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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
2章 ダンジョン都市と仲間
20/97

13話 犬?

 翌朝。


 今日はアウルムの体調も万全でなく、全員大なり小なり疲労もあったのでダンジョン探索は休みだ。


「バン! 早くー!」

「はいはい」


 そこで、比較的疲れのない俺はカナのワーカーの採取依頼に付いて行き、街外れの森に来ていた。


 カナの服装はココ村で買った長袖シャツにズボン。背中にこの前買ったスコップの入った大きなカゴを背負って、俺はいつもの探索服にズタ袋を持っている。


 この森は比較的安全で危険な獣も出ない為、カナの護衛は俺1人で十分。なので他のメンバーは協会で戦利品の査定をして貰っている。


 昨日カナに見て貰った大斧は頑丈が売りで、振るったら衝撃波を放つらしい。


 しかし、あのサイズに見合った重量があるので誰も使えず、結局協会に査定に出す事になった。


 高値で売れるといいが。


 ちなみに採取依頼と言っても、今日は採取がてらピクニックの予定だ。ズタ袋には弁当と水筒が入っている。


「カゴ持とうか?」

「いい。私の仕事」


 こう言うがカナは拒否する。仕事に熱心だ。


 こういった仕事もカナの将来には役に立つだろう。出来るだけ見守ろう。


「こっち」


 カナが『千里眼』で何か見つけたらしい。森の奥に入るカナの後に続く。


 少し歩くと開けた場所にでて、一面地面が草で覆われた場所に出た。


「こうやってこの草を採って」


 カナがスコップで草の周りを掘り、根本から採った草を見せて言う。


 見た目雑草にしか見えないが、これが回復薬の材料になるのか。


「こことあそこの一帯は毒草だから採っちゃ駄目」


 ……見た目の違いが分からん。


 ここはカナの言う通りにしよう。


「あと、薬草は全部採っちゃ駄目。採れなくなるから」

「分かった」


 カナと分散して薬草を採っていく。


 根本から採取するのが依頼だ。根の部分も薬の材料になるらしい。


 こうしてカナと採りすぎない程度に採取して、カゴが半分位になった時には時計が昼を指していた。


「カナ、昼ご飯にしよう!」

「うん!」


 採取もひと段落したので、ズタ袋からシートを出して広げる。


 シートの上に一抱えある大きな弁当箱を広げて蓋を開けると、様々な具が挟まれたサンドイッチと、色取り取りのおかずがぎっしり詰まっていた。


「美味しそうだね」

「ああ。さすがカンナさんの料理だ」


 実はこの弁当、『日溜まり亭』の女将に頼んで作ってくれたものだ。


 弁当も金さえ払えば作ってくれるので頼んでおいた。


「「いただきます」」


 2人手を合わせてから食べる。この習慣は何処もないらしいが、食物と作った人に感謝をする行為だと言ったら、カナも真似してする様になった。


「モグモグモグ」

「うん、美味いな」


 流石女将さんだ。冷めても美味い。カナも一心不乱に食べている。


 ーーガサガサ


 俺達が静かに飯を食べていると、不意に奥の茂みが動く音が聞こえた。


「……」


俺は食べる手を止め、カナに静かにして動かない様にジェスチャーをして、ホルスターから銃を抜く。


 茂みの音が大きく近づいてきて、姿を表したのは――


「……犬?」


 見た目、灰色と白の毛並みのシベリアンハスキーに似ている大型犬だった。


 犬は腹が減っているのか、鼻をひくつかせながら俺達――正確には弁当にゆっくり近づいてくる。


 さて、どうしたもんか。


「……わんわん」


 考えてるとカナがご飯を持って犬に近づこうとしていた。


「おい、カナ!」


 害はなさそうだが、危ないかもしれない。


「だいじょうぶ。危なくない」


 呼び止めたが、『千里眼』で見たのか危険はないと言って犬の頭を撫でた。


「ワン!」


 犬も敵意がないのを言う様に、その場でお座りをして撫でられるがままだ。


 取り敢えず危険は無さそうだし、警戒を解いてリボルバーをホルスターに収める。


「たべる?」

「ワン!」


 カナが弁当からスペアリブを出して渡すと、犬は尻尾を振って喜んで食べた。


「いいこ」

「ワフー」


 食べ終えて犬は満足そうにして横になり腹を見せた。


 カナはわしゃわしゃと腹を撫でて、犬はくすぐったそうに身じろぎしている。


「カナに懐いたみたいだな」

「そうかな?」

「ワン!」


 俺の言葉に同意したかのように鳴く犬。まるで言葉が分かるみたいだ。


「家族はいないの?」

「クゥーン」


 犬は起き上がり、悲しそうに首を横に振る。


「一緒にいてくれる人は?」

「クゥーン」


 これも首を横に振った。


「……バン」


 カナが眼を潤せながら俺の眼を見てくる。


 言われなくても分かる。飼いたいのだろう。


 と言われてもな。


「クゥーン」

「う・・・」


 犬もカナを真似して同じ眼をして見てきやがった。


「……あーもう分かった! ただし、『日溜まり亭』の人がいいって言ったらな」

「……ダメだったら?」

「そん時はそん時考える」

「ありがと!」

「ワン!」

「ただし、ちゃんと世話しろよ。俺もするから」

「ん!」

「ワンワン!」


 犬は「お世話になります」と言うように頭を下げた。


 やっぱ、言葉わかってんじゃないのか? 賢いの域を超えてるぞ。


「じゃあ、名前つける」

「そうだな……所で、オスとメスどっちなんだ?」

「確かめる」


 言ってカナが犬の尻尾を持ち上げた。


