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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
2章 ダンジョン都市と仲間
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14話 ブレイドガル

「……話は分かったわ」


 グレイを飼うことになった経緯を説明し終えると、レンが疲れた様子を見せてため息をつく。


「で、バン。 ブレイドガルについて知ってる?」

「知ってるも何も……犬?」

「犬じゃない!」


 レンに怒鳴られた。


「ブレイドガルっていったら御伽噺にも出てくるような動物よ!」


 え、そうなの?


「みんな知ってた?」

「ううん」

「私も知りません」


 カナもアウルムも知らなかった。


「その御伽噺マイナーなんじゃない?」

「う……そ、そんなことないわよ!」


 レンがうろたえながら反論するが、


「オレ達の地方の話だな」

「ちょっとロゼ!?」


 やっぱりマイナー、というかローカルな話だった。


「どんな話なの?」

「そうだな……」


 ロゼの話によると、ダンジョンからあふれ出たモンスターが村を襲い、ブレイドガルが逃げる村の少年を助けた。

 剣を使うブレイドガルは少年に剣を教え、成長した少年がブレイドガルと一緒にモンスターを倒して故郷を取り戻し、やがてダンジョンを攻略して一国の王になったと言う話らしい。


「孤児院ではこの話で冒険者を目指す子供も多いぞ」

「へー」

「しかもブレイドガルの目撃情報もないから憧れる者も多いんだ」


 そう言ってロゼもキラキラした目線をグレイに向ける。


「なあ、触っていいか?」

「グレイに聞いたら? 言葉分かるみたいだし」

「さすがブレイドガルだ……触っていいか?」

「ワン!」


 グレイが「どうぞ」と言わんばかりに頭を差し出す。


「では……」


 ――モフモフ


「はあ~」


 グレイに触れて恍惚の顔をするロゼ。普段クールビューティなんだが、珍しいものが見れた。


「じゃあ私もいいですか?」

「ワン!」


 グレイの許可をもらい背中を撫でるアウルム。


「あ~。この毛並み最高です……」


 アウルムもグレイの毛並みの虜になったらしい。


「ずるい! 私も!」


 レンもグレイを撫でようと手を伸ばすが――。


 ――ぺシン


「……え?」


 伸ばした手を前足で払われて呆然とするレン。


「ガウ!」


 さらに威嚇までされた。


「も、もう一度――」


 ――ぺシン


 やっぱり拒絶された。


「勝手に触ろうとしたからじゃない?」

「そ、そうね……触ってもいいかしら?」


 カナの助言でグレイに頼むレン。


 だが――。


「ガウ!」


 一吼えして、首を横に振った。


 グレイの中で、なんか格付けされたみたいだ。


「なんでよー!?」


 レンの悲鳴が厩舎に響き渡ったのだった。




「所でグレイはどうするんだ?」


 厩舎で落ち込むレンを慰める等一悶着あったが、とりあえずグレイの事について話し合う。


「俺はカナの護衛を頼もうと思っている。カナに懐いてるし、子鬼も瞬殺だった」

「マジか……それなら心強い」

「そうね。私たちがダンジョン探索している間にカナちゃんもワーカーの仕事が出来るわね」

「そうですね、私も賛成です。カナちゃんを1人にしておけないですし」


 全員の賛同を得られたことで、カナに提案する。


「と、言う訳で、カナの護衛にどうだ?」

「ん」

「ワフー」


 カナは了承したが、グレイは不満そうに一鳴き。


「護衛は嫌なのか?」

「ワンワン!」


 首を横に振る。カナの護衛はいいようだ。


「ガウ!」


 すると、俺に近づき短剣を前足で掻く。


「……もしかして、剣が欲しいのか?」

「ワン!」


 どうやら正解らしい。


「剣をどうやって使うんだ?」

「咥えて振り回していたぞ」


 ロゼの質問に見た光景を伝える。


「なるほど……御伽噺もあながち嘘ではなかったと言う事か」

「それじゃあ、明日買いにいくか」

「ワン!」


 グレイも嬉しそうに尻尾をブンブン振る。


「武器屋に当てはあるのか? なんなら案内するが」

