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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
2章 ダンジョン都市と仲間
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8話 パーティー

 翌朝。


 今日はダンジョンを探索することにした。


 新しい防具を身に纏い、ガンベルトを巻く。


 昨日は防具を買った後ゆっくり過ごしたおかげで疲労も抜けきって気力も十分だ。


 荷物と装備を確認して宿を出て、街道を進みダンジョンに向かう。


 街道を進み砦に向かうと、正門には長い列が出来ていた。


 今日は冒険者が多いな。前回来た時はそこまで多くなかったのに。


 俺も列に並んで待っていると、前に並んでいた冒険者達の会話が聞こえた。


 聞き耳を立てると、『メキド』ダンジョンは7層までしか攻略されていなかったが、先日8層への道が発見され、今日から『白薔薇』と『明けの明星』が競い合う様にダンジョンに遠征する。だからこんなに人が多いらしい。


「へー、『飛脚』はどうすんの?」

「あそこはいつも通り、漁夫の利狙いだろうよ」

「あー、後に付いて情報収集か」


 ダンジョンの遠征ね。ベアトリクス達も行くんだろうか? もしかしたらダンジョンで会えるかもな。


 そんな話を聴きながら列は進み、やっと正門の番兵に会員証を見せ、中に入る事が出来た。


 ダンジョン入口周囲は人で賑わっており、装備を整えている人、パーティーを募集をする人、商売をしている人までいる。


 露天商を見回っていると回復薬や保存食等が売られている。


「いらっしゃい! 寄っていってよ!」


 ある店をみると地図を売り込んでいた。


「2層から5層までの地図があるよ! 『飛脚』が作成したもんだ!」


 店の布製の屋根には、三本足の鞄を持った白い鳥が描かれていた。あれが『飛脚』のエンブレムらしい。


 地図か。前回探索したときは一本道だったから最後に見た横穴が2層の入り口なんだろう。で、2層から地図が必要になると。


 まだ地図はいいや。前回のことを考えるとまだ1層で活動しよう。


 そう思い、屋台を一通り見て回り、特に欲しいのは無かったのでダンジョンの入り口に向かう途中、


「ちょっといい?」


 肩をポンポン叩かれて呼び止められ、振り向くと2人組の女性がいた。


 1人は長身の女性で、ショートカットの銀髪のメッシュが入った青紫の髪に気だるそうな目つきの黒目。軽装の金属鎧にヒールの高いブーツを履き、女性の身長より長い十字槍を持っている。


