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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
2章 ダンジョン都市と仲間
25/97

18話 3層②

 バンバンバンッ!


「GYAAAA!?」


 さっきの戦闘を終えてから少しして、俺達は大型モンスターの集団に襲われた。


 数は20体を超えている。


 大型モンスターは武器を持たず、2本の角で突進してくる。


 しかも体格に似合わず素早く、突進力も強い。


 そこで考えたのは…。


「ロゼ、アウルム、リロード!」

「おう!」

「はい!」


 ロゼが複数の石壁を出して、進路を塞ぎ、アウルムは『鉄壁』で触った石壁を更に硬くする。


 2人の連携で鉄壁の壁の完成だ。


 モンスターは鉄壁の壁を壊さずに阻まれる。


 俺とグレイは攻撃に専念し、ロゼとアウルムが防御、レンがサポートといった役割が3層の戦闘で自然と決まった。


「完了!」


 バンバンバンバンッ!


 俺はモンスターの群れに撃ちまくり、


「ワウー!」


 グレイが素早さを生かしてモンスターを翻弄する。


 幸いモンスターの防御力は高くなく、『貫通』を使わずに済んでいる。


「ふう……」


 こうして、モンスターの群れを掃討して、周りは核石だらけになっていた。


「みんなご苦労様。少し休憩していて。私は核石を回収するから」


 1番疲労の少ないレンが核石の回収に向かい、俺達は言葉に甘えてその場に座り込み休憩する。


「ほら」

「ありがとう」


 ロゼから水筒を貰い、喉を潤す。


「グレイ」

「ワフ」


 グレイ用の皿に水を入れて渡し、グレイはピチャピチャと水を飲んだ。


「にしても疲れたな」

「はい……しばらく動きたくありません」


 2人の疲労が強い。1番ギフトを使ったから当然か。


「あの群れでまた来るのか?」

「分からん…」


 毎回あの数が来るならたまらんぞ。


「皆おまたせ」


 レンが核石を回収し終えて戻ってきた。


「レン、しばらく此処で休憩しよう」


 俺とグレイはともかく、レンとアウルムの疲労は相当だ。


「ええ。分かっているわ。あそこの大木が3本並んでいる所に窪地があったの。そこなら見つかりづらいでしょうし、そこで休憩しましょう」

「わかった…2人とも、動けるか?」

「ああ…」

「ええ…」

「なら行きましょう。何時モンスターに見つかるか分からないから」


 こうして移動した場所は、3方が木で囲んで、その間が窪地になっており、確かにぱっと身見つからない。


「今何時だ?」


 時計を見ると8時を差していた。


 いつの間にか外は夜になっていたらしい。3層はずっと日中で時間間隔が分からなくなる。


「今日はここで野営しましょう」

「賛成」

「食事を出すから待ってて」


 俺達は食事を済ませて寝袋を出して交代で睡眠をとる。


 ロゼとアウルム、グレイが睡眠を先にとり、後半が俺とレンだ。


 理由は2人と1匹が疲労が大きいから先に休ませる為だ。


「こうやって2人で話すのは初めてかもね」


 ロゼ達が眠りにつく中、俺とレンで見張りをしていると、レンが話しかけてきた。


「そうか?」

「そうよ……1つ聞きたいことがあるんだけど」

「なに?」

「あなた、記憶が戻ったらダンジョン探索をやめるの?」

「……え?」


 突然の問いに、俺は思考がフリーズした。


「だって記憶を戻すためにダンジョンを攻略してるんでしょ? もし、攻略前に記憶が戻ったら止めるのかなって」

「それは……」


 ……考えたことがなかった。


 なぜなら、俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思い込んでいたからだ。


「…………なんで?」


 そうだ。なんで他の手を考えなかったんだ。病院に行くとか、他にもあった筈だ。


「なんでだ……?」

「……バン?」

「そうだよ……なんでだよ」


 何で俺はダンジョン攻略しかないと思ったんだ?


