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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
3章 厄災と3大ギルド
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4話 依頼

 ノアの絶品の料理に舌鼓をうった後、メンバーは談話室に集合する。


 夜も遅いのでカナは部屋に戻った。レンの様子を気にしていたが、今頃寝ているだろう。


「それで……なにがあった?」


 食事中も俯き昏い眼をしたレンに、ロゼが切り出す。


「そうね……まずは協会から呼ばれた所から話すわ」


 そうして、レンは重い口を開き淡々と話す。


「協会に呼ばれたのは私だけじゃなくって、3大ギルドの幹部や、大手のギルドマスター達もいたわ。正直場違いと思ったわね。そして、協会長がやってきて私達にこう言ったの・・・・・・『巨獣が現れた』って」


 レンが放った一言で空気が凍りついた。


「巨獣って何?」


 唯一、巨獣について何も知らない俺が質問する。


「ああそうか、記憶喪失だもんな…悪獣はわかるだろ?」

「ああ」


 ロゼの質問に答える。


 俺が前戦った馬鹿でかいウサギとか子鬼の事だ。それら人間に敵意を持つ自然にいるものが悪獣と呼ばれてるんだっけ。


「その悪獣が山のように大きい存在を巨獣って言うんだ」

「山の様な大きさ……」


 スケールがでかすぎて想像できん。


「巨獣は正に生きた災害。とても人間が戦える相手じゃない」

「その巨獣の目撃情報がこの『フォルト』近くで報告されたの」


 ロゼの言葉を引き継ぎ、レンが話し再開する。


「それで報告情報から進路を計測したら、恐らく此処に来るらしいわ」

「「「「はい!?」」」」


 レンの言葉に全員が驚愕する。


「……それは何時の話ですか?」


 黙って聞いてたアウルムが質問した。


「おおよそだけど……10日後らしいわ」

「そんなに早く!?」

「巨獣は滅多に姿を現さないのになんでだ!?」

「そんなのこっちが聞きたいわよ……」


 レンの言うことも最もだ。


「明日にでも避難勧告がされると思うわ」

「では、ノア達も避難準備を?」


 ノアの真っ当な言葉を聞いたレンが、予想外の事を言った。


「ええ……でも、ノアとカナちゃん、あとグレイだけよ」


 ……え?


「私とロゼ、アウルム、そしてバンは巨獣の撃退、可能なら撃破の強制依頼よ」

「「「はあ!?」」」


 俺とロゼ、アウルムが驚く。


「勿論私達だけじゃないわ。他にも集められたギルドも一緒よ」

「ちょっと待て!? 3大ギルドとかはともかく、何でオレ達まで!?」


 確かに、オレ達は何処にでもいる弱小パーティーだぞ?


「私も同じ事思ったし、なんならその場で聞いたわ。そしたら、短期間で甲のランクの核石を続けて持ってきたから実力が評価されたからだって……こんなタイミングで評価されたくなかったわ」


 レンが苦笑しながら言った。


「甲種の核石がなんで?」


 とりあえず、気になったので聞いてみた。


「核石にランクがあるのは知っているわよね?」

「確か甲、乙、丙だろ?」


 前に核石を査定に持って行った時に説明してもらった。


「丙は比較的浅い階層のモンスター、乙は中層以降のモンスターの核石なの。細かいランクがあるらしいけど……」


 あれ、甲の説明がなかったが?


