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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
2章 ダンジョン都市と仲間
19/97

12話 それぞれの事情

「ただいま」

「あ、おかえり」


 ダンジョンを出て、街に着いたときは夜の7時を回ってた。


 協会には明日行くことになり、宿に戻るとカナが長い金髪をポニーテールにしてエプロンを着け、配膳の手伝いをしていた。


「カナちゃん。ちょっといい?」


 ダンジョンでギフトの話を聞いて、早速レンがカナに言い寄る。


「なに?」


 カナが首を傾げて聞く。


「カナちゃん、ギフト持ってるのよね? 見て貰いたい物があるんだけど」

「ん、いいよ。今手伝っているから、ちょっと待ってて」


 宿も今夕食時間で忙しいのだろう。


「分かった。俺達は部屋にいるよ」

「晩御飯は?」

「カナと一緒に食べるから終わったら来てくれ」

「ん」

「あと、カナのギフトをみんなに言うけど、いい?」

「べつにいいよ」


 カナは手伝いに戻り、俺達は部屋に向かう。


「さて、説明してもらいましょうか」


 俺とカナの部屋に全員集まり、レンに話をする事になった。


「カナちゃんのギフトだけど、どんなの?」

「カナのギフトは『千里眼』だ。遠くを見る事ができ、自分の見える範囲内なら何があり、どんなものか、危険なのかが分かるらしい」


 俺は包み隠さずカナのギフトの詳細を言う。


「え、なにそのギフト」


 聞いていたレン達は何故かドン引きしていた。


「何その反応」

「いや、そのギフト……どう考えてもおかしいじゃない!」


 おかしいって……。


「その評価酷くない?」

「強すぎておかしいって意味よ!」

「ああ。パーティーの中で一番強いぞ」

「私は『鑑定』のギフトに近いものと思っていましたが……そこまでとは」


 レンに続いてロゼとアウルムまで言ってくる。


「そんなに?」


 強いといってもピンと来ない。


「あのねぇ…よく考えなさいよ。あの子1人で戦闘以外全部出来るわよ」


 ……え?


「ああ。情報収集、索敵、採取、罠解除、戦闘補助、すぐに出るのでもこれだけある。他にも考えれば色々出るだろう」

「相手の弱点も分りますね。ギフトも見られましたし」


 ……もしかして、ヤバイ?


「ヘタすれば、あの子1人を巡ってが争いが起きてもおかしくないぞ」

「そこまで!?」

「と言っても冒険者間でだけどね。それだけのギフトって事よ」


 ……聞かなきゃよかった。


「カナちゃんのギフトを知っているのは?」

「他にいないけど」

「なら他言無用で。みんないいわね」

「「「はい」」」

 

 まさかここまで大事になるとは……。


「……そういえば、バンはどうやってカナちゃんと出会ったの? 兄妹じゃないでしょ?」


 やっぱり兄妹じゃないってばれてたか。


「んー……森で出会った」

「はい?」


 そういえば、個人的な事喋ったことなかったな。


「丁度いい機会だ。俺達の事を語るよ」


 俺は『フォルト』に来るまでの出来事を話した。


 記憶喪失で森にいた事。そこでカナに出会いバンと名づけられたこと。ダンジョンの話を聞きここまで旅をしてきた事等全部だ。


 俺が異世界から来た件は頭を疑われそうなので黙っていたが。


「ちなみにカナの事はほとんど知らない。聞いて欲しくなさそうだし、本人が話したくなるまで待つ約束をしている。だけど放り出すつもりも勿論ないし、家族の様に思っている」


