17話 3層①
あらすじが気に入らなくなったので、変更しました。
「「「「いってきます」」」」
「ワン!」
「いってらっしゃい」
「お気をつけて」
カナとノアに見送られながら、俺達はダンジョンに向かう。
そして新たな探索メンバーが1匹。
「……なあグレイ、本当にカナに付いてなくてよかったのか?」
「ワン!」
グレイは「大丈夫」と一吼え。
「そうか…ならよろしくな」
どうも、ノアと模擬戦をしてからノアを認めたらしく、カナをまかせてダンジョン探索に赴きたいらしかった。
正直、グレイの加入は心強い。
だが……。
「なんか、見られているな」
「だな」
やはり、剣を背負った見た目犬は目立って、道中同業者の視線が無遠慮に向けられていた。
ヒソヒソと話しているつもりだろうが、犬を探索に連れて行くのを馬鹿にした声も聞こえる。
「グルルルルッ!」
「気にするな」
馬鹿にされているのを理解しているグレイが唸り声を上げるが宥める。
「ワン!?」
グレイは「何で!?」と非難の視線を向けるが、
「こういうのは気にしたら負けだ。気にせずドンと構えればいいんだよ。この業界結果がすべてだ」
「…ワウ」
声は「…でも」と納得できて無さそうだ。
「なに、活躍して馬鹿にした奴らを見返そうぜ!」
「…ワン!」
グレイもようやく納得してくれたようだ。「やってやるぜ!」と闘志をだした。
「よし、その意気だ! いくぞ!」
「ワン!」
こうして俺とグレイは意気揚々にダンジョンに向かう。
「……なんでバンはグレイの言葉が分かるんだ?」
「知らないわよ」
「まあ……役立ってるからいいんじゃないですか?」
そんな女性陣の会話があったが、バンとグレイは気付かなかった。
◇
ダンジョン1層は早々に攻略して、今2層の入り口にいる。
「ちょっと待って」
レンが背嚢から巻物を出して広げる。
覗くと何本もの線が描かれており、まるで迷路みたいになっていた。
「これは?」
「2層の地図よ。私がマッピングしたの」
2層の地図か……あれ?
「地図ってダンジョンの入り口で売ってなかったけ?」
確か『飛脚』が描いたって言う。
「ああ、あれね…信用ないわ」
「そうなのか?」
地図売って商売しているくらいだから、ちゃんとした物だと思ったが。
「よくある手よ。偽者の地図売って相手を嵌める魂胆」
レンの声は確かに憤りの感情が含まれている。
「オレ達昔騙されたんだ。それからレンはああいった地図屋を信用してない」
「なるほど」
苦い経験があった訳だ。
「無駄口叩かずに行くわよ。今日は3層を目指す!」
「「おう!」」
「ワン!」
先頭はグレイ、次がアウルム、真ん中にレン、4番目が俺。最後尾にロゼの陣形だ。
グレイは鼻と耳が利く。先頭にうってつけだ。アウルムは『鉄壁』で後続を守れる。レンが真ん中なのはパーティーの要だからだ。指示だしに、俺達の荷物に重要な兵糧を『収納』してもらっているからだ。俺はリボルバーで前後を攻撃できるから。ロゼが最後尾なのは『石壁』で後方からの挟撃を防げるからだ。
こうしてグレイがモンスターを感知して、単体なら倒していき、複数出た時はそれぞれカバーしながら倒して、レンの指示の元、時折休憩を挟みながら2層を進む。
幸い特殊モンスターとも出会わず、モンスターから出た核石でそれなりの金にはなりそうだ。
そして遂に――。
「……此処が終着よ」
2層の終わりに着いた。
3層の入り口は2層と同じように横穴を下っていくようだ。
「少し休憩してから行きましょう」
誰も異論はなく、横穴の横でそれぞれ食事を摂る。
「しかし…この飯美味くねーな」