 もう1人は俺と同じくらいの身長で肩まで届くウェーブの茶髪に青目。足元まで覆うほどの長いローブにクロスボウを持ち、女性よりデカい背嚢を背負っていた。


「ええと、何か用ですか?」

「あなた1人で探索? 私達と今日パーティーを組まない?」


 背嚢を背負った女性が俺にパーティーの勧誘をしてきた。


「俺とですか?」

「そうよ」

「でも俺、これで探索2回目だし1層しか探索してないですよ? 他を当たった方が良くないですか?」

「1回入ってるなら大丈夫よ。それにあなたの実力はベアトリクスさんの戦いを見て知ってるし」


 ああ、この人達試験を観覧場で見ていたのか。


「それでどう? 1人で探索するよりましでしょ?」


 確かに、1人よりパーティー組んだほうがいいが……。


「パーティーを組む以前に、貴女達の事を知らないんですが」

「あ、そうね。ごめんなさい。私はレン。荷物持ちよ」

「ロゼ。見ての通り槍使い……よろしく」

「バンです」

「お互い冒険者だから敬語はいいよね」

「ああ」

「私達は4人で活動していたけど2人来れなくなってね。でも2人じゃ心許ないからどうしようと悩んだ時にバンを見かけたの」

「はあ」

「それでどう? パーティーを組まない?」


 レンが詰め寄って聞いてくる。


「オレからも頼む」


 ロゼもレンの横に並んで頼んできた。


「質問いいか?」


 詰め寄られたが、とりあえず俺も聞きたいことがある。


「なにかしら」

「2人の事は分かったけど、実力を知らない」

「そうよね。経歴で言うと冒険者になって半年よ。ちなみに2人ともギフト持ち」


 たいしたギフトじゃないけどね。レンは言ってたが、冒険者暦半年でギフト持ちか。


「ギフトの能力を聞いても?」

「パーティーを組んでくれたら教えてあげる」


 まあそうだよな。簡単に自分達の情報を教えないか。


 パーティーか……いつか組むかもしれないし、今のうちに慣れたほうがいいな。


「パーティーを組むのはいいけど、1層を探索するつもりだったが」

「なら、私達も今回は1層を探索しましょう…ロゼもいいわよね」

「……ああ」

「なら、よろしく」


 二人の承諾もとれたので。パーティーを組むことにした。


 ◇


 パーティーを組んでダンジョンに入る。


 相談した結果、前にロゼ、真ん中にレン、後ろに俺の編成だ。


「2人は何層まで探索したんだ?」


 ダンジョンに入ってすぐ、警戒しながらもレンに聞いてみた。


「私達は2層まで攻略済。今回は本当は3層に挑戦するつもりだったの」

「へー。2層ってどんな?」


 今後行く場所だから情報はできるだけ欲しい。


「2層は1層と同じ洞窟型よ。でも入り組んでいて迷路みたいになっているの」


 やっぱり。じゃあ入り口で売っていた地図を買ったほうがいいかもな。


「出て来るモンスターは?」

「1層と同じ人型の小型と、大型のモンスターが出るわ」

「大型?」

「大きさは人より少し大きいし、素早いし腕力も強いわよ」


 そんな会話をしながらしばらく歩くが、モンスターと遭遇しないな。


「これはアレね」

「アレだな」

「アレってなに?」

「ほら、今『白薔薇』と『明けの明星』が遠征してるでしょ? モンスターを倒して進んでるから再出現するのに時間が掛かるのよ」


 困ったわね。と言いながらレンが説明してくれた。


「どうする? 今日は帰るか?」

「……もう少し進みましょう」


 俺が提案するが、レンは先に進むと言った。


「分かった」


 俺も反対する理由もないので案に乗る。


「……言ってる間に来た」


 前方にいたロゼが槍を構える。


 すると影から、剣を持ったモンスターが出てきた。


「任せろ!」


 ロゼが言うと走りだし、一気に間合いを詰め横薙ぎの一閃。


 モンスターは黒い霧になり、核石を残して消えた。


 あの身のこなしに一撃か。実力は確かだ。


「まだ来るぞ!」


 ロゼが警告する。剣と斧を持ったモンスターが大量に出現した。


 それだけじゃない。


「後ろからもきたわ!」


 前からだけでなく後ろから何体も湧いて出てくる。


「囲まれた!」

「2人ともオレの近くに!」


 ロゼが俺達を呼び寄せて地面に手を置くと、俺達の後ろの地面から数枚の石壁がせり上がった。


 大きさは人一人隠れれるくらい。広い洞窟ではモンスターの進行を防げないが、邪魔はできていた。


 これがロゼのギフト『石壁』か。


 石壁は頑丈で、モンスターが壊そうとするがびくともしない。


「バン! 援護を!」

「分かった!」


 バンバンバンバンバンバンバンバンッ!


 ロゼに当たらないようにモンスターを撃つ。モンスターはたちまち黒い霧になっていった。


「流石ね!」


「バンは後ろを! 私はロゼの援護をするわ」

「了解!」


 リロードしながらレンの指示を聞く。


 俺は後方の石壁を盾にしながらモンスターを撃つ。


 バンバンバンバンバンバンバンバンッ!


 シリンダー内の弾を撃ち尽くすが、まだモンスターが残っている。 


 リロードしようとするが、石壁の横からモンスターが3体縦に並んで目の前まで来た。


「ちっ」


 キンッ!


 モンスターの剣での攻撃をリボルバーで受け止め、短剣を抜きモンスターの首を切る。


 黒い霧になるモンスターの中に飛び込んでモンスターの胸をタックルしながら刺し、その勢いで抜けた短剣を最後の一体の脳天に刺した。


 本能なのか知能があるのか、石壁の向こうのモンスターが後ずさりする。


 その間に石壁に隠れてリロード。


 バンバンバンバンバンッ!


 これで後ろのモンスターは全部倒した。


「ふぅ」


 後のモンスターがいなくなったので一息つく。


「……そっちも終わったか」


 前のモンスターも倒し終わったみたいだな。石壁が崩れ、ロゼが話しかけた。


 2人とも怪我もしていないようだ。


「ああ。にしても一気に来たな」

「それだけ一気に倒されたんだろ。『白薔薇』も『明けの明星』も大所帯だ」


 なるほど。それで再出現も一気にきたのか。


「2人とも! しゃべってないで核石集めて!」

「ああ」

「すまん」


 レンに急かされるまま核石を回収。結構な数になったな。


「ちょっと待って」

 

 レンが背嚢を地面に置き、開ける。


 中を覗くと、中は空洞になって底が見えない。


「これが『収納』よ」


 『収納』。レンのギフトだ。


 持っている入れ物に付与して見た目以上に容量を増やせる。


 容量は入れ物が大きいほど多くなり、重さは変わらない。ただし、付与できるのは一つだけ。俺とロゼの荷物もレンの背嚢に入れてもらっている。


 核石を背嚢に入れて背負い、立ち上がる。


「行きましょう」


 その後俺達は休憩を挟みながら先に進みつづけた。


 モンスターと戦闘はあったが最初ほど大量に出てはこず、難なく倒し進み続け、1層の終わりについた。


「今日はここまでね」

「そうだな」


 レンとロゼは終わりと言うが、俺は気になることがあった。


「アイツがいないな」

「アイツ?」

「ああ。前回ここまで来たとき強い奴がいたんだ」

「……どんなの?」

「俺よりデカくて、腕が4本で黒い槍を持った奴」

「『死槍』と戦ったのか!?」


 ロゼは驚いていた。


「『死槍』?」

「『死槍』は1層で稀に出るモンスターよ」

「圧倒的な強さから初心者は必ず死ぬし、ベテランでも手こずるやつだ」


 そんなヤバイ奴だったのか。


「強いと分かっていたけど『死槍』に勝つなんて」

「さすがだな」

「運が良かっただけだ……帰ろう」


 俺は褒められて照れくさくなり、誤魔化す様に踵を返して来た道を戻る。


「ちょっと待ってよ!」

「置いていくな!」


 レンとロゼも慌てて俺の後に続いた。

次回「勧誘」

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