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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
2章 ダンジョン都市と仲間
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6話 ギルド

 宿を出て真っ直ぐ協会に向かう。


 カナは道中、心配そうに俺の後ろを歩いていたが人ごみが多くなり始めたので逸れないように手を繋いだ。


「あ……」

「逸れると大変だからな」

「……うん!」


 カナは安心したのか、手を握り返して横に並ぶ。


 蒸気バスに乗って協会に着き、中に入る。


 今日も冒険者がたくさんいるな。


 今日は朝から換金する冒険者はいないのか、換金所の方はがらんとしていた。


 換金所の受付カウンターに進み、受付の白髪と白髭の初老の男性に話しかける。


「査定をお願いしたいんですが」

「分かりました。会員証をお出しください」


 俺は首に掛けてる会員証を出して、受付に渡す。


「では、こちらに親指を」


 登録したときに使ったのと同じ様な金属板を出したので親指を置く。


 男性は金属盤に会員証を置くと、会員証の表面に文字が薄っすらと光った。


「……確認しました。バンさんですね。会員証をお返しします」


 返された会員証を見てもすでに光の文字は消えていた。あれで身分証明が出来たのだろう。会員証を首に掛け直す。


「査定の品は何になりますか?」

「核石と、遺物をお願いします」


 男性は遺物の言葉に一瞬ピクリと眉を動かしたが、顔に出さず手続きを進めていく。


「では、核石をお願いします。遺物は後ほどになります」


 俺は背嚢から核石の入った袋を出して男性に渡す。


「確認します……少々お待ちください」


 男性は核石を出して虫眼鏡で確認していく。


 その行動はスムーズで手慣れていた。


 少しして、


「確認しました。丙が43個、甲が1個で合計金貨2枚、銀貨5枚、大銅貨9枚になります」

「丙と甲ってなんですか?」

「核石の質とサイズで上から甲、乙、丙とランク分けされてます。この値段で大丈夫でしょうか?」


 相場が分からんし、協会を信じるしかないな。


「はい。大丈夫です」

「それではご確認ください」


 男性はカウンターに硬貨の山を載せる。


 俺は枚数を確認しながら財布に入れていく。


「……宜しければ、口座を作りませんか?」


 硬貨を袋に入れているのを見ていた男性が提案してきた。


「口座?」

「はい。協会は銀行も運営していますので。会員証があれば作れますよ」


 銀行か。確かに大量の硬貨を持ち運ぶのも面倒だし、盗まれるかも知れないな。


「それじゃあ、お願いします」

「分かりました。では受付の方にお願いします」


 男性は受付を別の人にお願いして俺達を連れて受付に向かった。


「では会員証をお願いします」


 受付に着き俺は再び会員証を渡すと、男性が箱型の機械に会員証を挿し入れる。


「これで手続きが完了しました。振込み、引き落としの際は受付に来てください」

「分かりました」


 会員証を返されて確認するが、見た目は変わってないな。


「遺物の方ですが、換金所の奥、2番と書かれた扉へ進まれてください」

「……この子も一緒で大丈夫ですか?」

「すみませんが、関係者だけでお願いします」

「そうですか…カナ、酒場で待っててくれ」

「ん」

「ではこちらへ」


 男性に言われるがまま換金所の奥に進み、2番と書かれた扉をノックする。


「どうぞ」


 扉の向こうから返事が聞こえたので扉を開けて部屋に入った。


 部屋は応接室の様で、3人は座れる長椅子が向かい合うように2つあり、重厚感のあるテーブルがあり、壁に花が描かれた額縁が飾ってあった。


 奥のソファーの横には30代程の長い茶髪を三つ編みにしている女性が立って待っていた。


「ようこそ、おかけください」


 女性に従って背嚢を下ろし、長椅子に座る。それを見て女性も対面の長椅子に座った。


「初めまして。今回の査定を行う鑑定士です。『鑑定』のギフトを持っています。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします……宜しければ『鑑定』について説明をお願いしたいのですが」

「分かりました。『鑑定』ギフトは簡単に言えば物の価値が分かるギフトです」


 物の価値か。カナの『千里眼』と違ってどんな物かは分からないみたいだな。


「今回は遺物の査定をされるそうで」

「はい」


 背嚢から槍を出し、元の長さに戻してテーブルの上に置く。


「拝見します」


 女性は槍を持ち隅々まで見定めている。


「この槍はどのような能力を?」

「さっき見せたように柄の長さを変えて、破損しても自動で修復します」

「なるほど。『鑑定』は価値は分かっても能力までは分かりませんから助かります。……この性能でしたら使いたい冒険者も多いでしょう。金貨500枚でどうでしょうか?」


 金貨500枚!? これなら装備を整えても暫く食っていける。


「お願いします」

「では取引成立で……お金は持ち帰られますか?」

「口座振込みでお願いします」

「分かりました」


 鑑定士は書類を出してペンで書き込んだ。


「ではこの書類を持って受付までお願いします」

「はい。ありがとうございました」


 鑑定士に礼を言って部屋を出る。


 受付で書類と会員証を渡して振込みを済ませて、カナの元に向かった。


 カナは酒場のカウンターでジュースを飲んで待っていた。


「どうだった?」

「核石はそこそこ。槍はなんと! 金貨500枚になった」

「おー!」


 カナがパチパチと拍手して喜んでくれた。


「さて、あとは装備を整えたいところだけど……」


 この街にきてまだ数日。当然土地勘もない。


 大通りに武器屋とかないもんかね?