 まるで誰かに思考を誘導された様な気持ち悪さを感じる。


「俺は……」

「――ン! バンっ!」

「はっ」


 気付けば、レンがおれの肩を揺らして顔を覗き込んでいた。


「ちょっと大丈夫!? 顔色悪いわよ?」

「あ……ああ」


 気が付けば、今までの疑問がどうでもよくなった。


「またかこの感覚か……」


 ……俺は、いったいなんなんだ?


「バン?」

「ああ…もう大丈夫だ…あと、近い」


 レンの顔が、唇が触れそうなほど近く、レンの青い眼が俺の顔を映していた。


「え? ……あ、ごめん!」


 レンがすぐに離れて照れた。


「でも、どうしたの? さっき様子が変だったわよ?」


 レンが照れ隠しに俺の様子を伺う。


「……いや、なんでもない。もう大丈夫だ」


 この感覚は説明しづらいし、多分分かってもらえない。


「そう……」


 レンは納得してなそうだったが、それ以上追求するのをやめた。


「さっきの答えだけど……やめないよ」

「え?」

「だって生きてかなきゃいけないし、カナが大人になるまでは面倒見なきゃ。保護者としてな」


 結局、俺はダンジョン探索を止めるわけにはいかないんだ。


 例え他の何かの思惑があったとしてもだ。


「…なにいってんの。バンも子供でしょ?」

「俺は大人だ」

「はいはい……そうね、もう大人ね」


 レンが暖かい目で俺を見てくる。


「そんな目で見んな」

「生意気よ。年下の癖に」

「それは悪うござんした」

「「……ぷ、ははははは!」」


 どちらかともなく2人して笑いあった。


「うるさい!」


 そしてロゼに怒られた。締まんないなぁー。


 ◇


 3層の攻略を始めて2日目。


 昨日のような群れは遭遇せず、精々2、3体のモンスターの戦闘が数回あったが、それ以外は順調に進んだ。


 道中、モンスターにやられて死んだであろう冒険者の遺体を見つけたが、遺品として会員証だけ回収した。これは協会に知らせると同時に、遺体代わりに会員証を共同墓地に埋葬する為だ。


 遺体を見ると実感する。これがダンジョンの恐怖なのだと。


 死んだらそこで終わりか……だけど俺にはカナが帰りを待っているんだ。こんな所で死ねない。


 1人決意を新たにパーティーと探索する。


 そうしてモンスターと戦闘を行いながら進み。


「なあ、あれ見ろよ」


 ロゼが反りだった崖に横穴をあるのを見つけた。


「まさかあれって…」

「ええ……マッピングしている感じ、多分4層の入り口ね」


 やっぱりか。


「どうする? 先に進むか?」

「そうね……とりあえず入ってみましょう。4層がどんな感じか知りたいし」

「そうだな」


 そうして俺達が先に進もうとした時――。


「ガウ!」


 グレイが後方を振り返り唸り声をあげた。


「――全員武器を!」


 グレイの様子に察したレンが指示する。


 すると上空から、何かが地面に落ちて土煙を上げた。


 そして出てきたのは、3層のモンスターと違い、小柄で体格は俺と同じ位。


 額にも角はなく、代わりに左腕に青白く光る篭手が付けられていた。


 だが、他のモンスターと違い、圧倒的な存在感を放ち、モンスターの周囲が空気が重く感じられた。


 間違いない。こいつは――。


「特殊モンスター!」


 レンが言うように特殊モンスターだった。


「レンは離れてろ!」

「気をつけて!」


 レンがその場を離れ、全員がそれぞれ武器を構える。


 それを見たモンスターの篭手から、黒と白が混じった粒子が出て来る。


 ――あれはヤバイ!


「ロゼ、アウルム! 『石壁』と『鉄壁』を!」


 瞬間、モンスターの姿が消えた。


「――え?」


 気付けば、アウルムが後方に吹き飛び、崖に衝突していた。


「アウルム!」

「ロゼはアウルムを見てくれ! 俺とグレイで引き付ける!」


 バンバンバンバンバンバンバンバンッ!