「肝心の甲は()()()()()()()からしか出ないの」

「……ああ、そういうことか」


 特殊モンスター。


 ダンジョンに稀に現れるモンスターだ。


 その強さは並みのモンスターをたやすく凌駕し、ベテランでも瞬殺される程。


 俺達は不幸にもその特殊モンスターと度々出くわし、倒してきた。


 それで実力が証明されたんだろう。


「……そうだ、国軍は!? 国軍がいたらこの依頼断れないのか!?」


 ロゼが立ち上がり、レンに詰め寄って聞く。


「依頼を断ったら会員証剥奪、銀行も凍結、ダンジョン探索も協会関連の取引も禁止だって」


 それは事実上の追放じゃないか。


「あと国軍は島国だから大半が海軍だし、残りの陸軍も連絡はしたけど到底間に合わない、間に合ったとしても戦力にならないんですって」

「ならこの領の騎士団は!?」

「……あいつらが動くと思う?」

「ふざけんな!!」


 ロゼがブチ切れて近くの椅子を蹴り飛ばした。


「協会はオレ達に死ねって言ってるのか!?」

「どうも上から圧力が掛かったみたいよ。会長も苦虫をかみ締めたような顔をしていたし」


 3大ダンジョンの一つ、『メキド』ダンジョンから獲れる核石や遺物で大きくなった都市だ。都市もダンジョンも無くなったら、国は大きな痛手なんだろう。


「……どうする? 冒険者やめる?」


 レンが暗く笑って俺達に聞いてくる。


「……その前に一つ。依頼って事は報酬があるんだろうな?」

「バン!? 何言ってんだ!?」


 ロゼが驚いているが、俺はレンに眼を離さずに聞いた。


「……ええ。報酬は1人金貨200枚ですって。私達の命に比べて高いんだか安いんだか」


 レンが自嘲気味に言う。


「俺は受けるよ」

「……え?」


 レンが目を見開いて俺を見る。


「俺には目的がある。だからダンジョンに入れないのは嫌だ」

「……そうね。バンは記憶を戻すために冒険者になったもんね」

「ああ、それにこの家の支払いも終わってないしな」


 俺は冗談交じりで言った。


「勿論皆には強制しないし、この家に居てもらっていい……この家がその時あったらな」


 依頼を受けるか、冒険者を辞めるかは個人の自由だ。俺が強制する権利もないし、する気もない。


「どうする?」

「……私も受けるわ。他に選択肢もないし、孤児院の仕送りもあるしね。私は後方支援に回されるでしょうから生き延びるチャンスもあるかしら」


 レンの決意したらしい。今までの昏い眼に光が戻り、顔を上げる。


「――分かったよ! オレも受ける!」

「わ、私も!」


 ロゼとアウルムも覚悟を決めたのか、自棄になったのか、受けると言い放った。


「決まりね」

「ああ」


 これで全員の気持ちは固まった。


「私達は生き延びて、またこの家に帰ってくるわよ! みんな! いいわね!」

「「「おー!!」」」


 こうして、俺達は巨獣退治に赴くことになった。


「ノアは明日から準備に入ります」

「ええ、お願い。お金も避難先で当分暮らせる様に渡すから」

「ありがとうございます」


 そういい残し、ノアは談話室を出る。


「ガウ!」


 そして、グレイは決まった内容に納得がいってなかった。


「巨獣討伐にお前は連れて行かない」

「ガウ!?」

「なんでって…カナの護衛は誰がするんだ?」

「ガウガウ!」

「確かにノアがいるけど、2人とも女性だ。悪党なんかに狙われやすい」

「……わう」


 ようやく納得してくれたか。


「それじゃあ2人のこと頼んだぞ」

「ガウ!」


 グレイは部屋から飛び出し、庭に向かった。


 あの調子なら大丈夫だろ。


「それじゃあ、聞いて欲しいことかあるんだけど」

「まだ何かあるのか?」


 ロゼが疲れた様子でレンに言う。


「ええ。協会は大手ギルドは大概繋がりがあるんだけど、私達にはないでしょ?」


 まあ、俺達パーティ-でギルドじゃないしな。


「それで近いうちに格ギルドマスターと幹部と顔合わせがあるから」


 そうだな、今回は格ギルドで総力戦になる。顔合わせと作戦内容の確認、連携等の役割分担は必要だよな。


「私達は吹けば飛ばされるような弱小パーティーだから、眼を付けられないでね……特にバンは」


 ……なんで俺だけ強調する? 

次回「避難準備」

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