「大丈夫。心当たりがあるから」


 はぁ……あんまり行きたくないけどな。


 ◇


 と言う訳で、翌日やって来たのが以前防具を買った『ロガーティア武具店』。武器の卸売りをやっている店だ。


「おや、いらっしゃい。待っておったぞ」


 俺とカナ、グレイを出迎えたのは、いつものバニーガールに白衣を着た500歳超えの男の娘エルフ。ロガーティアことティアだ。


「待ってたって……なんで?」

「ワシ、寂しかった」


 そう言って俺に擦り寄り、胸を人差し指でツーと撫でる。


 瞬間、背筋に悪寒が走った。


「やめて! 俺にそっちの気はないの!」

「つれないのぅ。……まあよい。今日はどうしたんじゃ?」

「この犬の剣が欲しくて」

「犬?」


 ティアは暢気に欠伸をしているグレイを見る。


「……なるほど。ブレイドガルか。久しぶりに見たのぅ」

「知っていたのか」

「うむ。これでもあちこち旅をしていた時期があっての。その時知ったんじゃ」


 流石500歳越えのエルフ。色々知ってそうだ。


「剣ならこっちじゃ」


 案内された剣が飾られた一角は様々な剣が置かれていた。


「好きに触ってよいぞ。試し切りしたい時は一言言ってくれ」

「分かった」

「それじゃあ、カナとブレイドガルに任せてワシ等はベッドでしっぽりと――」

「しないから」

「ちぇ」


 口を尖らせてその場を離れるティアをよそにグレイが剣を選ぶ。


「ワン!」

「これを取ればいいのか?」

「ワン!」


 そうしてグレイが選んだのが、幅広の歪曲した片刃の片手剣だ。


 長さは70cmぐらいか、見た目カトラスに似ている。


「ワフ」


 グレイが剣を咥えて縦に横にと振り回す。


「ワン!」


 剣を床に置き一吼え。どうやら気に入ったらしい。


「試し切りするか?」

「ワン!」

「分かった。ティアを呼んでくる」


 ティアを呼んで試し切りをしたいと伝えると。店の奥の広い場所に案内された。


「これでどうじゃ?」


 広い場所の真ん中に藁で包まれた丸太が用意された。丸太の太さは人間の胴と同じ位だ。


「試し切りにはちょうどよかろう?」

「だな……いけるか?」

「ワフ!」


 グレイが剣の柄を咥えて構える。


「ガウッ!」


 一瞬で間を詰め、眼に留まらぬ速さで丸太を横切ったと思ったら、丸太は十字に切断されてカランと床に落ちた。


「「おー!」」

「ブレイドガルならこの程度簡単じゃろ。剣も業物じゃし」

「ワフ!」


 俺達の喝采に照れた様子でお座りをして頭を前足で掻くグレイ。


「この剣でいいか?」

「ワン!」


 この剣に決めたみたいだ。


「この剣買うよ」

「毎度! 金貨50枚じゃ」


 それなりの値段だが業物と言っていたし、カナとグレイの安全には変えられない。


「支払いは前回と同じで。あと、剣を差すベルトが欲しいんだけど」

「ブレイドガル用にかえ? 付けれなくは無いのあるが……どうやって抜き差しするんじゃ?」

「……あ」


 そうだな。どうしよう。カナが持ち運ぶ訳にはいかないし。


「ワン!」


 グレイが「まかせろ!」と一吼え。


「……方法があるんだな?」

「ワン!」


 ……よし、やってみよう。


「……何でバンはブレイドガルの言いたいことが分かるんじゃ?」

「さあ?」




「また待っとるぞー!」


 買い物を終え、ティアの見送り受けて店から出る。


「グレイ、良かったね」

「ワン!」


 グレイは背中にベルトを巻き、剣を固定している。


 どうやって剣を抜くかと言うと、前足に付いた腕輪にある。


 腕輪には核石か付いており、『念動』の回路を刻んである。これを使って抜き差しする算段だ。


 実際この腕輪はティアが作ったがいいが、対象が一つだけで範囲も非常に狭いことから使い道がなく失敗作の烙印が押されていたらしい。


 こんな使い方があるなんてとティアは驚いていたな。


 ちなみに、「なんでブレイドガルが核石を使えるんじゃ!?」と問い詰められたが、知らん。


「まあ、これからよろしくな。カナを頼んだぞ」

「ワン!」

「グレイは私が世話するの!」

「ははは」


 こうして新たな仲間が1匹パーティーに加わった。

次回「拠点」

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