 これで俺の話は終わった。


「そう……なんと言うか……大変だったのね」

「ここまでよくやってこれたな……」

「しかも、ここまでの出来事がたったの10日間であっていたなんて」


 話を聞いた3人から、同情の視線が集まる。


 別にそこまで苦労はしていないけど。


「それでダンジョンに潜る理由は……」

「俺の記憶を取り戻すためだ。ダンジョンを攻略したら願いが叶うって聞いたし」


 たとえその話が。か細い糸の様に望み薄だとしても俺にはそれに縋るしかない。


「なるほどね……事情は分かったわ」


 一通りの話を終えてレンは納得し、俺も一息つく。


「ならオレ達もダンジョンに挑む理由を言おう」


 唐突にロゼが自分の話しを語ろうした。


「ロゼ?」

「バンとカナの話だけ聞くのも不公平だろう?」

「……そうね」


 レンが考え込み、悩んだ末にロゼに同意した。


 そしてレンが話し始める。


「私とロゼは幼馴染って前に言ったけど、実は同じ孤児院で育ったのよ。それで孤児院を出て経営を助ける為に冒険者になるのが1番稼げるから冒険者になったのよ」

「孤児院はオレ達がいた頃からいつも貧乏だ。だから少しでもマシになる様に仕送りをしている……幸いギフトもあったしな」


 レンとロゼは故郷の孤児院の為か……苦労してるんだな。


「次は私ですね」


 今度はアウルムが口にだす。


「私は村を追い出されて、生きて行く為に冒険者になりました」


 ……こっちもかなり重い話になってきた。


「私の村は『フォルト』近くの小さな村ですが、両親が事故で亡くなり、親戚に家を盗られてしまった挙句、ギフトが使えない役立たずと言われ追い出されました」

「ちょっと待って、ギフトが使えるのは10人に1人の確率だろ? それを使えないからって……」

「……その親戚が『ギフト教』の信者だったんです」


 ギフト教か。聞いた通り、やっぱりロクでない宗教だな。


「それで冒険者か」

「ええ、農家だった私が他にできそうな事もなかったですし……」


 アウルムが話を終えて、一同シーンと静まり返る。


「なんと言うか……全員苦労してんだな」

「そうね……」


 うんうんと全員して頷く。


「で、事情を聞いてどうするんだ?」

「どうするって?」


 ロゼの質問にレンが聞き返す。


「聞くとバンと俺達はダンジョンを探索する理由が違う。バンはダンジョンを攻略する為、オレ達は稼ぐためだ」

「……それが?」

「察しが悪いな……バンはオレ達との目的が違う」

「……ああ、私達の今後の目標ね」

「そうだ。オレ達は稼げればいいから深層に挑む理由がないが、バンは違う」

「そうね……みんなはどうしたい?」


 レンが皆に今後の指針を聞く。


「バンはダンジョンの攻略を目指すのよね」

「ああ」


 そこを譲る気はない。


「それなら、私はバンに付き合うわ」


 レンは俺につくと決めた。


「……いいのか?」

「ええ。深層の方が稼ぎもいいし、私を見下して追放した奴らに一泡吹かせたいしね……それに、このパーティーなら攻略出来ると信じてるわ」


 出会って日は浅いが、実にレンらしい理由だな。


「ならオレもバンと行こう」


 レンに続き、ロゼも俺と行くと決めた。


「ここまで一緒に来たんだ。一蓮托生ってやつだ……それに、バンの事は気に入っているからな」


 最後の方が小さくて聞こえなかったが、ロゼの事だ。レンを気にかけてくれたんだろう。


「あと、アウルムだけど……」


 3人の視線がアウルムに集まる。


「わ、私は……着いて行きます! お願いします!」


 そう言ってアウルムは頭を下げた。


「私も攻略して、稼いで有名になって、故郷の家を取り戻したい! 親戚に一泡吹かせたいです!」


 これで全員の意思が決まった。


「決まりね。それじゃあ私達の目標はダンジョンの攻略を目指すわよ!」

「「「おおー!」」」


 こうして、俺達のダンジョン攻略について話し合おうとした時ーー。


「みんな、ご飯」


 カナが扉を開けてご飯の連絡に来た。


「……ご飯食べに行きましょうか」

「……だな」

「?」


 なんでもないよ。と、カナの頭を撫でながら俺達は食堂に向かった。


 なんとも締まらないなぁ。

次回「犬?」

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