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幻素が漂う世界で生きる  作者: 川口黒子
1学期テスト編
58/105

第55節 秘策

 私は今、水柱の上にいるルーさんを倒すためにアゼン先輩と別れて行動している。水柱は見上げてなければ頂上が見えないほど高く、跳躍では到底届きそうにない。


(どうやってルーさんのところに行けばいいの……?私の幻素量じゃあれだけ高い場所まで植物を伸ばせないし……)


 すると、水柱の上に一瞬、青い光が見える。それと同時に、私のすぐ右隣に青い矢が突き刺さった。


「———!」


 その衝撃波で少し身体がよろける。


(ルーさん、あんな高いところから撃ってるのに狙いが正確だよ……)


 このまま下にいるだけではいずれやられてしまう。あの高さに到達するためには、植物の使い方を少し"工夫"する必要がある。


(初めて試すけど……やるしかない!)


 私は降り注ぐ矢を避けながら水柱の真下にまでたどり着き、杖を構えて緑幻素を放出させる。その緑幻素を私が両足置けるくらい葉っぱが大きい植物に変えて水柱に巻きつける。


 それを使って螺旋階段のように駆け上がっていき、途切れた部分からまた植物を生やして登っていく。


(降りる時のことは今は考えない!まずは登ること最優先!)


 私が登ってきていることに気がついたのか、ルーが矢を次々と放っていく。葉っぱの上では避け難く、矢を弾いて防ぐしかない。


「ルナちゃん結構やるね〜!」


 ルーさんの声が上から聞こえるくらい頂上に近づいてきている。あともう少し、あともう少しだ。


「けど、これならどうかな?」


 ルーさんはそう言うと、弓を今までよりも強く引いて矢を放った。杖を構えて防御体制を整えるが、矢はなんと私のすぐ目の前で三つに分裂した。


「くっ!」


 なんとか二つの矢を弾くことはできたが、残りの一矢が私の肩に突き刺さる。その勢いで私の身体が空中に放り出された。


「じゃあね〜」


「——まだだ!!」


(この距離なら十分届く!!)


 咄嗟に杖を構えて、蔓状の植物を創り出す。それを精一杯伸ばしてルーさんの身体に巻きつけた。


「一緒に落ちますよ!先輩!!」


「え!?ええぇぇ〜〜〜!!??」


 私は杖をおもいっきり引っ張ってルーさんを頂上から落とす。ルーさんの身体が頂上から離れると同時に水柱は消滅した。私は落下地点に落ち葉のクッションを創り出してその上に着地する。ルーさんは水を屋根に放出して落下の勢いを殺して、屋根にふわりと足をつけた。


「いや〜やられたよ。まさか私まで落とすなんて」


「これで"目"は消えましたよ!」


「ふふ!だけど私たちにはまだまだ秘策が沢山あるからね!それに……ルナちゃん、私たちの"目"は、まだ消えてない」


「……?」


「ルナ!!避けろ!!」


 突然、アゼン先輩の声が後ろから聞こえてくる。その瞬間、一筋の青い閃光が、私の視界を覆った。



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