分の考えを否定して首を横に振る。


「会長!」


 呼ばれて思考をやめ、現状を把握する。


「ガアアアア!!」


 巨獣から火山の噴火の様に火の玉を周囲に降らせる。


「退避!」


 マリナ達もその場を離れて巨獣と距離をとる。


 私達は陽動。彼が来るまで巨獣を釘付けにできればいい。無理はしないように指示は出してある。


「まだか来ないか……!?」


 ほんの少しの時間が長く感じる。


 やがて火の雨も止み、冒険者達は攻撃を再開する。


 マリナは冒険者の今回の巨獣討伐には感謝と謝罪しかない。


(あのジジイどもが)


 マリナは全員の避難を直訴したが聞いてもらえず、その上で都市の上層部は真っ先に逃げ出す。業腹でしかない。


 今回の冒険者達の活躍に応じて、何か報いなければ。 


「会長! 来ました!」

「そうか!」


 そして、待ちに待った者が来た。


「――来たか!」


 空を見上げるとそこには大きな翼を広げて高速で滑空する者がいた。


 ◇


 俺の作戦はこうだ。


 全員で陽動をしてもらい、俺は()()から接近して、頭を撃ち飛ばす。という単純なものだった。


 説明の後、正気か? と言われたが、篭手の性能を説明して何とか信じてもらえた。


 マリナは俺の案を採用し、部隊全員が巨獣に突撃する。


 俺は見つからないようにギリギリまで巨獣に接近して、鞄から核石を全部出して篭手に吸収させる。


 篭手が青白く光り、粒子が出る。


 俺は粒子を操作して、密集させて翼状にして、背中に纏わせる。


 よし、ここからだ。


 ダンジョンでの練習では噴射自体は出来てた。今回も出来るはずだ。


 俺は翼から粒子を噴射させる。


 すると足は地面を離れ、体が宙を浮き始めた。


「よし! これなら、あの特殊モンスターのように飛べる!」


 俺は翼の噴射を強くして、空に舞い上がった。


「うおおおおお!?」


 空を飛んで感じたのは、風圧とGだった。


 スピードコントロールが上手くできず、目が開けきれない。


 何より、


「これ、エネルギー切れにならないよな!?」

 

 ここでエネルギーが切れたら、目も当てられない。


「もう少し弱く……」


 俺は意識を集中して、粒子の噴出を弱める。


 そして翼を広げて、滑空するイメージをした。


 巨獣との距離はそんなに離れてない。ただ、上空から近づければいいだけなのだ。


「もう少し…!」


 巨獣の上に辿り着く


 高さで言えば、100mほどだろうか、上空から見た巨獣は小さく見えた。


 そして、遂に巨獣の真上に辿り着いた。


「今だ!」


 粒子をリボルバーに纏わせ、長大な砲を作る。


 巨獣はまだ俺に気付いていない。


 砲口を巨獣の頭に向けて粒子の噴射を止め、翼を折りたたみながら落下する。


 巨獣はまだ気付かない。


 俺は『貫通』を使い、引き金を引く。


 その時、巨獣は、やっと俺に気付き目を合わせた。


「おせーよ」


 ドォォォォンッ!!


 砲から放たれた弾丸は巨獣の頭を貫き、俺は反動で空に飛ばされる。


 巨獣が、その場で倒れるのが、横目に見えた。


 どうやら、無事に倒せたようだ。


「やべっ」


 俺は翼を広げて体制を立て直し、風に乗って滑空。高度を下げつつその場をぐるぐる回る。


「持ってくれよ……!」


 粒子を噴射させて速く降りたいところだが、エネルギー切れを起こすのでそれは出来ない。


 そして遂に――。


「あ……」


 エネルギーが切れて、篭手の輝きが消えて粒子が四散した。


「うあああああああ!」


 地上まであと10m以上はある。この高度は死ぬ。


 俺は目を瞑り、死を覚悟した。


「やれやれ、なんとも締まらないな」

「……え?」


 予想していた衝撃は来ず、気が付けば協会長のマリナにお姫様抱っこされていた。


 どうやら、彼女が俺をキャッチしてくれたらしい。


「あ、ありがとうございます」

「礼を言うのは私だ」


 俺は優しく地面に下ろされ、マリナに微笑みかけられた。


「あ――」


 気が付けば、冒険者全員がマリナの後ろに集まる。


「冒険者達を代表して礼を言う――よくやってくれた」


 こうして、多数の犠牲を出しながらも巨獣の討伐を終えた。

次回「後始末」

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