ロゼがビスケット状の保存食と干し肉を食べながら言う。
「そうね…でも栄養はあるわよ。栄養だけは」
レンも栄養だけはあると強調しながらも、否定はしなかった。
「…暖かいご飯が食べたい」
「言うな…」
俺の呟きにロゼが反応する。
本当、ダンジョン飯事情はどうにかならんかね。
「レンさんの『収納』で食材を入れて運べないですか? そしたらバンが作ってくれるのに」
俺はシェフじゃあないぞ。
「無理よ。食材が腐るし、嵩張るわ。『収納』も万能じゃないの」
「残念です」
そうか、レンの『収納』はファンタジー定番の時間停止系じゃないんだな。容量も背嚢に依存するって言ってたし。
「ほら、そろそろ食事を終えていくわよ」
「へーい」
俺は返事をしながら保存食を水で流し込み立ち上がる。
各々準備も終えて、いよいよ3層に挑戦だ。
「ここからは私も始めての領域よ。皆、準備はいい?」
「おう」
「ああ」
「はい」
「ワン!」
「それじゃあ――行くわよ!」
こうして俺達は3層に続く横穴に足を踏み入れた。
「ここが3層……」
3層は今までの1、2層と違い、洞窟型ではなくて……森林だった。
でかい木々が何本も聳え立ち、行く手を遮っている。
しかも……。
「なあ、何で地下なのに空があるんだ?」
「知らんがな」
そう、ダンジョンの地下なのに上は天井ではなく、雲ひとつない青空が広がって太陽まである。
「……でも、月はないな」
空と太陽はあるが、昼でも良く見える3つの月が何処のもない。
明らかにここはダンジョンなのだろう。
「色々言いたいことも分かるけど…行きましょう」
「あ、ああ…」
呆然と3層の大自然をみていたら、レンの言葉に我に返る。
こうして3層の探索を始めた。
3層を歩くが、気になることがある。
「森林なのに、鳥どころか虫もいないな」
そう、森林なのに生命の気配を感じない。
かろうじて道があるが、木と草があるだけだ。
「ダンジョンなんだし、そんなもんじゃないか?」
「まあ、そうなんだが……」
ダンジョンだからと言われたら、そう納得するしかない。
益々ダンジョンについての謎が深まっていく。
と言っても、俺には攻略する以外道がない。記憶も戻したいし。
とりあえず、ダンジョンの謎は置いといて、攻略に集中しよう。
「グルルルルッ!」
その時、先頭にいたグレイがうねり声を上げる。
「……」
俺たちはそれぞれ武器を持ち構えた。
そして現れたのは、2mを超える大型のモンスターだ。
まるで鬼、そう思わせる第一印象だった。
やはり外見は影法師のようで、顔の輪郭は光る目と口だけ。額には大きな角が2本。武器は持っておらず、大きな体格が特徴だ。
モンスターが突進してくる。
咄嗟にロゼが『石壁』で防ぐが、容易く破壊された。
「ワゥッ!」
グレイが素早く抜刀、柄を口に咥えてモンスターに突進する。
だが見た目と違い、素早い動きでモンスターが避ける。
「ワフ!」
だがグレイは、動きを予期して反転。首を振るいモンスターの腕を切り落とす。
「GYAAAA!」
バンバンバンッ!
悲鳴を上げるモンスターの顔に弾丸を撃ち込み、モンスターは黒い霧になって消えた。
「ワフ」
グレイがモンスターが落とした核石を拾って戻ってくる。
「ご苦労さん」
「ワン!」
俺は核石を貰い、グレイの頭を撫でた。
核石は1、2層の物と違い、拳大の青い水晶だった。
「このレベルのモンスターがうようよ出るのか…」
「そうね…気を引き締めて行かないと」
こうして、3層の洗礼を受けて、俺たちはいっそう気を引き締めて歩き始めた。
次回あ「3層②」