「お、バンじゃねーか!」


 悩んでいるところに、聞き覚えのある声が聞こえた。


「あ、ベアトリクス」


 声のほうを振り向くと、登録試験で戦ったベアトリクスがいた。


「調子はどうよ」

「まあ、ぼちぼち……丁度よかった。実は装備を整えたくて、いい店知らない?」

「あー……知ってはいるが」

「教えてくれない?」

「まあ、いいけど……」


 なんか歯切れが悪いな。


「なんか問題が?」

「ああ実は……まあ、行けばわかるか。暇だし、案内してやるよ」

「おお、助かる」

「暇じゃない!!」


 ん?


「ベアトリクス! あんた今から依頼を受けるの忘れたの?!」


 大声を上げて近づく女性。


 歳は20代後半位の金髪碧眼に青い鎧を着込み腰に剣を差した凛々しい人だ。


 後ろにはそれぞれ大盾、弓、短剣を持った人達がいた。全員女性だった。


「知り合い?」

「ああ。こいつ等は私と同じギルド『白薔薇』のメンバーだ。で、怒鳴ってるのがメルナ」

「バンです。この子はカナ」

「……メルナよ。後ろの大盾持ちがマヤ、弓がアンリ、斥候のミアよ。貴方の事はベアトリクスから聞いてるわ」

「ベアトリクス、ギルドに入ってたんだ。てっきり協会の職員かと」

「ああ。あの時は臨時で試験官を頼まれてな……そうだ、また戦わないか!? 次は勝つぜ!」

「ちょっと! 私の話聞いてた!?」


 メルナがまた怒鳴っていた。


「怒鳴らなくても聞いてたよ。でも、いまいち気が乗らないんだよなぁ」

「それでもギルドマスターの指示でしょ。やんないと『白薔薇』の評判に関わるじゃない」

「はいはい。別に、もう有名なんだし気にしなくてもな」

「はぁ。まったく……」


 メルナはため息をついて呆れた。


「有名なの?」


 カナが首を傾げて尋ねた。


「知らない? 『白薔薇』はフォルトの3大ギルドのひとつよ」


 メルナが説明してくれたが、


「「知らない」」


 俺とカナは知らなかった。


「あ、そう……」


 あ、すごく落ち込んだ。


「だって、ここに来たばかりだし、ね?」

「そうそう。俺も冒険者登録したのも一昨日だったんで」


 落ち込むメルナに俺とカナが慌てて言い訳した。


「そ、そうよね! そうじゃないかと思ったわ!」


 案外チョロいな、この人。


「それで3大ギルドってなんです?」

「私も敬語はいいわ。3大ギルドはこの『フォルト』で最大規模のギルドのことよ。私達女性が中心の『白薔薇』、殆どの男性が加入する『明けの明星』、ダンジョンの地図作成や情報を生業にする『飛脚』があるわ」

「へー」

「バンにもギルドからの接触があると思うわよ」

「俺に?」


 まだ冒険者になったばかりなのに?


「貴方、手加減していたとはいえ、ベアトリクスに勝ったでしょ。試験を見てた人から噂になっていたわよ」


 あれでも手加減してもらっていたのか。


「バン、勘違いすんな。武器が試験用なだけで本気だったぞ」

「新人に本気とか大人気ないな……にしてもベアトリクス、有名だったのか」

「ええ、『白薔薇』でも上位の実力だしこんなのでもギルド幹部なの」

「こんなのってなんだよ」


 ベアトリクスが反論するが聞く耳持たず。


「と言うわけで、貴方注目されてるわ。そのうち『白薔薇』からも勧誘があるかもね」

「はあ」


 と言われてもな。実績もないしそんな事ないと思うけど。


「でも『明けの明星』には気を付けなさい。あそこは強引だから……ほら、ベアトリクスもう行くわよ」

「はぁ、分かったよ……ほらバン」


 メルナと会話中にベアトリクスが紙に何か書いてたのを渡した。


 紙を広げると地図が描かれていて、ある場所に丸が書かれている。


「印をつけた場所に行くといい」

「ありがとう」

「そろそろ行くわよ……貴女達も!」


 気が付けばカナは他の3人に可愛がられて、色々スイーツを奢ってもらっていた。


「はーい。じゃあカナちゃん、またね」

「ん、また」

「バンも死ぬなよ!」

「そっちも」


 挨拶をした後、出口に向かうベアトリクス達を見送る。


「モグモグ」

「……昼ご飯食べれなくなるぞ」

「大丈夫」


 そうですか。


「それ食べたら此処を出ようか」

「もう昼だよ」


 この子、このまま昼飯も食う気だ。


「そうだな……昼飯食ったら行くか」

「ん」


 俺も昼飯を注文して、腹ごしらえをすることにした。

次回「ロガーティア武具店」

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