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幻素が漂う世界で生きる  作者: 川口黒子
1学期テスト編
50/105

第47節 第二テスト、開始です。

《さぁみなさん、外の屋台で美味しい昼食は食べ終えましたでしょうか!?いよいよ実技テスト後半戦が始まろうとしています!前半戦で惜しくも敗れてしまった選手たちも、次こそはと闘志を燃やしていることでしょう!ですが!実技テストは一日中行われますので、みなさん体調に気を付けながら観て、応援して、全力で戦ってください!選手入場は間も無くです!今しばらくお待ちください!》


《先輩、頼まれてたおまかせ弁当です》


《あ!ありがとう!サーミちゃん!いやー放送委員も楽じゃないねぇー、ほらほら、サーミちゃんも一緒に食べよ!》


《それより、まだマイク入ってますよ?》


《え?……あははいや、サボってませんよ?ええ!これは昼食休憩という正当な権利なので———



 耳で鳴り響いていた放送が始まったと思ったらすぐに切れてしまった。会場に着いた俺たちは空いてる席に座りながら、さっきの放送の耳鳴りを消すために頭を叩いた。


「……はちゃめちゃな放送ですね」


「そうか、シオンは放送聴くの初めてだったな。ガリエルの放送は特別で、自分が聴きたい台の実況を"アポカリプスチャンネル"に呟くとそこの実況が耳に直接響くようになるんだ。シオンは誰のを聴くんだ?」


「それじゃあ私はルナの試合の実況を聴こうと思います。一応師匠ですので、弟子の活躍は見ようと思って」


「分かった。じゃあ俺はアオの試合を見ようかな」


 互いに見る台が決まったところで、俺たちは携帯で台の呟きをする。数分経った後、放送が聞こえ始めた。


《こんにちはーー!皆さん大好きガリエルでーす!アオさんの実況は私ガリエルが担当します!解説は勿論!》


《サーミです。宜しくお願いします》


《まずは前回のシオンさんに引き続き、私のチャンネルを選んでくれた皆さんに感謝します!そして新しく聴きに来てくれた皆さんも大歓迎です!アオさんの試合でも皆さんが大いに盛り上がれるよう熱い実況解説をお届けしていくので、どうか皆さん!チャンネルはそのままで!》


 なんとまたガリエルの放送に当たってしまった。アイツ、やたらと俺の関係者ばかり実況しているような……まあともかく、彼の実況の腕前は確かなので、今回も楽しませてもらうことにしよう。


《それでは皆さん、選手入場のお時間です!この組には一年生が多くいますので、胃が痛いであろう彼らのために温かい声援と拍手で出迎えましょう!》


 ガリエルがそう言うと、入場口から白いスーツを身に纏った生徒たちが次々と入場してくる。確かに今回の組には一年生が多くいるらしい。みんな顔が緊張しているし、少し戸惑い気味だ。だが一人、満面の笑みでこちら側の客席に手を振る少女がいた。


「アゼン先輩ーー!師匠ーー!見てますかーー?」


「ル、ルナ、恥ずかしいからやめなよ、、、」


 俺は手を振りかえしながらシオンに話しかけた。


「あはは、アイツらはしゃいでるな」


「まったく、少しは緊張感を持ってほしいです」


「まあでも緊張で動けなくなるよりはいいんじゃないか?」


「それはそうですが、こっちに手を振る必要はありません」


 そう言いながらも、シオンはちゃっかり小さく手を振っている。そんなシオンの可愛い一面に微笑みながら、アオとルナが台に登るのを見守る。


 選手全員が台に登ると、例の如くガリエルの大きな声が耳元で鳴り響き始めた。


《それでは全員台の上に登ったので、これより各難易度の魔獣の説明に入ります!え?そんなのいいから早く闘わせろ?毎回聴くのはめんどくさい?まぁ皆さんそう言わずに、案外こういうのが大切なんですよ?それにこれが無くなったらサーミちゃんの出番が減———


《解説のサーミです。まず、イージーを選択した生徒は"ラモン"と呼ばれる魔獣と闘ってもらいます。ラモンは犬系統の魔獣で単体ではそこまで強くはないですが、彼らは基本群れで行動するので、弱いからといって侮ってはいけません》


《ラモンをペットにしている猛者がいると僕聞いたことがありま———


《次にノーマル選択者は"炎狐"と呼ばれる魔獣と闘います。炎狐は"炎"の幻界領域付近で頻繁に出現している魔獣で、外見は小さく狐のようなのですが、赤く燃える3つの尾から繰り出される幻素攻撃は、高い幻素濃度と量を兼ね備えています》


《ねぇサーミちゃんもしかしてまた怒って———


《今回の組にはハード選択者はいませんので、魔獣の説明はここまでになります。それでは、ステージ設定、開始》


 サーミがそう言うと、台の上に幻素が充満し、森や広野が形成されていく。透明な壁には闘う生徒の幻素量が表示されている。


《ステージ設定が完了しました。これより、第二テストを開始します》


 結局最後までサーミがやるのかよと心の中でツッコミを入れた直後、大歓声と共に魔獣が姿を現した。



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