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ダンジョン&ガンマン  作者: コウ
2章 ダンジョン都市と仲間
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4話 ダンジョン

 翌朝。


 昨日購入して荷物を整理した背嚢の中を確認する。服装はいつもと同じシャツとズボンにブーツ、そして外套を羽織り、ガンベルトを腰に巻き短剣を差す。


 今日からダンジョンに潜って冒険者活動を開始だ。


 カナは宿に留守番だ。少し寂しそうにしていたが女将さんに面倒を見てもらっている。


 宿を出て大通りを東に向かい、城門を抜けて道なりを進む。冒険者らしき人もちらほら見かけた。


 やっぱり女性が多いな。


 道中冒険者からの視線を感じる。パーティだろうか俺を見てヒソヒソと会話をしている人達もいた。


 子供姿の冒険者がそんなに珍しいのか? とりあえず、視線とヒソヒソ話は無視する。


 我関せず道なりを進むと、やがて大きな建物が見えてきた。


 建物の外見は砦に近い。ダンジョンの為だけにあの砦があるなら、その危険性は言わずもがなだ。


「止まれ」


 砦に入ろうとすると、門番だろうか、金属鎧を着た兵士に止められた。


「会員証を手に取って見せろ」


 俺は首に掛けた会員証を見せる。


「少し待て」


 門番は見た目が虫眼鏡の物で会員証を見た。


「本物だな……通っていいぞ」

「それで分かるものなんですか?」

「ああ、その会員証の特性でな。これ以上は言えん。さっさと行け」

「……どうも」


 原理は分からんが認めてもらえたので、門をくぐる。


 砦の内部は広いが何も無く、中央に地下に入る階段があるだけだった。


「ここがダンジョンの入り口か」


 今日は初めてなので深く潜るつもりは無く、日帰りの予定だ。


 懐中時計は朝9時を過ぎた所だ。夕方までには帰ろう。


「よし、行こう」


 俺はリボルバーを抜きシリンダー内の銃弾を確認して、暗い地下に通じる階段を下った。


 階段を下りきった先は洞窟になっていた。


 洞窟は一本道で広く、所々壁や床が光っていて意外と明るい。これならランタンはいらなかったな。


 次ダンジョンに潜る時の持ち物を考えつつ歩く。もちろん周囲の警戒も怠らない。


 そうやってしばらく歩いていると、


 ――チャポン


 水場も無いのに、水が滴る音がやけに大きく聞こえた。


「……」


 ゆっくりと背嚢を地面に置き、リボルバーを構えて、周囲を見渡す。


 すると突然、前方の影から子供位の大きさの、角が生えた黒い生物が出て来た。


 その姿は影法師のように黒く、顔は丸い目と口の輪郭が見えるのみ。全身には金色に光る見たこと無い文字が帯状に、まるで蛇が絡まっているかのな様に巻き付き動いていた。


 手には身体と同じ黒い片手斧を持ち、輪郭が曖昧な為見た目身体と一体化している様にも見える。


「これがモンスター……」


 森で遭遇したウサギと違い存在が希薄で、なにより不気味さが際立っていた。


 モンスターはこっちを見ると、金切り声で叫び、俺に襲い掛かる。


 俺は迎撃すべくリボルバーを両手で構えて撃つ。


 バンバンッ!


 弾丸はモンスターの胸に当たり傷口から赤い血を出して黒い霧になって消えて、残ったのは手の平に収まる大きさの白い水晶だけだった。


 白い水晶を拾ってまじまじと見る。


 これが核石ねえ。 白い水晶にしか見えないけど。


 地面に置いてた背嚢を開けて核石を入れる。


 初戦闘はうまくいった。この調子で行こう。


 俺は背嚢を背負ってダンジョンの奥に進む事にした。


 ◇


 食事や休憩を挟みながらダンジョンを探索してしばらく経つ。


 バンッ!