「キャインッ!」

「オスだった」


 犬が恥ずかしそうに前足を眼で覆ったのを気にせずに言った。


「クゥーン」


 犬が「あんまりだ」と言わんばかりに鳴いた。


「……かわいそうに」

「じゃあ、名前」

「あ、ああ」


 犬には悪いが、気にせず名前を考える。


 んー……見た目ハスキーだからなぁ。


「……ハスなんてどうだ?」

「クゥーン」


 犬は嫌そうに首を振った。


 ……嫌か。


「……グレイは?」

「ワン!」


 カナの名前はお気に召したらしい。


「じゃあグレイ。よろしく」

「ワン!」


 こうして、犬の名前がグレイに決まった。


「……ちなみに名前の由来は?」

「毛色」

「……なるほど」


 グレイには黙っておこう。


「さて、飯の続きをしようか」

「ん」

「ワン!」


 こうして2人と1匹で食事を済ませて片付けをしている時。


「グルルルル!」


 突如グレイが木々の間を見て唸り声を上げた。


「どうしたの?」

「ガウッ!」


 カナが近づくが、グレイはまるでカナを守る様に前に立ち動かない。


「――何かいるのか!? カナ!」

「ん!」


 カナの『千里眼』でグレイが警戒する方を見てもらう。


「まだ遠いけど、子鬼が5体いる!」

「子鬼?」

「人を襲う小さな鬼! 角生やして武器持ってる!」


 ……なるほど。RPGで言う所のゴブリンみたいなもんか。


「逃げるか!?」

「もう無理! そこまで来ている!」

「ちっ!」


 俺はリボルバーを抜いて構える。


「ガウ!」

「なっ!?」


 するとグレイが俺に飛びつき、俺の腰――性格にはガンベルトに噛み付く。


「何を!?」

「わふ」


 いつの間にか、口には短剣の柄を咥えて、「借りるぜ」と言った視線を向けた後、子鬼が来るであろう方向に走り出す。


「ギャギャギャッ!」


 その時、子鬼たちが木々の間を通り抜け、こちらに走り出した。


 大きさはカナと同じ位で、肌は青く、醜悪な顔は鼻が長く額には小さな角が2本生え、異様に膨らんだ腹には毛皮の腰巻が巻かれて、手にはボロボロの剣や棍棒を持っている。


「カナ伏せてろ!」


 バンバンッ!


 「ギャ!?」


 近づく子鬼を撃ち、腹を押さえて倒れる子鬼。


「ワゥ!」


 グレイはなんと、咥えた短剣を巧みに使い、素早い動きで子鬼を翻弄し、喉を切り裂く。


「あいつほんとに犬かよ!?」


 グレイに謎を持ちながらも、俺も負けじと子鬼達に向けて発砲する。


 こうして俺とグレイで、子鬼達はあっという間に討伐を終えた。




「ふー」


 子鬼退治を終えて、子鬼の角を獲ってから一息つく。


 カナによると、角は薬の材料になるらしい。協会で買い取れないか聞いてみよう。


「ワン!」


 グレイが短剣を地面に置いて俺に返しにきた。


「……お前、本当に犬か?」

「わふ?」


 「なんのこと?」と言わんばかりに首を傾げやがって。


「なあカナ、グレイについて何か分かるか?」

「んー……種族はブレイドガルみたい」

「ブレイドガル?」


 つまり、唯の犬ではないと。


「でも、グレイはグレイだし」

「ワン!」


 グレイもカナによほど懐いたのか擦り寄っている。


「はぁー……もういいや」


 危険もないし、飼うって決めたからには責任をもたないと。


「薬草もあらかた採ったし、なんか疲れたし、帰るか」

「ん」

「ワン」


 薬草採取を終えて、俺達は街に帰還する事にした。


 ◇


 街に戻り、協会で採取依頼完了の報告と納品をした後、『日溜まり亭』に戻り女将にグレイの事を聞いた所、


「宿の横に厩舎があるから、そこならいいよ」


 との事だったので、グレイの寝床は厩舎に決まった。(勿論使用料も取られたが)


「グレイ。ここがおうち」

「ワン!」


 厩舎の一角はグレイは気に入ったらしく、藁が敷き詰められた空間に腹ばいになり背中を擦りつけていた。


「あとで晩御飯持ってくるから」

「ワン!」


 カナと厩舎を出た時。


「「「あ」」」


 レン達と鉢合わせした。


 買い物の帰りか、レンは黄色のワンピース、ロゼは青いパンクファッション風、アウルムは白シャツにズボンとそれぞれラフな格好をして紙袋を持っていた。


「買い物帰り? 査定はどうだった?」

「聞いてよバン! あの斧金貨800枚で売れたわ!」

「それはすごい!」


 レンが興奮気味で報告してくれた。思ったよりも高額で売れたな。


「金貨800枚だけど、ちょっと考えていることがあるの。分配は待ってくれない?」

「それはいいけど……」


 そんな大金、何に使うんだろう?


「核石もそれなりに売れたし、報酬は期待しててね!」

「ああ、それで買い物に?」

「はい。私達は協会で査定した後、必要物資とそれぞれの買い物をしていたんです」


 なるほど、年頃の女性達だ。ショッピングもしたいだろう。


「所で、バンとカナは厩舎の前でなにしてんだ?」


 ロゼがおもむろに聞いてきた。


 ある意味丁度いい機会だ。全員に紹介しておこう。


「ちょっと来てくれ」


 レン達を厩舎の中に案内して、グレイを紹介する。


「この犬はグレイ。ブレイドガルと言う種族らしい。飼うことになったからよろしく」

「ワン!」


 グレイも「よろしく」と言う感じで一鳴きし、頭を下げる。


「わあ、かわいいですね!」

「「……」」


 アウルムの反応と違い、2人は呆気にとられた様子でグレイを見ていた。

次回「ブレイドガル」

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