「ワウ!」


 俺はありったけ撃ち、グレイは素早く動いて斬撃を放つ。


 だが――。


「ちっ」


 弾丸は篭手から出た粒子に阻まれ、グレイの攻撃をたやすく躱す。


 俺はリロードをしながら前に出る。こうなったら近距離で『貫通』を使ってやる!


「キャイン!」


 モンスターは俺に脅威を感じ取ったのか、グレイを足蹴にして、俺に標準を定めた。


 モンスターが構え、再び篭手に粒子が集まる。


 瞬間、石壁が現れてモンスターの視線を遮った。


 俺は咄嗟に横に跳ぶ。


 ――ドガン!


 石壁が砕け、モンスターが明後日の方に飛んでいった。


「バン!」


 ロゼが近づき、モンスターに槍を向けて構える。


「アウルムは!?」

「ギリギリで『鉄壁』を使ってたらしい。生きてるが戦闘は無理だ!」


 そうか、良かった。


「で、アイツはどうする!?」


 モンスターが悠々と歩いてこちらに向かってくる。


 まるで余裕と言わんばかりだ。


 ドォン!!


 試しに『貫通』で撃ったが、簡単に躱された。


「やっぱり避けたか」


 防がずに避けた。


 なら、俺の『貫通』は通用する!


「近距離で『貫通』を撃ち込む。援護してくれ!」

「おい!?」


 俺はリロードして、銃を構えながらモンスターに向かって走る。


 あの篭手の仕組みは大体分かった。


 粒子を貯めてロケットのように噴射し、粒子を密集させて盾に出来る。


 動きを見た感じ、多分粒子は複雑な動きが出来ないはずだ。なら隙はある!


 ドォン!! ドォン!!


 俺は『貫通』を撃ちながら接近する。


 案の定避けられたが、想定内。


 この隙にモンスターとの距離を詰められた。


 遠距離ならともかく、近距離で弾丸を避けれるやつなんていない。


 だが、この戦闘でリロードはもう出来ない。あと6発で決める!


 だが、それに感づいたのか、モンスターが距離をとる。


「くそ!」


 ドォン!!


 撃つが、やはり避けられる。


 近づくのを止めて立ち止まるが、モンスターは近づこうとしない。


 こいつ! 俺が隙を見せるのを待つ気か!?


 モンスターは俺との距離を20m程で保っている。


 俺の攻撃を避け、一瞬で間を詰められる距離だ。


 だが、俺には近づくしかない。


 再びモンスターに向かって走り出す。


 勿論モンスターは俺から離れようとするが。


「GA!?」


 突如後ろから出てきた石壁に遮られた。


 ロゼがモンスターの動きを邪魔したのだ。


「サンキュー!」


 ドォン!! ドォン!!


「GYAAAA!!」


 走りながら撃った所為か上手く当たらず、モンスターの右足と右腕を吹き飛ばしただけだった。


 だが、モンスターもただでやられるつもりもないらしい。


 篭手に粒子を貯めて俺に突っ込むつもりだ。


 粒子が噴き出す瞬間。


 ドォン!!


 撃つが、モンスターは止まらず、俺に突っ込んでくる。避ける時間がない!


 ――顔の輪郭がないモンスターが、笑った気がした。


「クソッタレ!」


 俺は賭けに出ることにする。


 腕をクロスしてモンスターの突進を受け止める。


 その結果。 


「――捕まえた」


 左腕の手から前腕が半分吹き飛び血が吹き出るが、そのおかげでモンスターの狙いがわずかに逸れ、モンスターの攻撃が空振りに終わった。


 俺は残りの左腕、前腕と肘で首に抱きつき、モンスターのこめかみに銃口を当てる。


「GYAAAAA!!」


 モンスターの悲鳴が耳に劈くが、気にしない。


 ドォン!!


 最後の1発がモンスターの頭を吹き飛ばし――反動で右手首が逝ったが、モンスターは黒い霧になって篭手と黒いサッカーボール大の核石を残して消えた。


「――あ、やべ」


 それを見た後、俺の意識も遠のく。


「バン!? しっかりしろ!」


 ロゼの叫び声を最後に、おれの意識は途切れた。

次回「居場所」

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