 相変わらず、叫び襲ってくるモンスター。


 これで何度目か分からない襲撃を受けて、迎え撃つ。


 モンスターの外見は全部一緒で、剣や槍等の武器だけが唯一の違いだった。


 モンスターが消えて核石だけが残ったので、背嚢に入れる。


 背嚢もパンパンになり、行きよりも随分と重たくなった。


 時計を見ると午後3時を過ぎた所だった。帰りを考えるとここら辺が潮時だろう。


 引き返そうと思ったが……洞窟の終わりが少し先に見えてた。


「……あそこまで行ってみるか」


 好奇心に抗えず、先に進む。


 洞窟の終わりは広い空間になっていて、所々光る岩が棘の様にそそり立ち、広い空間の先には横穴があった。


 シリンダーの銃弾を確認した後、近づこうとした時に地面、正確には光る岩の影からモンスターが出て来た。


 今まで見たモンスターと違い体は大きく、身長は3mはありデカい。


 頭の角は歪曲して前に突き出し、4本の腕には2本の槍を持っていて、今までのモンスターと明らかに違う、ヤバい雰囲気を出している。


 モンスターが2本の右腕で槍を構える。


 ――フォン


 風切音が聞こえた瞬間、体が反射的に動いた。


 俺がいた場所には、モンスターが投げた槍が刺さり、黒い霧になって消えた。


 ――投げるモーションが全く見えなかった。


 モンスターが2本目の槍を構える。


 俺は咄嗟に岩陰に隠れる。


 ガンッ!


 その瞬間、槍は岩に当たり弾かれた。


 岩陰から飛び出し、撃つ。


 バンバンバンッ!


 弾丸はモンスターの腕や腹に当たるが表面で止まり、効いた素振りが見えない。


「ちっ」


 しかも、投げて消えたはずの槍も手のひらから生えてきやがった。


 槍の投擲と硬い身体。やっかいな相手だ。


 モンスターが再び槍を構える。


 俺はまた岩陰に隠れるが、


 ガッ!!


「痛っ!」


 今度の槍は岩を貫通して俺の左肩を抉り、血が吹き出た。


 威力が上がるのかよ!?


 痛みを我慢して岩陰から離れ、走りながら銃口をモンスターに向ける。


 モンスターが槍を構えた瞬間、


 バンバンバンバンバンッ!


 今度は槍を持つ腕を狙って撃ったが、まるで効果がない。


 ガンッ!


 だが、軌道は逸らせたのか、俺の顔を掠めて地面に刺さる。


 だがヤツが槍を出すまで間がある。今がチャンスだ。


 頬から血が垂れるが気にせずにリロード。リボルバーを構えてギフトを使い狙い撃つ。


 ドォン!!


 赤い光弾が走る。モンスターも危機を感じたのか、わずかに身を躱して避けたが、モンスターの左腕を肩から1本を吹き飛ばした。


 続けてもう1発。


 ドォン!!


 今度は右腕を肘から先1本を消し飛ばした。


「……きっつ」


 やはりギフトを使うと消耗する。探索して疲れが出ていたから尚更だ。


 しかしまだ終わってない。それにモンスターも黙ってやられる訳がない。


 今度は槍を投げようとはせず、走ってこちらに向かってくる。


 ドォン!! ドォン!!


 最後は、モンスターの腹に風穴を開け頭を吹き飛ばし、モンスターは蹲る様に倒れ、黒い槍を残して黒い霧になって消えた。


「ふぅー……」


戦いが終わったら緊張が切れて、その場で尻餅をついた。


 ギフトを4回連続で使うのは初めてだったせいか疲れた。後、左肩がめちゃくちゃ痛い。


「……そうだ」


 使う機会が無かったから忘れかけてたが、腰の雑嚢から回復薬と書かれた瓶を取り出す。


 ……飲めばいいのか?


 とりあえず、一口飲んでみる。どドロっとした緑の液が口に入る。


 味は……スポーツドリンクだ。これ。


 だが効果はあるな。疲労感が少し抜けた。


 次に抉れた左肩にかけてみると、みるみる治っていった。


 頬に掛けた後残りを飲み干し、立ち上がる。少しキツいが大丈夫そうだ。


 リロードをして、モンスターがいた場所に近づき核石と槍を拾う。


 核石は今までと違い、俺の拳の倍はある大きさの水晶だった。


 明らかに強さが違ったもんな。大きいほど査定額がいいらしいし、報酬は期待出来そうだ。


 槍は3m位の長さで石突から穂先まで黒く、石突と幅広の刃の中心に赤い石がついている。装飾も無く無骨で重い。俺の細腕じゃ振り回すのは無理だな。


 これが遺物……ダンジョンウエポンというやつか。カナに見てもらおう。


 核石と槍回収して広場の先、横穴を覗いてみる。


 横穴は下り坂になって奥まで続き、暗くて先が見えない。


 流石に、さっきのモンスターの事を考えると先に進む気には今はなれない。今回はここまでだ。


 俺は来た道を戻り、ダンジョンの出口を目指した。

次回「探索を終えて」

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