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幻素が漂う世界で生きる  作者: 川口黒子
新学期編
8/105

第7節 弟子入り希望

 ユミルが去ったあと、俺たちは教室に戻り帰りの支度をしていた。


「じゃあ帰るか」


「……そうですね」


 シオンはさっきの事については何も言わない。俺のことを気遣ってくれているのだろうか。有り難いが、そこまで気にしているわけでもないし、俺の白幻素については寮でしっかり説明しよう。


 そう考えながら教室を出ようとすると、後ろから俺たちを呼ぶ声がした。


「あ、あの!!」


 振り返ると、さっき助けた緑髪の子がいた。


「助けてくれて、ありがとうございます!!」


 彼女はお礼を言うと、深々と頭を下げた。あんなことがあったばかりなのに、彼女はどこか嬉しそうだ。


「あーいーよいーよ頭下げなくて——



「シオンさん!!」



 ……ん?


 彼女は顔上げ、シオンの両手を掴んだ。


「私、シオンさんの技を見て、本当に感動しちゃいました!!私も緑幻素なんですが、シオンさんみたいにできなくて……。なのでお願いです!!」



「私を弟子にして下さい!!」



 彼女はシオンの手を離し、再び頭を下げた。

 シオンは困惑した表情で俺を見つめてくる。


「あのー、一応俺も助け——


「あ、ありがとうございます」


「……」


(ぐはぁ!!)


 俺は心に深い傷を負ってしまった。やはり女子というのはこういう生き物なのだ。シオンが例外なだけだったのだ。


「お断りします」


「そこを!そこをなんとか!!」


 拒否するシオンに彼女はとことん食い下がる。


「いきなりそんなことを言われても困ります。第一に私はそこまで強くはありません」


「ご、ご謙遜を!シオンさんは間違いなくお強いです!」


 確かに。シオンは強い。初めての武器もしっかりと使いこなしていたし、何より"俺の白幻素が緑幻素を染めきれなかった"。こんなことは初めてだ。


「とにかく、今日はもう帰ってください」


 シオンは若干怒り気味に言い放った。


「……分かりました。今日は帰ります。だけど私は諦めませんよシオンさん!!」


 そう言って、彼女は教室を出ていった。


「はぁ……」


 シオンは長いため息を吐く。


「……今日は散々だな」


「まったくです」



 寮に帰って、俺は早速俺の白幻素についてシオンに説明した。俺とシオンはリビングのテーブルに向かい合って座っている。


「まぁユミルが言ってたように、俺の白幻素は他の奴らの白幻素とは少し違う。シオン、ちょっと緑幻素を出してもらえないか?」


 そう言うと、シオンは指先から微量の緑幻素を出す。


「よーく見てろよ」


 俺はその緑幻素に自分の白幻素をゆっくりぶつける。


「シャット」


 俺がそう言うと、くっついていた緑幻素がだんだんと白幻素になっていった。


「これで、は他から見れば白幻素が"包括"したように見えるわけだ」


「……なるほど」


 シオンは指先を見ながら感心したように頷いている。


「どうして先輩の白幻素だけこのような特性なんですか?」


「生まれたときからこうだったからな。なぜかって言われると俺も困る」


「そうですか……。けどすごいですね。幻素を塗り替えてしまうなんて。これだけの能力があるなら卒業もできたのでは?」


「言っただろ?俺の幻素は塗り替えることしかできないんだ。他の幻素を取り込んでそれを放てないから、攻撃手段が全くないんだよ」


 それを言ったら普通の緑使いだって同じように感じるかもしれないが、彼らはパーティーを組んで行動するのが殆どだ。しかし俺はぼっちだったので、1人で戦う他なかったのだ。


「それよりも俺はシオンの方が気になってるんだ」


「どうして?」



「なぁシオン、君は緑幻素の使い方を誰に教わった?」



 数秒の沈黙の後、シオンはゆっくりと口を開いた。


「……両親です」

 

「……そうか」


 シオンは明らかに戦い慣れしていた。緑幻素の使い方も熟知している。両親が相当教育熱心だったのだろうか?

 それに微量の緑幻素ならなんとか染めれたが、それでも押し戻される感覚はあった。俺の白幻素以上に、シオンの緑幻素は謎だ。


(ま、今考えても答えは出ないし、気にしないでおこう)


「シオン、今日の夕食何がいい?」


「いきなりですね……お肉が食べたいです」


「分かった。今日は肉料理にしよう」


 俺は椅子から立ち上がり、キッチンへと向かった。



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